ときどき、ドキドキ。ときどき、ふとどき。

曽田修司の備忘録&日々の発見報告集

E. T. phone home.

2005-04-28 23:57:37 | 大学
以下、支離滅裂風言葉に関するエッセイ。

春学期の跡見女子大学マネジメント学部で開講している「アーツ・マネジメントA」、それに、玉川大学芸術学部の「文化政策論」では、基本的に同じ内容の講義を並行して行っている。とは言っても、前者はこれまであまりアートに興味がなかったであろう学生が多いのに対し、後者は芸術学部の授業であるから、大筋は同じでも実際にしゃべるニュアンスはかなり異なってくる。
これらの講義では、毎年、スティーブン・スピルバーグのインタビューを取り上げている。ネタとして使っているのは、何年か前にNHKで放送された「アクターズ・スタジオ・インタビュー」という番組。ジェームズ・リプトンという教授が、映画俳優や映画監督に映画の撮影に関するエピソードをインタビューで聞き出していくシリーズの中のひとつである。

さて、授業で紹介したのは、同番組にゲスト出演したスピルバーグが「E.T.」について語っている部分である。

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「E.T.」の中の、エリオット(ヘンリー・トーマス)とガーティ(ドゥルー・バリモア)がE. T. に言葉を教える場面。
E. T. は漫画(cartoon)の一コマを指さして、「phone」と言う。次に、窓から宇宙を見上げて「home」と言う。そして、それに続けて、「E. T. 」「home」「phone」と言う。それを聞いて、ガーティが、「E. T. phone home.」と言う。
つまり、正しい英語の構文は、「E. T. phone home.」(E. T. はうちに電話する=したい)だが、語の順番は実はあまり重要ではなく、英語をしゃべる人には、「E. T. 」「home」「phone」と言えば、ほぼ自動的に、「E. T. phone home.」と正しい語順に並べ替えて考えることが可能なのだ。
この種のことは、われわれも日本語でしょっちゅう行っている。私も、このブログでときおり使っている「他ではあんまり使ったことがないけどまあいいや言語」、つまり、ヘンなんだけど一応通じる、というたぐいの用法である。あまりいい例を思いつかないけれど、「男はつらいよ」の中の古典的ギャグにあった「髭じゅう顔だらけ」とかいうようなもの。あるいは、歌人枡野浩一さんの「万引き」ならぬ「万押し」(書店に自分の本を勝手に置いてくること)とか。あと、「顰蹙を売る」(何なんだ、それは)とか、「手持ちブタさん」とか(笑)。「想定の範囲内」ならぬ「類推の範囲内」(?)。
考えてみれば、言葉というのは、正しく喋ることが重要なのではなくて、「(伝えたいことが)伝わるようにしゃべる」ということの方が大切なのだ。
英語を話すには、度胸を据えて、ブローグン・イングリッシュを喋ることから始めよう。
That's what I wanted to say. そのことが、私は言いたかったのだ。
重要な(伝えたい)単語をまず発語する。そして、もう一度、言い直す。あるいは、意味を整えるために関係代名詞(who, which, that, what)や関係副詞(when, where, how)を使う。このとき、それをこむつかしい文法としてではなく、聞き慣れた(言い慣れた)言い回しとして認識して使うことができれば、英語はてきめんに楽しくなってしゃべれるようになる(はずだ)。一度、お試しあれ。
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1 コメント

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Unknown (なかじ)
2005-04-29 09:46:02
某学部長は、近所のレストラン「○穀」で、店員に「ひまつぶし!」と注目したところ、ちゃんと「ひつまぶし」が出てきたそうです。
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