NPO集改センター(NPO法人 集合住宅改善センター)活動レポート

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フリーセミナー「コンサルタントによる工事監理の実践」

2010-10-04 11:10:27 | フリーセミナー

NPO集改センターで開かれた第84回のフリーセミナーの報告をいたします。

開催日 : 2010年(平成22年)9月21日(火)15:00~17:00
開催場所 : 大阪建築会館 3階(会議室)
参加者 : 21名
テーマ  : 「コンサルタントによる工事監理の実践」
講師  : 谷守 正康(たにもり まさやす) 
集改センター 神戸事業所長
品質推進事業部長 一級建築士
(セミナー内容報告)
今回のセミナー内容は、大規模工事設計コンサルのセミナーによくある総論的な話ではなく、ディテールにこだわった極めて中味の充実したセミナーでした。
公共工事にもたくさん関わって来られた講師ならではの極めて緻密な実務実践をも取り入れ、工事監理の何たるかをお話ししていただきました。公共工事の工事監理の進め方がマンションの修繕工事の工事監理に極めて参考になるという意味は、税金を使う公共工事においては、結果の妥当性よりも手続き的適正性のための客観性が必要となる。それと同様に、マンションにおいても様々な区分所有者の集合体としての管理組合において、一部の人の利益に傾いてはならないと同時に同じく手続き的な客観性を重要視すべき点では大いに参考にすべきであると感じました。

 また、新築工事と改修工事の工事監理の大きな違いは、改修工事では、前者と異なり、既存の建物として想定できない不備、難しさがあり、設計監理者には建物の特徴を見抜く力、新築と異なる総合能力が必要となり、とりわけ居住しながらの修繕工事ということで正にコンサルには新築工事とは異なったコミュニケーション能力が求められます。

姉歯事件以降、国交省は一連の様々な改善策を打ち出してきましたが、工事監理に関しては未だ充分とはいえず、修繕工事を万全に遂行するための工事監理に必要なものとは、意匠専門のコンサルは構造・設備の専門家と協働すべきである、と力説されていたことが印象的でした。つまり構造・設備に関してもかなりの専門性がなければ、安心・安全な工事監理ができるとはいえないのではないかということでした。

谷守氏は意匠関係を主とした一級建築士であるため、構造・設備面では充分な絶対的自信はないことをあえて告白され、実務の世界において他のコンサルはあまりこのことを口にしないのであって、かえって構造・設備においても十分な実力をお持ちであると同時に工事監理に関して真摯な態度が感じられ、すべからくコンサルはこのような方であって欲しいと願いました。

また、工事監理の進め方においても、講師のこれまでの豊富な経験から工事監理作業の進め方についても具体的な例を元に、監理打ち合わせ記録、監理記録一覧表、のみならず施工図・承諾書等検査記録一覧表のサンプルをも提示しながら、最後は、管理組合宛の大規模修繕工事だより(広報誌)の作成にいたるまで、きわめて実務実践に基づいた解説をされ、単に参考になるという域を超えた、工事監理のバックヤードを見せていただいたような丁寧なお話しをしていただきました。

以上のような実務実践の他、設計・施工分離の意義から住生活基本法や建築基本法など、これからの住宅ストックの在り方に至るまで広い視野に立ったこれからの工事監理の重要性をもお話しいただき、すばらしいセミナーであったと感じました。最後に監理に関する社会的認識の温度差もあり、充実した監理ができるほどの費用をかけた管理組合はそれ程多くないことも危惧されておりました。すべてのお話を伺った後のこのような講師の実感吐露については、なる程という思いをもたれた受講者も少なくなかったのではないでしょうか。

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