私たちには、開くだけで落ち着く音や不快になる音があります。例えば、森の中では気持ちが安らいだり、都会の交差点の騒音を聞くと、不安・不快な思いをしたりします。
しかし、静かだと思われている森の中でも、混雑した交差点と同じかもしくは、それ以上の大きさの音が出ていることも多くあります。そんな大きな音の中でも、気持ちが安らぐのはなぜなのでしょうか。
音というのは、空気が振動することで伝わります。人間が聴くことのできる音は、1秒間に20~2万回振動する音ですが、森の中の音は、音の中でも振動数が大きくて人間が聴くことができない、周波数20kHz以上の高周波成分(超音波)が、可聴域の音と混ざった音なのです。
耳で聴くことができる音と合わせて、耳で聴くことができない超音波に肌で触れることで、より脳が活性化され、安らぎを感じる効果のあることが、国際科学振興財団の理事・大橋力氏による最近の研究で明らかにされました。
私たちの身の回りにあるオーディオ機器の多くは、人の耳では聴き取ることができない高周波をカットするように製造されています。高周波の音まで再生できるようなオーディオ機器をつくれば、より心が安らぐ音楽を聴けるようになるはず。
そうした観点から、21kHzより高い周波数の音を収録、再生できる新しい製品も生まれています。CDが出始めのころ、何となくLPレコード盤のほうが癒やされた気になったのは、あながち間違いではなかったのかもしれません……。
ちなみに、ガムランやチェンバロ、尺八などの楽器は可聴域だけでなく高周波域の音も出すことが可能です。一度CDと、生の尺八やチェンバロの演奏の音色を、聴き比べてみてはいかがでしょう。
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