集改センターの第44回 集改塾 報告(出席11名)
この日(3月7日、水曜日、午後7時00分~8時30分)は、先月2月塾長(1級建築士)の講義に続き、同じく1級建築士で新築設計(企画・設計・監理)の実務に経験豊富な實本勝也氏に「新築工事のあれこれ設計・監理の観点」をテーマに講義をしていただきました。
< 塾生の声 Aさん >
新築の設計の仕事が、大変大勢の人との関わりであるというのが、何となくわかりました。とても一回では理解できないと思いましたが、すごく面白くお話を聞かせていただきました。
用途地域や容積率、建蔽率、日陰線、天空率など敷地の性格による建物の形の話や、構造を選ぶ際の基準がお金と安全、用途による柱の大きさや壁の有無だったりすること。その土地にどんな建物が建つかなんて、僕には全然想像できないところです。
脱線した姉歯さんの話からの構造の矛盾点も。コンクリートと鉄筋の比率が大事で、柱は大きければいいものでもない。冒頭の「あいつ何してくれてんねん!」は、今年の流行語大賞行けそうです。脱線といえば、高松伸さんのデザインの話はかわいそうなほど面白かったです。当時斬新な建築物も、あれだけ言われれば形無しですね。「デザインと無駄」は表裏一体なのだなと感じました。
個人的にIoTが建築に関わってることは流石に驚きました。関連技術の進歩に、建築が対応するのは大変なことなのですね。電気関連はインターネットの進歩がまさに光並みで、日進月歩の建築では追いつけそうもありません。というのを感じました。最後の検査済証の話では、改修の仕事にも大きく関わっていて、何が増築に当たるか?も触りだけわかったし、ちゃんと理解しなければいけないなと思いました。新築時に容積率いっぱいまで建てる話は、松山先生にもよく聞いていたのに、よくある外構工事(駐輪場の増設など)が容積率に関わる増築に当たることから、限界一杯で施行することができない。
お話聞いている中でやっとその意味に気づいてハッとしたり、そんな大事なこととは露知らず、強引にやってしまった管理組合さんは違法建築となるために、いざという時の売却にまで影響が出るとか、その責任はさて取れるのか? そして、そんな違法建築が実はゴロゴロあってあそこどうすんねん?とか。これからそんな物件の改修に当たるのかと思うと、今から戦々恐々としてます。
今回、いつもとはまた違う角度とタッチで話を聞くと、いろんな知らないことがあって、建築って大変面白いんだなと思いました。實本さん、貴重なお話をありがとうございます。また講師としてお話聞かせてください。
<塾生の声 Bさん>
今回の新築工事の講義で企画段階についての内容は初めて知ることがほとんどで面白かったです。以前、大規模修繕工事の流れについて施工業者が決まるまでのスケジュールを知ったとき以上に知らない事だらけでした。企画・計画の段階で関わる人、企業が多く仕事量も膨大だなと感じました。用途地域の話は試験勉強で多少耳にしていましたが、建築面積、容積率、建蔽率、道路幅がどういった規制のなかで、どういう風に計算されて建てられているのかが見えて面白かったです。
新築では業種が多いことは今までの講義で聞いていましたが、その時の流行りや、新しい設備などがどんどん出てくる大変さがあると知りました。これから町中の新築工事の現場や、建物を注意深く見てみようと思います。監理者の観点として、施工管理できないレベルの施工業者と仕事をすると困るというお話があったように、新築、改修に限らず施工業者の技術力は必須で、施工業者は技術力を高めるように努力していかないといけないと改めて感じました。来期の集改塾でもいろんな講義を聴いて知識を増やしていこうと思います。
最後に自分が将来、家を購入することがあればいろいろ聴いてからにしようと思いました。
検査済証や銀行の金利の話のように知らないまま高額買い物をした人はたくさんいるんだなと思いました。
< 塾長の声 >
今回のテーマは、建物を設計するに当たり、計画予定地における企画設計・実施設計(意匠・構造・設備・積算・工事監理)など多義にわたる内容について、現役の実務者である實本先生(1級建築士)から、建築行為そのものは国の経済活動を支えるもっとも重要な基幹産業であり、住宅1軒の建築であってもそこに従事する(関わる)人々や産業また完成後に従事する(関わる)人々や産業が多くあることを気づかせてくれるお話でした。
また、企画設計においては、建築基準法(建ぺい率、容積率、用途・防火地域、接続道路幅、天空率など)を熟知したものが数時間~1日程度で建設可能な建築物を想定した企画設計図を作成しなければならないなどの話されたときは、たいへん驚いていた様子がうかがえました。普段の仕事では、新築というものにほとんど携わらない塾生ですが、この日の講義内容は、とても新鮮でありまた建築というものを身近に感じた日であったと思います。實本先生にはまたお越しいただき、実施設計におけるお話をしていただきければと思います。
以上