![]() | ネットと戦争―9.11からのアメリカ文化岩波書店このアイテムの詳細を見る |
青山南氏の「ネットと戦争」を読む。
この本は、文芸誌「すばる」に同氏が2000年7月号から連載しているネット浮遊記「ロスト・オン・ザ・ネット」を元に、2001年9月11日の事件以降のものをピックアップして構成したもの、とあとがきに説明がある。
「ロスト・オン・ザ・ネット」というタイトルがいい。
私も、去年、ソフィア・コッポラ監督の「ロスト・イン・トランスレーション」という映画についてこのブログで2回ほど取り上げたことがある。
ロスト・イン・トランスレーション
ロスト・イン・トランスレーション(2)
「自分の居場所を見失っている」という状態は、現代に生きる誰にも多かれ少なかれ共通するものだろう。
翻訳家の著者は、インターネットの出現によって翻訳をする際の調べ物がだんぜん楽になったと指摘している。グーグルの素晴らしさにも触れている。その便利さは、「まったく夢のようだ」という。
そのとおりだろう。
一見どうでもいい情報が自分が一番欲しい情報であることもあるし、それへの入り口であることもある。いわゆるアカデミックな情報検索で得られるのは、アカデミックな文脈で有用な情報に限定されていたのだから、即時性からみても網羅性からみても、これまで図書館で得ることが出来た情報の量とはケタ違いである。
まったく、情報量があまりに巨大すぎて、どうしてよいかわからななくなってしまうほどだ。
この時代、情報を扱う編集能力がますます重要になってきている。ゴミの中から宝ものを見つけることのできる眼力が問われているのだ。
「ロスト・オン・ザ・ネット」自体は未読だが、本書の内容を参考にすると、それは情報の海で自分が溺れてしまわないようにするための、情報リテラシーの指南書的なものなのだろう、と思える。
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