現代では設定といい、テーマといい地味な作品と言えるだろう。高原に立つサナトリウム。時間さえ止まったような魔の山に若いひとたちが生きている。彼らは何を思い、何を考え、何を信じて生と死を見つめているのだろうか、、。
死を意識しながら毎日の時間を過ごしている患者たち。医師や看護師たち。そして患者に見舞いに来る友人たち、恋人たち、家族たち、、。当然ながら彼らすべてにそれぞれ固有の人生が存在する。
サナ . . . 本文を読む
当時の新女性たる与謝野晶子、宮本百合子、林芙美子が、飛行機ではなく鉄路でパリまで旅した心象を現代女性とリンクさせた野心作、という触れ込みなんだろうが、どうも心に食い入るものがないようにに思われた。
それは主人公である現代女性森あゆみが、何ら自分を吐露することなく、この3人とシンクロさせようとしているからのように思われる。森がどういう人生を生き、何を悩み、何を喜ぶのか、という根本的なことがほとんど . . . 本文を読む