ときどき、ドキドキ。ときどき、ふとどき。

曽田修司の備忘録&日々の発見報告集

理想主義的アプローチと現実主義的アプローチと

2006-03-25 00:47:38 | アーツマネジメント
跡見女子大学の地元埼玉県新座市では、昨年12月以来、(仮称)文化芸術振興基本方針策定市民検討委員会が開催されている。

去る23日には、同委員会の第4回会合が新座市民会館で行われた。

前3回の委員会での討議を経て、基本方針の骨子にあたる、基本理念、重点課題、具体的な施策のイメージがかなり明確に固まってきた。

基本方針の素案がどういう中身のものになるのかについて、やっとおおよその姿が見えて来たところと言ってよいだろうが、それにつれて、議論のレベルがかなり上がって来ているように思う。

文化芸術を振興するということについては、基本的には誰もそれに反対しようとする人はいないのだが、どういう文化芸術を振興するのか、という点については、当然、委員それぞれイメージがばらばらであり、これについて相互に理解を深めていくことはなかなか難しい。

これまでの議論の中で次第にはっきりしてきたのは、現状の文化芸術の状況との乖離は乖離として、ともかく望ましいあり方を達成目標として大きく掲げ、そこに向けて努力していくんだ、という理想主義的なアプローチと、それとは反対に、あくまでも現状に立脚して、足元から状況を少しずつ変えていくんだという現実主義的なアプローチの2つの立場があり、委員の考え方はそのどちらかに色分けされるらしい、ということである。

さて、どうしたものか、と思うが、理想主義的アプローチには現実への対応を、現実主義的アプローチには逆に理念の確立を、それぞれ合わせ技として提示してもらい、そのことで両極端の考え方に橋をかけるという作業をしていかなければならないように思う。

先日の委員会の最後に、次回は、文化芸術の中身(どういう文化芸術を振興しようと思うのか)について議論しましょう、ということになった。
実は私は、市民検討委員会でこういう展開になったのは、なかなか良いことだと思っている。議論をしだすと収拾がつかなくなってしまう恐れもなきにしもあらずだが、中身の議論をしないまま「文化芸術振興はいいことだ」というまとめにするよりもずっといい。

次回は、まとめ役(私)の力量が問われるところだ。

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