FRBが重視するインフレ指数、前月から伸び鈍化-消費は回復
Augusta Saraiva
2024年3月29日 21:39 JST 更新日時 2024年3月30日 0:23 JSTブルームバーグ
2月のPCEコア価格指数は前月比0.3%上昇-1月は0.5%上昇
実質PCEは前月比0.4%増-前月は0.2%減に下方修正
2月の米個人消費支出(PCE)統計によると、連邦準備制度理事会(FRB)が基調的なインフレを判断する上で重視するPCEコア価格指数は、伸びが1月から鈍化した。一方で、実質ベースの個人消費支出はプラスに回復した。
キーポイント
2月の米PCEは前月比0.8%増-市場予想0.5%増
個人所得は前月比0.3%増-市場予想0.4%増
PCE総合価格指数は前月比0.3%増-予想0.4%増
前月は0.4%上昇(速報値0.3%上昇)に上方修正
2月は前年同月比では2.5%上昇-予想と一致
PCEコア価格指数は前月比0.3%上昇-予想と一致
前月は0.5%上昇(速報値0.4%上昇)に上方修正
2月は前年同月比では2.8%上昇-予想と一致
前月は2.9%上昇(速報値2.8%上昇)に上方修正
PCEコア価格指数の前月比での伸び率は1月が0.5%、2月は0.3%で、2カ月での伸びとしてはここ1年で最大となる。
ただ今回の統計では一部サービス分野のインフレに関する指標が小幅な伸びにとどまったことから、FRBとしては安心感を抱く可能性がある。インフレ調整後の実質PCEは前月比0.4%増と、市場予想を上回った。前月は0.2%減(速報値0.1%減)に下方修正された。賃金・給与は前月比0.8%増と、ここ1年余りで最大の伸びだった。
US Underlying Inflation Cools, While Spending Picks Up
Household outlays exceeded forecasts on gains in durable goods, services
Source: Bureau of Economic Analysis
今年に入り複数のデータで物価上昇圧力が示されていたことから、今回の統計でインフレ鈍化が示されたのは明るい兆候だ。ただFRB当局者らはインフレが持続的に低下傾向にあることを示すさらなる証拠を求めており、利下げを急いでいない姿勢だ。
当局者らは住宅とエネルギーを除いたサービス分野のインフレを注視している。このベースでの価格指数は前月比0.2%上昇と、1月(0.7%上昇)から鈍化。また医療費や金融サービスの価格の伸びも前月から大きく減速した。
高い借り入れコストや求人の減少、根強いインフレといった状況は見られるものの、労働市場はなお堅調で、それが家計の需要を支えている。サービス分野の支出は2021年7月以来の大きな伸びとなった。国外への旅行や運輸、金融サービスで増加が目立った。1月に急減していた財への支出は、自動車販売の伸びに助けられて小幅に増加した。
ウェルズ・ファーゴのシニアエコノミスト、サラ・ハウス氏は「前月のデータが示唆したような消費疲れはまったく見られない」とし、「消費者が今後もこうしたペースで支出を続ければ、企業が現在の価格を維持するのは非常に難しくなるだろう」と述べた。
ブルームバーグ・エコノミクスのスチュアート・ポール、エステル・オウ両エコノミストは「向こう数カ月に労働市場は冷え込み、個人所得の伸びは一段と減速する見通しで、それにより支出の伸びは総じて鈍化すると考えられる」とリポートで分析。「経済状況が軟化する中で、このままいけば米利下げ開始は6月になると、われわれは引き続き見込んでいる」と述べた。
貯蓄率は2022年末以来の水準に低下。支出のための貯蓄取り崩しを示唆している可能性がある。
統計の詳細は表をご覧ください。
原題:Fed’s Preferred Inflation Metric Cools While Spending Rebounds(抜粋)
(エコノミストのコメントを追加し、更新します)
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