集改センターの第156回 スキルアップセミナー報告
開催日:2018年(平成30年)2月7日(水)
テーマ:「団地型と複合型の管理規約を検証する」
講 師:枝 俊男(本会・正会員/管理運営事業部長・マンション管理士)
<セミナー概要>
■はじめに
マンション標準管理規約の「団地型」「複合型」には問題が多く、一元管理の「管理費会計」と棟別「修繕積立金会計」
で様々な問題が発生しています。安易に作成された(と思われる)団地型標準管理規約と複合型標準管理規約。2つの管理規約について検証していきます。
■団地型標準管理規約
団地型にはいろいろなタイプが考えられます。同一敷地に3つの区分所有建物が存在している場合。敷地は3つの区分所有建物が各々所有しているが、
駐車場や通路を共有している場合、もしくは1棟の区分所有建物の1室を集会室として他の棟と共有している場合等があります。団地型標準管理規約においては、
管理は団地管理組合という組織で行い、義務違反者に対する措置等の一部は棟別の総会で決議するとしています。管理費、駐車場使用料等の「管理費」
は団地管理組合で一元管理し、「修繕積立金」については、団地修繕積立金と棟別の修繕積立金で区分経理し、
各棟の修繕積立金の改定は棟総会では決議できないとされています。大規模修繕工事において各棟の負担配分等で、「高層棟」と「低層棟」
が混在している団地形態の場合に問題が発生しているケースがみられます。
■複合型標準管理規約
複合型標準管理規約は大規模な開発型マンションを前提とせず、いわゆる下駄ばきマンションといわれる低層階に店舗があり、
上層階が住居になっているマンションを対象としている、としています。会計処理は全体管理費、住宅及び店舗一部管理費、
全体修繕積立金、住宅及び店舗一部修繕積立金で区分経理し、一元管理となっています。大規模開発マンションを対象としていないのに、
ここまでする必要があるのか、という感じをうけます。店舗・事務所の比率が少なく、一部共用部分がないような場合は、
単棟型の管理規約でよいのではないか、と思っています。複合型では住宅部会、店舗部会という構成をとられている管理組合が多くみられますが、
修繕工事を実施する場合に住宅・店舗それぞれの負担割合をどうするか、ということで紛糾するケースが多々あると聞いています。
■最後に
「団地型」「複合型」のマンションにおいては、いろいろな形態を考慮し、強行規定に違反しない範囲で、標準管理規約にとらわれず、
自分たちのマンションにあった管理規約を定めることが大事です。
~次回開催予告~
■第157回スキルアップセミナー 2018年3月7日(水)午後3時から
テーマ:「新築工事のあれこれ設計、監理の観点」
講 師:實本 勝也(本会・正会員/設計監理事業部・)
<新築工事のあれこれ設計、監理の観点>
マンションにかかわらず、新築建物が出来るまでにはいろいろな立場の人がかかわります。そこで設計者の観点、監理者の観点また立ち位置とは何か、
自分の家を建てるとき設計者は本当に必要なのかをお話しします。