市街・野 それぞれ草

 802編よりタイトルを「収蔵庫編」から「それぞれ草」に変更。この社会とぼくという仮想の人物の料理した朝食です。

チケットを売る  5

2009-11-10 | 芸術文化
 
 11月2日、3日夜の寒風の吹いたのが、嘘のような暖かい日曜8日の午後6時25分に東宮花の森・東集会所に着いたが、だれもいなくて、集会所の明かりもない。今夜は実行委員長の久島さんが急用のため、出られないということで委員会は取りやめになったのだろうかと思った。昼間の連絡では、進行を山崎さんに頼んだと言われたが、その後、また変更があったのだろうかと、いぶかっていたらかれが定刻に到着、とつづいて車も2台ほど入ってきた。

 かくして6時半に集まった委員は、ぼくら二人のほかに久島さんの奥さんと、2名の奥さんたちで、7時になっても他の委員たちはあらわれず、開会となった。山崎も議事案の検討ということなどは抜きにして、今日までの販売枚数と、チケット販売の実情、とくに売るに当たってどんな問題がありますかとすぐに切り出した。

 やっぱり予想はしていたが、内容がよくわからない、どう説明すればいいのかなどと、口々に言われだした。先週の日曜から、奥さんたちは、かんたんに買ってはもらえないという壁に突き当たっているという実情が手に取るように分かってきた。このコンサートを「大道芸」として説明していいのでしょうかと、不安げに問うAさん、いや、そうですけど、ちんどんやさんというイメージとは違うですよねとしかぼくも答えようがない。すると、Bさんが駅前やアーケードの下でギターなど弾いて歌っている兄ちゃんたちのようなもんじゃないのと言う。そうそう、そんな感じかな、ただ、小春さんたちは、プロとして活躍、宮崎市ではみられないほどのレベルの高さと言っていいと思いますよ。などと、こちらも懸命のうり文句を言ってみる。
 ヘンテコ・ブンチャカ・コンサートとをいうチラシを見るなり、わしにはわからんと言われてひっこんだという話もあって、この「ちらし」そのものが、説明できないことにもなっているという事実をも知らされた。チラシを見たとたんに「これは行くわ」と購入を決めた若者は何人かあったし、天空ジールの福田さんもそこのイベント担当の中島さんも、チラシをすばらしいというし、チラシを挟んでまっぷたつに印象が分かれている。もうひとつの反応で、ヘンテコというのを、そのままへんてこと思いこまれて、あげくにこんなの見てもとしり込みされたという話もでてくるのであった。どうもおもしろくもないと思われるフシが、かなりあるのにおどろかわれるのであった。それで、ぼくは、説明を始めた。
 
 ヘンテコと彼女らは言っているけど、まわりの社会もずいぶんヘンテコじゃないですかと、言ってみてはどうだろうか。ちょっと思い出しても、曲がったキュウリは売ってないし、ミニトマトは一ミリも狂いがないような同じ大きさだし、これは変ですよ。宮崎市街では、もう横町も裏町も片っ端から広げられ、どの街路も同じデザインに、毎年、毎年なってきて、ついこの前、駅前商店街のアーケード撤去のあとの道路改装で、ここも青空市場の前の道路と同じデザインになった。昔のノスタルジックなさべれた感じの商店街のほうがよっぽどましでした。改修はされたが、かえって単調になり、人通りは減っていくはずです。どこもかしこも、みんな同じ規格に統一されていく、これはヘンテコを通り越して異常ですよね。これが見慣れた日常風景ですね。こんな社会であれば、ずれてヘンテコであるほうが、多様で見慣れぬゆえに、おもしろいということになるのでス云々とつづけていると、こりゃあ、難しすぎる説明ですよと、山崎が口を挟む。ぼくも、すぐにそう思って話は止めた。

 そのとき、Cさんが「わたしゃね、これは変わってる変わってる、変わってるからおもしろいでしょうが、みらんけりゃわかるもんね」と、うりつけるんじゃが、強く発言してくれた。そこで、ぼくも勢いをえて、いちどだまされたと思って買ってくださいと、言うしかないかもしれませんねと、付け加えた。説明などは、今は不必要です。おもしろいことは、請合いますというしかなくなった。

 次回は、音源、ユーチューブの動画などで、おたがいに理解を深めて、売り作戦をかんがえようと、山崎が提案、委員会は終った。ところでほかの12名の委員たちは、委員長の欠席を知ってみえなかったのかと聞くと、知ってはいないという。ただ今はチケット売りにまわっているので、それをやるのに懸命、委員会に出てるよりはという気分じゃないですかと、おくさんたちの説明でやや安心できた。

 あと、小春さんとメンバーにどんな手料理をするかの話になったが、そこは楽しそうだった。また、これまでになくぼくらふたりとも打ち解けた感じになってきだした。

 毛色の変わったヘンテコブンチャカ コンサートという東京都を舞台にした小春さんたちの登場は、団地になにをもたらすか、その反応はどうなんだろうか。チケットの販売状況を聞くにつけ、この団地のコミュニティ意識が、予想以上に複雑、多様であるのに気づかされ、にわかに興味が沸いてくるのである。 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« チケットを売る 4 | トップ | チケットを売る 6 普段着で... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

芸術文化」カテゴリの最新記事