くるたのしき・・・スカイランナーへの道<復活!>

走ることは「苦しいけど、かくも楽しいこと」つまりは『くるたのしいこと・・・』と、高山を走るスカイランナーを目指した手記。

第63回富士登山競走・・・完走できた!

2010-07-26 22:27:19 | 山岳マラソン

7月23日 灼熱・・・暑く、・・・熱く、燃えました!

くるたのしき・・・第63回富士登山競走が今年も開催されました。この日の為に1年間厳しいトレーニングを積み上げてきたであろう富士登山競走を愛する人たちが、平日にもかかわらず、5千人を超えて全国各地から富士吉田市役所前に集まった。

私の場合、この大会に出て、時間内完走することが年間での1つの大目標。(数年前までは富士登山競走で3時間台で走ることが目標だったけど、怪我やらアクシデントなどがあって練習量も稼げず、当然ながら目標が少し萎んでしまった)。が、駅伝、マラソンやらマスターズ陸上でも熱く燃えるのは事実だけど、この富士登山競走ほど私の中で情熱を注ぎ込む大会は他にない。冷めた見方をすればただのレースで「遊び(=趣味)」の一環なのだけど、そんな「遊び」に思い入れる気持は「ただの遊び」を超越していると自分では思う。兎に角、走力に乏しい私の場合、相当練習しないと達成できない時間内完走っていう目標をもって、1年に1度だけこの日の為にだけ(と言い切ってもいいほどに・・・)1年間頑張って走ってきた成果を試す日がやって来たのだ!

数年前まではランナーズなどのマラソン雑誌では頻繁に富士登山競走を煽りたていた。昨年は申し込み数日で参加制限人数を超えてしまった。その挙句、(練習が浅い?選手なのだろうか)レース途中に死者まででた。そもそも走る場所が高地のガレ場という特殊で、一般の人が富士山を登るということすら厳しい場所を、普通のマラソン大会のように「完走必勝法」などの記事で囃し立てた結果で、いつかは必ず発生する大事故だったと(事故状況は判らないが)私は思う。(多分)その反省もあってか、今年のランナーズからは富士登山競走の特集記事は無くなり、富士登山競走参加者も5合目コースを走り2時間30分以内の記録を持つ者とした今年の大会運営の処置は大正解だと思う。5合目通過タイムが2時間30分辺りでは到底山頂コース時間内完走は無理なのだが、5合目以降の「走り」に参加する資格があるかないかの線引きする点として2時間30分は妥当だと思う。

Imgp2916 そんなわけで今年の富士登山競走は数年前までとすっかりスタートの様相が変わってか、ランナーに若者が多くなった!トレイルランニングブームによるところだろうけど、一頃までの富士山を愛する「富士登山競走命!」のおじさん、おじいさんランナーがすっかり影を潜めた感がある。それとランパン・ランシャツの風体から、トレイルランニングの雑誌記事を切り取ったような高機能タイツでバージョンアップした方々が多いのも特徴的だった。色々な面で様変わりした富士登山競走だけど、結局は走る中身(苦しさ)は何も変わらないで・・・、苦しくてかくも楽しい(=くるたのしい)富士登山競走が炎天下の中、今年も開始された。

前夜にいつもの駐車場に車を停め、車中泊で朝を迎えた。前夜まで食あたり?で、軽い下痢に悩まされて体調イマイチだったけど、睡眠は適度にとれて、爽やかな朝を迎えた。早朝、車からの富士山はくっきり、実に雄大に見えた!

5時過ぎの受付でゼッケンなどを貰い、出走準備に取り掛かる。このレース前の短い時間、煩わしいほどの参加準備の忙しなさと、スタートを待つ緊張が私は大好きだ。

私の今までの記録が「不甲斐ない」と判断されるのだろう、今年は「Cクラス」という後方スタート組となる。クラスはA、B、Cと別れて、この最下位クラスの「C」の位置はちょっと悲しいけど、昨年の記録を見ればまあ仕方が無い・・・。今年は「参加できる」だけでも由として、山の神様が「まあ頑張りや!と言ってると理解して(ちょっと悔しいけど)受け入れる。いつもの仲間はA、Bクラスの模様で、キナバルの友たちにはN村さんを見かけただけで、スタートでは誰にも会えず・・・、ちょっとだけ(みんなに置いていかれたようで)寂しい。

Imgp2911 スタート前、キナバルクライマソンのレースデェレクターに会うことができ再会をお互い懐かしんだ!。私は2006年のクライマソンレースのときに偶然に撮られた写真が、2007年のマレーシアサバ州のボルネオ島観光局パンフレットの表紙になった現地の「有名人」。なのでレースデェレクターには確りと挨拶と抱擁・・・。彼もやっぱり覚えていてレース前の大会イベントブースの前で2人で大いに盛り上がった!

さて、スタートはC組最前列に並んだが、B組の選手層が厚つかった。今年は参加者は選別されて、選手レベルが上がるので、まあ完走率が50%とアップしたとすれば、B組の半分以上、前にいる多くの選手を喰って走らないと時間内完走は到底無理。多分走ったとき回りのランナーが「Cクラス」であった場合には、8合目関門も突破できないだろう。このレースの特徴として山道に入った馬返しから、また5合目以降からも順位を大幅に上げることは難しいことを考えば、スタート直後から如何に順位を上げてロードを走り切るまでに如何に上位に食い込んでいるかが1つのカギと考え、ロードを耐えて走ることを戦略とした。特に今年から山頂コースの選手は全てレース「経験者」。尚且つBクラスの中でも半分程度しか山頂到達していないことを考え(加えて参加選手のレベルは以前より数段上がっていることを考えて、さらにレース後半でたびたび渋滞が発生することを考えると)、私のような完走ボーターラインの走力の者は、今年の場合、兎に角前半を相当頑張らないといけないと覚悟した。

Imgp2924 スタートは、毎年恒例の「エイ・エイ・オー」の掛け声で盛り上がり、スタート前のピリピリした緊張感を吹き飛ばしてくれる演出には感謝と感動。号砲一発、定刻7:00に転倒者もなく軽快にスタートした。スタートはスタートラインを切るのに既に渋滞でノロノロムード。このCクラス組集団を突破しないと目標達成できないアセリがあって、なんとか人を掻い潜って前に前に走った。スタート付近も標高800mほどの高地なので、既に息苦しく、これに暑さも加わってレース序盤からかなり苦しかった。

Imgp2926 スタートして数分後、浅間神社の登山道の木陰に助けられて、暑さを回避して、なんとか「ガマン、ガマン」とブツブツ繰り返して集中力を高めて走った。このロードでの最後までの頑張りが完走確立を大幅アップさせることを信じて、馬返しのエイドステーションでの恵みの給水を思い描いて走った。馬返し通過は1時間8分。目標タイム設定では、馬返しは1時間4分だったので、ここで既に4分遅れている。Imgp2928

Imgp2927 登山道に分け入ってからは、走れるところは走る、歩くところはガマン・ガマンで歩き、前の走者の隙を見てスッっと前に出ることにだけしっかり集中し、順位は落とさず、数人ずつ、少しずつ順位を上げていくことを心がけた。ここでは「ちょっと休もう」と思う心の隙は後々には命取りになることを十分に知っているので、この登山道はロードとは違う筋肉を上手く駆使して「苦しいことは当たり前」と覚悟を決めて登った。

Imgp2937 5合目前は酷い渋滞で数分を費やし、五合目関門に到着。2時間8分。例年1時間56~58分が私の目安だったことを思うと、ここでも大幅に時間を落としていることで(ちょっと)あせる。だけど渋滞が多く、それでも周りの選手は意外と冷静にマイペースで走ってることを分析して、改めて集中集中で、諦めない気持だけを強く持って走った。

Imgp2940 Imgp2943 7合目までのガレ場と砂地は先週試走した御殿場登山口で否になるほどもっと足場の悪い道を走って練習していたことが功を奏したのか、また5合目まで無理せずに力を温存できた為か、例年苦しむ道を以外なほど苦にせず走れた。ここでは順位を上げることは出来ないが、落とすことなく岩場までたどり着いた。7合目から8合目までの岩場は大渋滞。登山客、特に外国人登山者が多く、ランナーなんかはお構い無しにマイペースで岩場の狭い登山道に立ち塞がるので、ここでかなりの時間ロス。8合目関門が3時間51分。ここの目標は3時間40分だったので、それでも5合目までの時間ロス以上の落ち込みはなんとか回避して登れたことになる。途中で六花さんに抜かれて、8合目関門前にはキナバルの友のY本さんに抜かれしまった。Y本さんは大きな登山用のリュックを背負ったままで走っていて、そのいでたちに驚く。あんなモノを背負ってるY本さんを見て、あれでも走るのだから・・・と勇気づけられて彼のリュックを見つめて走った。

Imgp2939 9合目過ぎ・・・。4時間半の制限時間まで残り10分を切って、頂上ゴールが見えているのにその距離が全く縮まらずかなりあせる。みんなで「頑張ろう!頑張ろう!」「皆でゴールしようぜ!」「まだ間に合う!」などと声掛け合って、周りのランナーと一体になって励ましあって兎に角頑張った。残り5分を残して鳥居前に到着し・・・、なんとかなんとか多くの拍手の中ゴールできた。時間はなんと4時間26分。制限時間4分前のヤバイタイムだった。後半の途中、1回かでも足が攣ったり休んだりしたらOUTだった。それでも目標の時間内完走が出来たことは、ただただ練習にかけた時間、富士山に通った時間、毎日走った距離、これを可能にしてくれた家族や友人の応援など、諦めない気持を強く持てたことが勝因なのだと思う。

Imgp2948 意外なほどギリギリ時間のためか、ゴール後に感動の涙は出なかったけど、山頂で喜ぶ周りのランナーと一緒に握手し合ってお互いの時間内ギリギリ完走を称えあった暫しの時間は全くもって充実したものだった。諦めなければ・・・達成できる!そんなことを強く思えた瞬間でもあった。Imgp2950

下山は(故障しないように)マイペースで雲海を見ながら、「富士山ありがとう」を心で呟きながら駆け下りた。あとは、走る機会を与えてくれている家族(特に家内には)感謝して駆け下りた。数日前、有志で応援してくれた会社の同期たちにもちょっと感謝・・・。いつも一緒に走ってくれる三島陸上の子供達、コーチ仲間にも感謝・・・。目標達成&山頂到達後の下山っていう状況は色々なことに本当に感謝し、反省し、心を整理して素直な心にさせてくれる不思議な力があるように感じた。Imgp2954

今年は完走賞に「フィニッシャーTシャツ」が準備されていた。これを手に出来るのは参加した中でも1000人ちょっとのはず。このTシャツは今年が最初なので、(私の中では)かなりのプレミアモノ。デザインもシンプルで素っ気ないTシャツだったけど、色がサロマブルーのようで斬新で、このTシャツを手に出来て本当に良かった!Imgp2971

来年は・・・と聞かれたら、やっぱり限界を感じるまでは(完走如何に関わらず)挑戦し続けようと思う。富士山にはそんな『挑戦』を受け入れてくれる懐がある・・・。なんかそんな気もする。受け入れてもらえるまでは、何歳になってもまだまだ挑戦し続けていこうと今は思っている。Imgp2958