東洋哲学研究所が創立60年2022年2月3日
あす4日は「東洋哲学研究所の日」。創立者・池田大作先生が、同研究所(東哲、桐ケ谷章所長)創立を構想したことが淵源である。本年、創立から60年の節目を迎えた同研究所の歩みと、本年実施する事業を紹介する。
1961年2月4日、池田先生はアジア歴訪の折、仏教発祥の地・インドのブッダガヤへ。そこで着想を得て、法華経を中心に哲学・文化・民族を研究し、仏法を広く世界に展開する人材を育む機関の構想を示した。
そして、翌62年1月27日、前身である東洋学術研究所が誕生。その後、現在の名称となった。
東哲ではこれまで、学術誌「東洋学術研究」と同誌英語版の定期刊行をはじめ、「法華経写本シリーズ」などを発刊。世界の学術機関との連携による文明間・宗教間対話を促進している。
とりわけ、一大事業として進めているのが、世界17カ国・地域を巡回してきた「法華経――平和と共生のメッセージ」展である。
ロシア科学アカデミー東洋古文書研究所、中国・敦煌研究所、インド文化国際アカデミーが全面協力する同展を、これまでに100万人に迫る人々が観賞。法華経に脈打つ生命尊厳の哲理に、多くの共感の声が寄せられてきた。
韓国で法華経展を開催
本年は、主に次の事業に取り組んでいく。
①第36回「学術大会」を5月にオンラインで開催。池田先生とトインビー博士の対談開始50年を記念し、「地球的危機の『挑戦』と宗教・文明の『応戦』――パンデミックを契機として」とのテーマでシンポジウムを行う。秋の連続講演会も同テーマで開催する。
②識者、研究員らによる“トインビー対談”開始50周年記念論文集を今春に発刊予定。
③韓国・大邱広域市で「法華経――平和と共生のメッセージ」展を実施する。
“世界の精神的遺産である仏教を、民衆に大きく開きゆく”との創立の精神のまま、東哲は人間主義、平和主義の精神の発信に一段と力を注ぐ。
1日には、記念の集いがオンラインで行われた。
これには、池田先生がメッセージを贈り、不軽菩薩のごとく人間尊敬の行動を貫き、普賢菩薩のごとく生命尊厳の中道の叡智を社会に、世界に、未来に広げゆこうと呼び掛けた。
集いでは、小関常務理事の後、出版事業部の山岸伸夫副部長、伊藤貴雄研究員、マレーシアの海外研究員・梅松明氏が抱負を述べ、桐ケ谷所長が、創立者の心のままに、仏法の思想を広げる実践をと語った。
最高顧問である原田会長は、平和のためには、社会を潤す思想・哲学の確立が不可欠であると強調。創立70周年を目指し、さらに研究活動に励み、世界に貢献していこうと望んだ。
東洋哲学研究所創立60年――識者から祝賀の声(要旨)2022年2月3日
文明間・宗教間の対話と相互理解を促進してきた東洋哲学研究所は本年、創立から60年を迎えた。ここでは、佳節に際し、海外の識者から寄せられた祝賀の声の要旨を紹介する。
ノーラニット・セータブット評議会議長
世界が直面する幾多の重要課題の解決のために、普遍的な宗教の価値を人類の豊饒な精神遺産へと統合してこられた東洋哲学研究所の60年にわたる実績に対し、心からのお祝いを申し上げます。
貴研究所は、池田大作SGI(創価学会インタナショナル)会長のもとで創設されてから今日まで、宗教間対話が信頼を醸成し、“文化の差異を超えた平和の構築”に重要な役割を果たすことを示してきました。
人類が国という枠を超えた地球的課題に直面するこのVUCA+(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性+)の世界において、池田会長が目指す問題解決のための多様なプラットフォームは、リーダー諸氏に研究機関の枠を超えて連携していくという解決法を示しています。
ほぼ全世界といえる各地域の主要なリーダーや文化人、研究者が「生命の尊厳」という共通のビジョンを掲げ協働することによって、数々の平和のための提言が世に送り出されてきました。
さらに、これまで取り組まれてきた学術研究と法華経に関する世界的な展示活動などを通じて、貴研究所は「豊饒なる智慧の保管庫」としての使命を果たしてこられました。
中でも、貴研究所が企画・制作した「法華経――平和と共生のメッセージ」展は、法華経の教えを広く世界に紹介し、その普遍的意義を明らかに示すものでした。
また、貴研究所が開催した国際シンポジウムなどに対しても、各国の参加者より称賛の声が寄せられています。
池田会長の創立理念のもと、影響力の高い研究や世界規模での協働を主導されるなど、貴研究所は数十年間にわたり、恒久平和を追求する世界市民に対して、極めて重要な貢献をしてこられました。今後のご発展を、心より期待しております。
ゴーパ・サブロワール元副総長
1961年1月、池田大作SGI会長は、日蓮大聖人の仏法西還の予言を踏まえ、恩師である戸田城聖氏の東洋広布の遺志を実現するための第一歩を、インドの地にしるされました。
壮大なビジョンと、決意・確信に彩られた会長の初のアジア訪問は、“大聖人の御聖訓実現のために”との熱誠によって、数々の現実的な困難を乗り越えて実現しました。
この歴訪の旅の最重要行事は、ブッダガヤ訪問の折、釈尊成道の地である大菩提寺の敷地内に記念の品々を埋納され、東洋広布の第一歩を刻印されたことです。釈尊と同じ大地を踏みしめる――この甚深の意義ある経験をされた若き池田会長は東洋、そして世界広宣流布への誓願を胸に、その双肩に道なき道を切り開く全責任を担い、立たれたのです。
この旅の途上、滞在先で多様な文化を目の当たりにした池田会長は、アジアの民衆が文化や各地のさまざまな宗教哲学を互いに理解していく必要性を実感しました。帰国を待たずして、すでに池田会長は、法華経の研究と、その普及を専門に行う研究機関創設の考えを同行者に明言しました。まさに、このアジア歴訪の旅において、今日の東洋哲学研究所の構想が創られたのです。
これまでの60星霜の歩みの中で、貴研究所は法華経研究のみならず、他の研究機関との連携、シンポジウムや公開講演会の開催、着実な出版活動を通して、学術分野に大きな足跡を刻んでいます。
また、哲学研究分野における主要な研究機関へと発展し、貴重な資料の収集にも尽力されています。活動内容と範囲を着実に拡大し、「東洋学術研究」の出版を通して、文化的意識と理解の醸成に多大な貢献をされてきたのです。
貴研究所が世界を主導する研究機関へと発展されますことを、心より念願いたします。
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