この作品は第二次世界大戦後のドイツを舞台に、青年と年の離れた女性の悲恋を描いたもの。
少年時代のマイケルとハンナを見ているとこんな愛の形もあるんだなぁ…なんて思っていたのですが、
のちの年齢を重ねたマイケルとハンナの間には微妙な距離があり、
お互いの心に溝ができてしまったのが切なかったです。
マイケルがハンナの「秘密」を知ったこと、彼女がかつて犯した罪のこと、そして取り戻せない時間…。
マイケルは昔のようにハンナの朗読者になり心通わせていたように思ったけど、
いざハンナと直接顔を合わすという時に避けてしまったのは、どこかに怖さがあったり
二人の関係にズレを感じたからでしょうか…?
このあたりのマイケルの気持ちは少しわかりにくくもあったけれど、
複雑な気持ちを抱え込んでいたんだろうということが伺えました。
この作品ではホロコーストの問題も取り上げられていますが、ハンナはこの時代の犠牲者のようなもの。
裁判では彼女のとった行動の責任を問い詰められていたけれど、
当時の狂ったような常識の中では、それこそどうしようもなかったのだと思います。
上からの命令とあらば、自分がどう考えていようと従うしかできないのだから。
逆にハンナが裁判官に「じゃあ、あなただったらどうしたの?」と聞くシーンがありましたが、
裁判官は何も答えられず沈黙したままでした。
何をどうすれば正しかったのか…なんて、当時と今の常識や価値観が違うのだから答えは出ないのでしょう。
そう思うと戦争というのは本当に残酷なものだと思いました。
ハンナとの恋愛を通して、長い間重い気持ちを背負い心を閉ざしたままのマイケルだったけど、
ラストシーンではそれらが救われるように描かれていて良かったです。
いい余韻を残して映画館をあとにできました。
余談ですが、むーちゃんは予告編を見た時点でハンナの秘密を察してしまいました。
(なんとなく「そうなのか~。」と思っていた程度で、まさかこの作品の重要なポイントになっているなんて思ってもいませんでした。)
一方、ビーちゃんは特に意識していませんでした。
この作品について言えば、秘密についてはまったく何も気づいていない方が驚きもあって楽しめると思います。
そんな意味ではむーちゃんはちょっと損したのかもしれません…
「愛を読むひと」ごっこ?
原題:The Reader
監督:スティーブン・ダルドリー
製作:アンソニー・ミンゲラ、シドニー・ポラック
製作総指揮:ボブ・ワインスタイン、ハーベイ・ワインスタイン
原作:ベルンハルト・シュリンク
脚本:デビッド・ヘア
撮影:クリス・メンゲス、ロジャー・ディーキンス
美術:ブリジット・ブロシュ
編集:クレア・シンプソン
音楽:ニコ・ムーリー
製作国:2008年アメリカ・ドイツ合作映画
上映時間:2時間4分
<キャスト>
ケイト・ウィンスレット
レイフ・ファインズ
デビッド・クロス
レナ・オリン
ブルーノ・ガンツ
アレクサンドラ・マリア・ララ
カロリーネ・ヘルフルト