NPO集改センター(NPO法人 集合住宅改善センター)活動レポート

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フリーセミナー「判例から考える騒音問題/滞納水道料金の承継問題/複合用途型マンション問題」

2010-11-26 16:33:16 | フリーセミナー

 NPO 集改センターの第86回フリーセミナー報告が届きました。

 開催日     :       2010年(平成22年)11月16日(火)15:00~17:00
 開催場所    :       大阪建築会館 3階(会議室)
 参加者     :       23名
 テーマ :      「判例から考える騒音問題/滞納水道料金の承継問題/複合用途型マンション問題」
 講師              :       九鬼 正光 正会員 弁護士

 (セミナー内容報告)

 最初のテーマである騒音問題では、先生が担当された3つの事例をあげられ、裁判で争点となる受忍限度論に中味を絞って詳しく解説していただきました。困難な問題とされる騒音トラブルの受忍限度は、裁判所が①建物の遮音性能、②受音の音圧レベル(dB)が受忍限度を超える数値(=50~60dB)、③音の発生源の内容(=マナーとLL軽量衝撃音・LH重量衝撃音など)と受音側との関係、などによって判断する、と解りやすく解説していただきました。また、留意点として、騒音問題は原則として個人対個人の問題であるけれど管理組合対個人の問題となりがちであり、当事者は誰と誰なのかをまず確定することが大切、とお話されました。


 次のテーマは、滞納水道料金を特定承継人に請求できるか?という実務でもありがちな問題について、大阪高等裁判所平成20年4月16日の判例を基に解説していただきました。理論的道筋を示しながら、ていねいに解説いただきました、これまでのもやもやした疑問が一気に解決したと感じられた受講者も多かったのではないでしょうか。これらの理論的道筋については、民法における債権の効力や、区分所有法30条(規約事項)などを含めて理論的に説明していただきました。そのポイントは、水道使用料債権が区分所有法第7条の「管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権」に該当するか?しないか?ということで、 いずれにしても水道料金徴収が規約に定まっていることが前提条件だということでした。

 先生は、大阪高等裁判所が採用した理論的構造を以下のように解説されました。
 1)水道料金は、専有部分で消費したもので共用部分の管理とは直接関係がなく、区分所有者全体に影響を及ぼすものといえない事柄であるから、特段の事情のない限り、規約で定めうる債権の範囲に含まれないと解すべき。


2) 水道使用料金が一括払いでしか処理できないマンションでは、水道料金に係る立替払いとそれから生じた債権の請求は、各専有部分に設置された設備を維持、使用するためのライフラインの確保のための必要不可欠の行為であり、当該措置は建物の管理又は使用に関する事項として区分所有者全体に影響を及ぼすということができる。

3)(2)の理由から)1)における特段の事情はある、というべきで、規約事項とすることに妨げはなく、管理組合が有する区分所有者に対する債権であると解する。


4) ただし、水道局が各戸に直接請求できるインフラが整っている地域のマンションに特段の事情があると認められるかどうかは極めて疑問。

 最後の複合用途型マンションについては時間の関係で十分なお話を聞くことができませんでした。ただし、先生がお考えになっている複合用途型問題点は日本マンション学会の学会誌(30号)にほぼ網羅されていると紹介いただきました。(ご興味のある方はご確認ください)なお、先生には次の機会に本問題についても詳しくお話いただきたいと思います。

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