市街・野 それぞれ草

 802編よりタイトルを「収蔵庫編」から「それぞれ草」に変更。この社会とぼくという仮想の人物の料理した朝食です。

食欲の秋 利休庵と天門

2005-11-08 | Weblog
 利休庵の「木の葉どんぶり」はファンの伝説に残っている。親子どんぶりに椎茸を加えた丼であった。それがお膳に味噌汁、つけものと並べられてテーブルに運ばれた。上品でいかにも日本食という雰囲気であった。定価は200円だった。店は6年前に閉じられた。6年前でも300円であった。県庁の東通りを少し行ったところにあった。そんな話を「天門」で始めたら、主人は、利休庵の娘をもらったのですよと、カウンターの奥さんを指した。なんたる偶然、機縁、めぐり合わせだ。10年ほどまえはよく通っていたが、当時、彼女は調理場だけにいたので顔をあわせることも無かったわけだ。今、この店は付近の建物とともに取り壊されアパート建設予定地になった.写真は昨年5月の撮影、献立と定価が記されていた。

 はじめ、ラーメンの指導でもと思って、一緒にカウンターで仕事をしてもらいだしたが、指導どころかぼくのほうが負けてますと彼は彼女を評価する。利休庵の両親の店から、結婚して「天門」へと一貫した飲食店への人生をえらんだわけだ。そして今もおいしいオリジナルの料理を供している。だから文化が漂う。そんな感銘を受けた。

 10年前といえば1994年、当時ダイエーは売り上げ2兆6千億の日本最大の総合スーパーであった。しかし、すでにホテル、レジャー、リクルート、金融、球場と金になるものなら何でも手をつけだしていた。その見境のない経営は行き詰まり、2000年に2兆円余の負債をかかえ中内功社長は退陣した。今も株価は暴落したままダイエーの再生は、きわめて困難といわれている。これは、文化でなく文明だ。ものだけが目的であった。文明に翻弄されただけのダイエー人生のばかばかしさと悲惨さと不幸は計り知れない。

 利休庵を閉じた老父母は、今はゆったりとした人生だと彼女は、話していた。彼女と主人の店「天門」も健在である。最後よければすべてよし。これが人生よね。




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