ときどき、ドキドキ。ときどき、ふとどき。

曽田修司の備忘録&日々の発見報告集

お見事! 「野田版 鼠小僧」

2005-06-26 22:44:38 | アーツマネジメント
第十八代目中村勘三郎襲名記念として、「勘九郎箱」という全10巻のDVDボックスセットが発売されている。
この間注文したものが届いたので、早速、「仮名手本忠臣蔵 五段目・六段目」、「野田版 鼠小僧」を観た。
忠臣蔵も面白いが、そういうオーソドックスなものより、「野田版 鼠小僧」が断然面白い。
野田版とは、劇作家野田秀樹の台本によるもので、この芝居、最初から最後まで野田ワールドである。
勘九郎(当時)をはじめ、出演の歌舞伎俳優がみな面白がって野田流のギャグを楽しそうに演じているように見える。
そうだよなぁ、歌舞伎役者も「芸術」っぽい演目だけをやるんじゃなくて、ときにはこういうハチャメチャに楽しい芝居もやりたいんだろうなぁ、と思った。これまでは、やろうと思ったって、そういう機会がなかったのだから。
といって、舞台はただおちゃらけているだけの軽いものではない。
最後は、勘九郎扮する鼠小僧こと棺桶屋の三太と大岡越前守忠相(坂東三津五郎)との法廷対決。個人と権力をめぐる哲学的な考察が(しかも、わかりやすい言葉で)繰り広げられ、二転三転の大どんでんがえし。手に汗握るサスペンスフルな本格芝居であった。(ただし、非常にわかりやすい台詞で書かれていたとは言え、それでもやや生硬な哲学論議風になったところがあり、そこは少し青臭いと感じた人もいるかも知れない。)
これは、野田の先輩世代の劇作家井上ひさしの名言である「難しいことをやさしく、やさしいことを深く、深いことをおもしろく」そのままである。まさに、見事という他はない。
これには、野田秀樹を知らない歌舞伎ファンも大喜びでやんやの喝采だったのではあるまいか。
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