ときどき、ドキドキ。ときどき、ふとどき。

曽田修司の備忘録&日々の発見報告集

自転車は車道を走るべきか歩道を走るべきか

2009-06-29 19:17:54 | 大学
以下は、少し前に書こうとしていて、そのままになっていた話題である。

跡見女子大学では、1年生向けに論文やレポートの書き方を指導する「プロゼミ」という科目があることは、これまでにも何回か紹介してきた。

折り返し点を過ぎて、そろそろ実際にレポートを書いて提出してもらう時期になってきたので、テーマを考えてくるように指示した。

一人の学生が、私の質問に対して、「自転車は車道を走るべきか歩道を走るべきか」というテーマでレポートを書きたいと答えた。

そのやりとりを聞いていた周りの学生の一人が、「自転車は車道を走ることになってるんだよ」と口を挟んできた。
そのことは、たしかに正しい。(まだちゃんと確かめていないので、正しいはずだ、という言い方が適切だが)。

「法律上はたしかにそうだよね。自転車も自動車と同じく車両という扱いだからね」と相槌を打ったあと、でも、このテーマはそこで終わりになるのではなくて、もっと調べると面白そうだからやってみたらいいと思うよ、と答えた。

そうなのだ。
まさに、この点が急所なのだ。

たしかに、法律では自転車は車両という扱いだから、車と同じ道を走らなければならないのだろう。
だが、現実に、自転車は車道を走りなさい、と言ってものごとは解決するだろうか。
そんなことはとても危なくて出来ない、という場所の方が多いのではなかろうか。そもそも、自転車は歩道を走るべきか車道を走るべきかという問いが発せられること自体、「普通は車道は走らないぞ」という常識的な感覚に支えられていると言っていい。

つまり、法律の決まりごとだけでは世の中は解決していない、ということは山ほどある。

自転車の専用道路をつくろう、という発想が出てくるのは、交通量の多い幅の広い車道を自転車が走行することに無理があるからだ。

とすると、法律でこう決めてあるけど、なぜ、そうなっているのか、とか、それでいいのか、とか、どこに不都合があるのか、とか、後から後から、数限りなく疑問が湧き出てくる。こんなにもレポートの題材としてぴったりのものはなかなかないだろう。

ということは、最初に、「法律で車道を走ることに決まっているよ」という正解(らしきもの)で納得してしまっては、後で悔やんでも悔やみきれないほど、もったいないのである。

ここのところの感覚を、ぜひ学生諸嬢には身につけてもらいたいものだ。ここのツボがわかれば、よいレポートが書ける。
ぜひ、がんばってもらいたい。





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