音楽が全くない。周囲の物音がそのままの音量で聞こえる。まさにその音自体が映画音楽であるかのようだ。当然2時間ずっと観客は緊張を強いられることになる。最近あまり見なくなったドグマ映画だが、やはり素晴らしい。
2時間ずっと主人公の女の心臓の音が聞こえているようなのだ。空気は柔らかいのだがピシッと冷たい感覚がこちらに伝わってくる。彼女の、そして彼女を取り巻くすべての人たちがすぐそこにいるように思える。 . . . 本文を読む
題名からは計り知れない超娯楽作であり、政治劇であり、民族歴史叙事詩であり、そして何より哀しくも強い人間賛歌の秀作であります。
チェコ、その名を我々日本人はどこまで知っているか。既にスロバキアとは離別している国家だと言うことすら我々はほとんど知らないのではないか、と思う。
この映画はコメディっぽく見せてはいるが小さな大人である主人公(これはチェコそのものを象徴していると思う)から見たチェコの現代 . . . 本文を読む
うーん、映画の2/3までは画面に引き付けられ主人公同様観客もおろおろしていたのは事実。一体どうなってるんだ、このハナシの顛末はどう付けてくれるんだろう、とこの手の時間軸ミステリーはやはり興味深々で娯楽作の醍醐味でさえある。
何となれば、観客はこの不思議なハナシが誰かに操作されていると思っているからなのであります。主人公のブロックの脳裡の変調がこの話の種だなんて夢にも思わないのであります。だから頭 . . . 本文を読む
タイタニックから10年。その悲劇の主人公がそのまま夫婦となって蘇る。スター映画を期待するファンは見事、夫婦のとてつもない赤裸々な実像に冷水を浴びる。
1950年代。音楽も調度品も映像自体もアナログに徹している。まるで最新映画館で旧作を見ているようなそんなすっぽり感さえある。日本人の僕でさえこうだからアメリカ人はそのノスタルジーで一種の現実逃避を感じる人もいるだろう。
しかし、意地の悪いサム・メ . . . 本文を読む