NPO集改センター(NPO法人 集合住宅改善センター)活動レポート

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フリーセミナー「最近の相談事例とマンション管理の基礎知識」

2010-10-30 15:30:53 | フリーセミナー

10月19日に行われたNPO 集改センターのフリーセミナー「最近の相談事例とマンション管理の基礎知識」の報告が届きましたので、お伝えいたします。

第85回フリーセミナー報告
開催日     :       2010年(平成22年)10月19日(火)15:00~17:00
開催場所  :       大阪建築会館 3階(会議室)
テーマ      :       「最近の相談事例とマンション管理の基礎知識」
講師        :       長田 康夫   (財) マンション管理センター大阪支部長

(セミナー内容報告)
今回のセミナーは、大阪市後援事業として(財) マンション管理センターにご協力いただき、同センターの長田康夫大阪支部長に講師をお願いいたしました。テーマは「最近の相談事例とマンション管理の基礎知識」で、毎日寄せられた数多くの相談から、興味深い23例をご解説いただきました。

同センターを訪れる相談者は、役員に就任されて間もない役員さんや管理組合のことをよく知らない方が多く、相談の多くには基礎的な知識や認識不足、誤解が見受けられるようです。今回取り上げられた相談例には、「管理員は違法駐車の取締りができるか?」、「規約に大規模工事の実施は特別決議と記されているが普通決議でできるか?」、「新任理事として理事会で改善提案をしたら、古参の理事から『発言するな!』と怒鳴られた」など、生々しい質問が多く見受けられました。

これらの質問に対する回答は、法律などだけに留まらず、管理組合に必要な広い視野から対応されており、とても参考になりました。

そして、回答に共通する基本思想が見えたことも印象的でした。
例えば、講師の長田さんは、「ぎりぎりの過半数可決では実施に問題がある。少なくとも7~8割の賛成はあるべきで、そのためには、総会の前に広報、アンケート、説明会の開催などの手段を使って、充分な合意形成を図るプロセスこそが重要だと思う。そうした上で、総会が“シャンシャン総会”で終わることが望ましい」と話されました。

マンションは同じ屋根の下に暮らすという環境にあることから、トラブルが発生してから対処するよりも、発生しないような取り組み、環境整備が重要となる、という観点から「過去の理事長や理事会を非難しても管理組合が混乱するだけ、過去は過去のこととして純粋にリセットし、未来のための検討や活動をすることが大切」と話されました。

そして、標準管理規約の話題では、平成16年に改正・挿入された「地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成」の重要性を力説されていました。また、規約の位置づけについて、別段の定めができる項目、できない項目を具体的に比較して話されました。

両者の比較では、区分所有法と異なる定めができない事項は10項目程度しかないのに対し、別段の定めができる事項は36項目もあります。これを踏まえ長田さんは、規約は管理組合の最高意思決定機関である総会の場で全区分所有者が公平に決める自主規範であり、自主・公平をできる限り尊重することが区分所有法の根底にある考え方だ、と解説されました。

長田さんのお話を聴いていると、管理組合は①建物の維持管理だけでなく、②生活管理、③運営管理、なども自主・公平という考え方を基本に運営されていく必要があり、そこから初めてマンション全体の安心・安全な居住環境が実現されていく、と思いました。また、自主規範と成文ルール一辺倒ではなく、共通の利益の上に立った適正化に向かって一緒になって活動する柔軟な意識が大切になりそうだ、と実感しました。

最後に、本年5月の「マンション適正化法」改正に伴う施行規則の改正などもお話しいただき、今回のフリーセミナーは終了いたしました。