パウエル議長、「利下げを急ぐ必要はない」-慎重姿勢繰り返す
Catarina Saraiva
2024年3月30日 1:00 JST 更新日時 2024年3月30日 3:35 JSTブルームバーグ
PCEのインフレデータ「ほぼ予想通り」-パウエル議長
インフレ率は「時として起伏の多い道」を進みながら低下継続へ
パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長(3月20日) Photographer: Al Drago/Bloomberg
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、当局は利下げを急いでいないと改めて表明した。インフレ抑制を示す証拠が増えるのを待ちたい考えだ。
議長は29日、サンフランシスコ連銀で開催されたイベントで登壇。司会者の質問に対し「米経済が非常に堅調なペースで成長し、労働市場も極めて強いという事実は、われわれが利下げという重要な一歩を踏み出す前にインフレ率の低下についてもう少し確信を強める機会を与えてくれる」と回答した。
「利下げを急ぐ必要はない」と議長は語った。
この日の朝方に発表されたインフレデータについては、「ほぼわれわれの予想通り」だと指摘した上で、インフレ率が目標の2%に向けて順調に低下していると当局が確信するまで利下げは適切ではないとの見解を改めて示した。
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シティグループのエコノミスト、ベロニカ・クラーク氏は「全体的なメッセージはあまり変わっていない」とし、「2月のインフレデータは当局の予想通りだったようだ。当局が問題ないと考えるデータに沿ったものだ」と指摘。「もう少しだけ確信を強め、あと2カ月程度のデータを待ちたいというモードに入っている。年央の利下げにやぶさかでないことは変わっていない」と述べた。
パウエル氏は、この日のインフレデータについて「予想に沿ったデータを目にできるというのは良いことだ」と発言。ただ、この最新のデータも昨年ほど良好な内容ではないと付け加えた。
今後のインフレ率については、「時として起伏の多い道」を進みながら低下し続けると当局はみているとパウエル氏は指摘。今月の連邦公開市場委員会(FOMC)後に行われた記者会見での発言を繰り返した。
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このほかパウエル氏は、現時点ではリセッション(景気後退)の可能性が高まっているとはみていないと発言。ただ労働市場が想定外に弱まった場合、当局による政策対応が正当化され得ると改めて述べた。
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原題:Powell Reiterates Fed Doesn’t Need to Be In Hurry to Cut Rates(抜粋)
(パウエル議長の発言やエコノミストのコメントを追加し、更新します)
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