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自分に厳しい“不死身のヒーロー”は逝った

2014年03月21日 | 健康

「主演・宇津井健」は監督・スタッフ・脇役に頭下げて回った…自分に厳しい“不死身のヒーロー”は逝った

2014.3.21 07:00

トレーニング方を披露する40代の頃の宇津井健さん(昭和52年)

70歳で1日腹筋500回

  役者として完璧な状態でカメラの前に立とう-と晩年になっても身体を鍛え続けていた。「どんなトレーニングをしていますか?」と聞くと、「腹筋なら1日 500回かな」と平然と答えた。取材したとき、すでに70歳を超えていた。“不死身のヒーロー”を体現した名優、宇津井健さんが3月14日、82歳で亡く なった。

  ケアハウスで暮らす高齢者たちがチームを組んで銀行強盗を計画する、という平成16年に公開された映画「死に花」で、宇津井さんは強盗メンバーの一員とな る元大手銀行支店長を演じた。大阪市内の取材場所に、ジーパン姿で現れた宇津井さんは、背筋が伸び、若々しく、とても72歳には見えなかった。

 「1日に腹筋500回と答えると、たいてい驚かれますが、筋肉が慣れてくると、少しも苦しくならないんですよね」と照れくさそうに笑う姿が印象的だった。

ちやほや? とんでもない、主演は気を使う

  俳優座から新東宝に俳優として入社し、エースとして活躍。“日本特撮史上初のヒーローもの”といわれた昭和32年から放送が始まった「スーパージャイアン ツ」シリーズや、40年から始まった人気ドラマ「ザ・ガードマン」シリーズなどで主演し、一貫して正義のヒーローを演じ続けてきた。

 「実は主演俳優はとても気を使うんですよ。ちやほやされていたというイメージが強いかもしれませんが、とんでもない」

 映画会社所属の専属俳優という制度があった役者全盛の時代。宇津井さんもさぞかし華やかなスター人生を送ったのだと想像したが、こう否定した。

 「監督やスタッフ、脇役の方たちに、『今度、主演することになった宇津井です。よろしくお願いします』と、スタジオ中を頭を下げ、手土産を渡しながらあいさつして回ったものです。いい映画、ドラマを作るためには主演俳優が一人でいくらがんばったところで無理ですからね」


激しいトレーニングで自分を追い込む役作りに懸ける真摯さは、周囲の人を気遣う真摯さにも通じていた。

 「昔の監督たちは、みんな本当に恐かったですよ。主演俳優だって関係なく怒鳴られました。それが普通でした。今はほとんど私よりも監督の方が年下になったので、叱られることもなくなり、寂しいですね。いい演技のためなら、叱ってくれても構わないのに…」

“山口百恵の父”役で新たなヒーロー像

 49年から始まった山口百恵さん主演の人気ドラマ「赤い」シリーズでは、山口さんの父親役を演じ、お茶の間に、強く優しい娘思いの父-という新たなヒーロー像を強烈に植え付けた。

  40、50代となって表現スタイルを変えながらも、新たなヒーロー像を模索し続けてきた。しかし、「60代の一時期は面白くなかったですね」と明かすと、 こう続けた。「年寄りの役を演じるのに身体を鍛えてもしょうがないかな、なんて思いましてね。この時期だけトレーニングを休んでいたんです」

 だが、しばらく後に「年寄りを演じるためには十分な体力、精神力が必要なのだ」と気づいた。「これらが整っていて初めてどんな役もこなせるのだと。実はパワーがいるんです」

 平成18年からは、人気ドラマ『渡る世間は鬼ばかり』で藤岡琢也さんの代役を買って出て、一家の大黒柱、岡倉大吉役を演じてきた。

 80代となっても、戦中戦後を生き抜き、家族を支えてきた父であり、祖父であり、夫という“強い日本のヒーロー像”を宇津井さんは身体を張って体現し続けた。



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