小田博志研究室

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大峯奥駈体験記(2016年3月順峯)

2016-03-31 | 自然

(作成途中です。今後補足していきます。)

 あこがれの大峯奥駈にチャレンジした。

 すでにネット上にたくさんの奥駈体験記がアップされている。けれどその多くは逆峯であり、僕は季節的に珍しい3月に行ったということもあり、記録としての価値が多少あるかもしれない。ちなみに順峯とは熊野から吉野まで北上するルート、逆峯は吉野から熊野へと南下するルートのことである。アクセスのしやすさから近年は逆峯が主流となっていた。また中間地点の「太古の辻」以南のいわゆる南奥駈道は、廃れた状態が続いていたが、那智の青岸渡寺や新宮山彦ぐるーぷの尽力で復興しつつある。

行程

3月16日~18日:熊野古道伊勢路の花の窟から新宮、那智を巡り熊野本宮に至る。

19日~27日:ここからが奥駈道。熊野本宮から吉野まで。

 

装備

ザック:グレゴリーz35という35リットルのザックにした。10日になんなんとする日程なのでもっと大きい容量のザックも考えたが、山中を大きくて重たい荷物を背負って何日も歩くことは避け、できるだけコンパクトにすることを優先した。ゆえにテントはもっていかなかった。

ポーチ:地図、財布、ノートブック、スマホなどがすぐ取り出せるように肩から掛けて利用。

衣類:下着類は3日分のみ携行。化繊の速乾性のもの。半袖Tシャツの上に長袖Tシャツを着た。ソックスは地下足袋用に親指が分かれたタイプのもの。防寒用に薄手のダウンセーター。レインジャケットとズボン。レインジャケットはふだんのジャケットとしても着用した。

履物:登山靴ではなく、地下足袋を履いていった。現代の山伏のスタイルだ。ソールに空気が入った「エアージョグ」という製品にした。これは最近、熊野古道中辺路を歩いたときに試して、その快適さは実証済み。

寝袋:スリーシーズン用のダウンのスリーピングバッグ。ナンガというブランドでアニマルライツを考慮したヨーロピアンダウンを使用している。これに筒形のインナーシーツ、イスカのシュラフカバー、空気注入型のマット、アンダーシートを加えた。

シングルのトレッキングポール

ヘッドライトと予備電池

コンパス機能付き腕時計

多目的ナイフ:ビクトリノックスのアーミーナイフ

ライター

帽子

ウールの手袋

物干し用のロープと洗濯バサミ

スマホと充電コンセント、充電池

ロールペーパー

   

食糧

炒り玄米7合(玄米を1日水に浸してから、パチパチはじける音がするまで炒った)

ナッツ(アーモンド2袋、ヒマワリの種1袋、ゴマ3袋)、ドライフルーツ(デーツ1袋、アップル1袋、チェリー1袋、クコの実1袋)、梅干し

水2リットル×2(市販のミネラルウォーターのペットボトル)

 

【熊野古道伊勢路編】

3月16日

熊野市民宿発 

花の窟―七里御浜―熊野速玉大社

新宮ホテル泊

 

3月17日

神倉神社―阿須賀神社―高野坂―浜の宮王子・補陀洛山寺―熊野那智大社・青岸渡寺―那智大滝

大戸平泊

 

3月18日

大雲取―小雲取―湯の峰温泉

湯の峰温泉民宿泊

 

【大峯奥駈編】

3月19日

大日越え―熊野本宮―大斎原―備崎―玉置神社

玉置神社駐車場テント泊

 

3月20日

行仙山小屋泊

 

3月21日

持教ヶ宿山小屋泊

 

3月22日

前鬼小仲坊泊

 

3月23日

楊枝ヶ宿山小屋泊

 

3月24日

行者還岳山小屋泊

 

3月25日

山上ヶ岳小笹山小屋泊

 

3月26日

吉野山中泊

 

3月27日

  

【奥駈を終えて】

 3月の大峰山は予想以上に寒かった。釈迦ヶ岳から孔雀の覗にかけては雪が残り、道を見つけて下るのに苦労した。通常の倍以上の時間はかかった。さらに2,000m近い八経ヶ岳から弥山にかけては冷たい西風に吹き付けられ、やはり積雪で道が隠されている箇所が多く、きつかった。

 夜間はかなり冷えるので、スリーシーズン用の寝袋では足りず、眠りが浅くなった。防寒具として持っていったダウンセーターも役不足だった。

 ふだん街で着けているウールの手袋は、岩場の摩擦で指先に穴が開き、防寒の用をなさなくなった。さらに寒風を防がないから指先が冷えて困った。

 食糧は用意したものでことさらひもじさを覚えなかった。これに炒り大豆を加えるともっとよかっただろう。

 「山と高原地図 大峯山脈」は大まかな方向を知るには有用だが、細かい部分はこれでは分からない。新宮山彦グループの「イラストマップ」と併用することが望ましい。

 

【謝辞】

 長年に渡って南奥駈道を整備し、山小屋を管理運営されている新宮山彦グループの皆さんのご尽力にはただただ頭が下がる。木の枝に巻き付けられたマーキングテープに何度助けられ、安心したことか。また口頭でも親身になってご助言いただいた。こうしたサポートがなければ僕はとうてい奥駈を完遂することはできなかっただろう。心より厚く御礼申し上げる。


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