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曽田修司の備忘録&日々の発見報告集

NPOの定義

2005-09-24 10:24:52 | 大学
NPOの定義について、簡単にまとめておく。

NPOとは、Non-Profit Organization (または、Not-for-the-Profit Organization)のことで、日本語に訳すと、「民間非営利組織(団体)」ということである。

NPOの一般的な定義は、次の要素をすべて備えていることである。
 ・利潤を分配しないこと(使命達成のために再投資すること)
 ・非政府であること(政府からの資金援助を受けるのは可)
 ・フォーマルな組織であること(組織としての体裁を整えていること)
 ・自己統治されていること(他の組織に支配されず独立して運営されていること)
 ・自発的(voluntary)の要素があること

以上は、アメリカのNPO研究者としてよく知られているジョンズ・ホプキンズ大学のレスター・サラモン教授による定義であるが、ときに、上記の5つに加えて、「公益的な活動を行っていること」という項目が付け加わっていることもある。だが、「公益とは何か」はややこしいので、一応、これははずして考えてもよい。

※出典:電通総研「NPOとは何か」(日本経済新聞社)

NPO(民間非営利組織)とは何か―社会サービスの新しいあり方
電通総研
日本経済新聞社

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以上は、定義としてのNPOの特徴だが、これに対して、NPOの特徴を、別の仕方で、例えば、次のように説明することもできる。
 ・自発性
 ・独立性
 ・先駆性
 ・非営利性

出典:伊藤裕夫・片山泰輔・小林真理・中川幾郎・山崎稔恵著「アーツマネジメント概論」(水曜社)
(なお、この出典は、伊藤裕夫氏の別の著作かも知れない。要確認)

アーツマネジメント概論
伊藤裕夫・片山泰輔・小林真理・中川幾郎・山崎稔恵著
水曜社

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あるいは、NPO法人「日本NPOセンター」常務理事の山岡義典氏(法政大学教授)によれば、NPOを中心とする「第三セクター」の社会的意味を、以下の4つの特徴によって説明している。
 ・先駆性
 ・多元性
 ・批判性
 ・人間性

出典:山岡義典編著「NPO基礎講座」(ぎょうせい)

NPO基礎講座―市民社会の創造のために
山岡義典編著
ぎょうせい

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また、寺島実郎氏によれば、NPOの社会的意義とは、次の3点である。
 ・雇用の創出
 ・コストダウン
 ・生き甲斐の創出

(出典)寺島実郎「2002年の展望―新しい時代は国民が創る」~NPOの歴史的な使命―社会政策としてのNPO~(NPO法人知的生産の技術研究会「知的生産の技術」第250号)

さらに、私(曽田)の考えるNPOの特徴は、次の3つである。
 ・ミッションの明確化
 ・利益内部不分配
 ・情報公開

このように、NPOについてだけでも、いろいろな角度からとらえて、さまざまな説明することが可能である。

以前、「芸術文化とNPO」という授業の中で、以上の説明を全部紹介したところ、「同じNPOを説明するのに、こんなにたくさんの説明の仕方がある、ということにほんとうに驚いた」という学生の感想があった。

繰り返しになるが、ひとつの事柄にも、このように、いろいろな立場からのいろいろな見方が可能である。どれか一つの意見が正しくて他の意見は間違っているというわけではない。
蛇足ながら、大変まじめな学生諸君(諸嬢かな)のために付け加えておくと、「結局、どれが正解なのか、わからない」などと悩む必要はない。「どれも正解」である。


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