映画さんぽ シスタマゴの徒然日記

映画大好きな姉妹が、最近観た映画のレビューや日々の出来事を気の向くままに綴っています♪

きみはいい子

2015年08月26日 | 映画
中脇初枝さん原作の連作小説から3篇に焦点を当てた群像劇。
『そこのみにて光輝く』の呉美保監督作品。

小学校の日常を追いながら、そこにある問題をそれぞれの視点で描いています。

小学校教師岡野先生役の高良健吾さんの頼りなさ。真面目なんだけれど問題が起きても対応しきれず、周りに振り回されている様子がよく表れています。


同じく教師役の高橋和也さんは、どうやら学校内の“特別学級”が受け持ちらしい。
呉美保監督の前作では、威圧的で暴力的な男性を演じていましたが、今回はそれを微塵も感じさせない役でした。

どうやら、池脇千鶴さん演じる主婦の夫らしいのですが、画面上ではあえてハッキリさせてない作りになっています。

学級内にいる、いじめっ子にいじめられっ子。岡野先生が問題に対応するも、その頼りなさに生徒からはなめられていて、学級崩壊寸前(いやすでに崩壊してるかも)
なんとなく家庭内で虐待されていると感じている生徒に対しても、それ以上踏み込めない。
やることが裏目に出てしまい、家で愚痴をこぼす様はいかにも今風の青年であるなぁと感じました。



外にいる時は抑えていても、家に帰るなり娘を虐待する母親を尾野真知子さんが演じています。
公園でよく会うママ友の中に、やや野暮ったい格好のママ、大宮さん(池脇千鶴さん)がいて、いつも自分の娘を褒めるのを若干疎ましく思っています。
原作にあるのか知らないけれど、大宮さんを訪ねる前に必ずドアに耳を付けて中の様子を窺うシーンがあります。
ドアから漏れてくる喧噪をどういう気持ちで聞いているのか、説明はないけれど、その気持ちが若干通じる場面でもあります。

岡野先生は、子供に“宿題”を出すのですが、翌日その“宿題”の生徒のそれぞれの答えのシーンが、そこだけやけにリアルな感じがするのは、きっと役を超えて、本当にその“宿題”を生徒役の子にさせてきたからではないかと想像します。子供たちのはにかみながら答える姿が自然で印象に残りました。

自閉症の子どもを演じた加部亜門くんは、最近『ぼんくら』や『小暮写眞館』などで知っていましたが、本当に障害者なのかと思わせる演技で素晴らしかったです。

この映画の中では、小学校自体問題を直視せず、できれば何事もなかったように済ませたいという雰囲気が溢れています。こういうことは現実にも起こっており、日本の学校の“事なかれ主義”を象徴しているように感じます。

つくづく“先生”というのは大変だなぁと思います
コメント
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