昨19日は国際交流基金の評価委員会に出席。
この委員会は、委員長の高階秀爾氏をはじめ、各分野の専門家である錚々たるメンバーが揃い、私がその一員として同席させていただいていることが自分でも不思議な気がする。(一応、舞台芸術交流の分野の専門家として呼ばれているわけではあるのだが。)
実際、この会での議論は毎回非常に参考になる。
議論の中身をここで紹介するわけではないが(紹介しようとするとなかなか大変なので)、昨日は、国際交流基金の小倉理事長から、「日本語の国際化」あるいは「国際言語としての日本語」を考えるのに面白いヒントになるひとつの事例の指摘があった。
成田空港で入国する際にゲート付近に日本語で何と書いてあるかというと、「おかえりなさい」である。同じ場所に英語では「Welcome to Japan」と書いてある。
同様に、出国の際は、日本語では「いってらっしゃい」である。
(ところで、出国の際は英語では何と書いてあるのだろうか。これまでそれに特に注意して見たことがなかったのではっきりと記憶していない。「See you again」なのか、「Have a nice trip」なのか。フランス語なら「Bon Voyage」だろうけれど。)
これは、当然、「Welcome to Japan」を「おかえりなさい」と訳しているのではなく、日本語を使う人(日本語を理解する人)はすべて日本に住んでいる人(おおむね日本人)だということを前提としているからこういう表現になるのである。
このことを、(私も含め)日本人は不思議と思わないが、他の国の国際空港で出入国ゲートに何と書いてあるのかを思い起こしてみると、(多分)英語の「Welcome」や「See you again」などの言い回しと同じ言葉が(同じ意味の翻訳語として)並べて書いてあるのが普通だろう。
(日本と同じようにしている国が他にもあるのだろうか。)
国際空港を、外国から来るゲスト(賓客)を迎え、送り出す施設(国の玄関)と考えれば、日本語でも、英語とおなじように、入国のときには「ようこそ」、出国のときには、「さようなら」、「よい旅を」と書くのが自然である。
ということは、現在の日本の「国際空港」のあり方は、少なくとも日本語に関して言えば、国内在住者向けの「国際空港」であるということになる。
ただ、そのことが、ただちに「よくない」とか、「日本語の言い回しの方を英語のそれに合わせるべきだ」、ということでもないとも思う。(観光振興の意味で「Visit Japan」キャンペーンを大々的に展開するのなら、論理的には当然そうすべきである。)
このことは、一見単純なことではあるが、日本と世界との関係のあり方や日本人の意識を考える際に重要な視点であろう。
この委員会は、委員長の高階秀爾氏をはじめ、各分野の専門家である錚々たるメンバーが揃い、私がその一員として同席させていただいていることが自分でも不思議な気がする。(一応、舞台芸術交流の分野の専門家として呼ばれているわけではあるのだが。)
実際、この会での議論は毎回非常に参考になる。
議論の中身をここで紹介するわけではないが(紹介しようとするとなかなか大変なので)、昨日は、国際交流基金の小倉理事長から、「日本語の国際化」あるいは「国際言語としての日本語」を考えるのに面白いヒントになるひとつの事例の指摘があった。
成田空港で入国する際にゲート付近に日本語で何と書いてあるかというと、「おかえりなさい」である。同じ場所に英語では「Welcome to Japan」と書いてある。
同様に、出国の際は、日本語では「いってらっしゃい」である。
(ところで、出国の際は英語では何と書いてあるのだろうか。これまでそれに特に注意して見たことがなかったのではっきりと記憶していない。「See you again」なのか、「Have a nice trip」なのか。フランス語なら「Bon Voyage」だろうけれど。)
これは、当然、「Welcome to Japan」を「おかえりなさい」と訳しているのではなく、日本語を使う人(日本語を理解する人)はすべて日本に住んでいる人(おおむね日本人)だということを前提としているからこういう表現になるのである。
このことを、(私も含め)日本人は不思議と思わないが、他の国の国際空港で出入国ゲートに何と書いてあるのかを思い起こしてみると、(多分)英語の「Welcome」や「See you again」などの言い回しと同じ言葉が(同じ意味の翻訳語として)並べて書いてあるのが普通だろう。
(日本と同じようにしている国が他にもあるのだろうか。)
国際空港を、外国から来るゲスト(賓客)を迎え、送り出す施設(国の玄関)と考えれば、日本語でも、英語とおなじように、入国のときには「ようこそ」、出国のときには、「さようなら」、「よい旅を」と書くのが自然である。
ということは、現在の日本の「国際空港」のあり方は、少なくとも日本語に関して言えば、国内在住者向けの「国際空港」であるということになる。
ただ、そのことが、ただちに「よくない」とか、「日本語の言い回しの方を英語のそれに合わせるべきだ」、ということでもないとも思う。(観光振興の意味で「Visit Japan」キャンペーンを大々的に展開するのなら、論理的には当然そうすべきである。)
このことは、一見単純なことではあるが、日本と世界との関係のあり方や日本人の意識を考える際に重要な視点であろう。
ニューヨークのJFK空港出口(飛行機で着いた人がターミナル敷地内から外の道路に出るところ)には、Welcome Home!
と書いてありました。
昔ニューヨーク港は移民の玄関口だったとのことですが、それが今はJFK。とにかく英語を一言も解しない人々がどっと押し寄せるこの空の港は、昔に変わらぬ「人を人とも思わない」扱いで悪名が高いです。ここで入国なんか、絶対にしたくないと最近はわざわざ他の空港乗り継ぎでNYに入るほど。
英語が分かる人だけ、Welcome Home!なのかな…なんてうがった見方をしてしまいました。
エラク遅いコメントながら、ご報告までに。
日本に一度も入国したことのない日本語学習者がそれを見たら、違和感を感じるのでしょうが、そういう方は少ない(あるいはほとんどゼロ)と考えられるので、そういう表記になっているという感じなのでしょうか。ちょっとした所に日本人の自虐的(?)な意識が表れているような気がします。
そうですか。JFKでは、Welcome home. なわけですね。
日本とアメリカだけ自己チューなのか、他の国でもそういうことはよくあるのか。どうなんでしょうね。
それに似た話は結構、フランスやドイツからも聞こえてきて、本当に日本人とアメリカ人は駄目なのか、あるいは欧州人の侮蔑・差別意識なのかと考えてしまいます。