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詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

思想犯

2019-04-29 10:15:27 | 自民党憲法改正草案を読む
思想犯
             自民党憲法改正草案を読む/番外258(情報の読み方)

 「週刊朝日」のネット版「AERAdot.」(https://dot.asahi.com/wa/2019042700025.html?fbclid=IwAR3arjNtTKqQDBIinRx2o4DkXvxoI08rNabFOZoUTBtTthXvvlnyAkfXsU0)(2019.4.27 22:48 )に、こういう見出しの記事があった。

悠仁さまの机に刃物、思想犯を重点捜査 内部事情に詳しい者の犯行か?

 「思想犯」ということばにびっくりした。
 4 月26日悠仁が通う中学校に不審者が侵入し、悠仁の机の上に包丁が置いてあった。その事件の続報である。
 本文に、こういうくだりの文章がある。

犯人のねらいは何なのか。警視庁捜査関係者が言う。
「平成から令和へ、改元直前の犯行ということで、ほぼ間違いなく、思想犯。包丁を置くという行為が、秋篠宮殿下に対する脅しのメッセージだろう」

 私はむしろ「平成から令和へ、改元直前」に「思想犯」ということばがつかわれたことに、事件以上の重大性を感じる。
 「思想犯」とは何を指すのか。
 「思想」がなぜ「犯罪(犯行)」なのか。
 ここには「思想」を取り締まろうとする「意図」が見える。「警視庁捜査関係者」は「思想」を取り締まり始めたのである。

 思い出すのは、いまの天皇が1975年に沖縄を訪問したときの事件だ。いまの天皇と皇后に向かって、ひめゆりの壕から火炎瓶が投げつけられた。投げつけたのは、いわゆる「過激派」である。このとき、彼らのことを「思想犯」とは呼んでいなかった、と思う。
 正確な記憶ではないが、「思想犯」ということばを新聞では見かけなかった。
 目の前にいる天皇(当時は皇太子)に向かって火炎瓶を投げつけるのと、誰もいない机の上に包丁を置くのでは、どちらが危険化。どちらが重い犯罪か。火炎瓶を投げつける方だろう。それでも、その犯行者を「思想犯」とは呼ばなかった。

 なぜ、いま「思想犯」なのか。

 国民の「思想」を取り締まる、いや「思想」を基準に国民を取り締まるということが、安倍の狙っている憲法改正を先取りする形で進んでいるのだ。
 記事には、こういう文章もある。

「思想犯でも右か左か、絞り込めていない。防犯カメラの映像と似た風貌の過去の思想犯をデータベースからリストアップしている。」

警視庁では防犯カメラの解析による男の割り出しと、思想犯のチェックとの両面から捜査を行っている。

 捜査当局は「思想犯」という「項目」をすでに持っている。どういう「思想」が「犯罪」なのか、それを規定した「法律」は何なのか。国民には知らせず、警察は特定の始祖を「犯罪」であると認定しているということだ。
 
 「平成から令和へ、改元直前」。国民の関心が「皇室」に向けられている。「天皇の強制生前退位」は「おめでたい」かどうかわからないが、「新天皇の即位」は多くの国民にとっては「おめでたい」ことなのだろう。少なくとも「新天皇の即位に反対」という表立った声は聞かない。「慶事を狙っての犯行は許せない」という声は、多くの国民に受け入れやすいものである。
 こういう「浮かれた」状態のときに、「思想犯」を復活させれば、「思想犯」ということば、すーっと受け入れられてしまうだろう。
 どちらかといえば「安倍批判」と受け止められている朝日新聞の、その傘下の「週刊朝日」の記事に「思想犯」ということばが、捜査関係者の声とはいえ、そのまま掲載されていることが、それを証明している。
 たとえ捜査関係者がそう言ったのだとしても、ふつうなら、それに対する「批判」のようなものが同時に書かれるはずだが、私の読んだ限り、「思想犯」という発言に対する批判は書かれていない。
 安倍の「洗脳作戦」に、朝日新聞(週刊朝日)の記者さえも、完全に犯されてしまっているということだ。記者は少なくとも「思想犯」の定義を聞き出すべきだし、どんな具合に「思想犯」が認定されているのか記事にしないといけない。それを怠っているのは、洗脳されているとしかいいようがない。

 犯行の現場が「学校」であること、「思想犯」ということばがつかわれてたことから、私は別なことも考えた。
 安倍は「教育の無償化」を憲法改正の一項目に掲げているが、そのとき「無償化」の対象となるのは、どういう教育か。
 何度も何度も書いてきたが、安倍批判(権力批判)をする「学問」(教育)も「無償化」の対象となるか。
 きっとならない。
 安倍批判をすれば、それだけで「思想犯」と認定され、取り締まられる。すぐには逮捕されないかもしれないが、監視が強化されるだろう。国民の自由が侵害される。
 安倍を肯定する「教育」だけが推進される。つまり「洗脳教育」が大手を振るって行われることになる。
 憲法に保障された「思想の自由」は完全になくなる。
 「思想の自由」を奪うために、今回の事件が利用されようとしている。

 あるいは、今回の事件は、「思想の自由」を奪うため、「思想犯」というものを復活させるために、安倍一派が仕組んだものであるとさえ考えてみる必要がある。だいたい、ある時間帯に教室に誰もいない(包丁を置ける)ということを部外者が知ることはむずかしい。誰が、どうやって情報を流したのか。よほどの「組織」がなければ、こういうことはできない。
 ただ一方的に情報を提供するだけではなく、その日、ほんとうに予定通りに授業が進んでいるのか、など、綿密な情報が必要になる。
 「天皇の強制生前退位」スクープ報道のように、「裏」の動きの方が重要だ。

 私は「天皇の強制生前退位」報道以来、安倍の狙いは悠仁を天皇にすること、悠仁天皇を誕生させた権力者として力を振るい続けること(独裁をつづけること)にあると見ている。
 すでに捜査当局は、安倍にこびへつらって「思想犯」ということばを先取りしてつかっている。「思想犯」ということばをつかうことが、その関係者を「出世」させることになるからだ。取り締まらなければならないのは、まず思想だ、ということを明確にした「立役者」である。
 容疑者が判明し、逮捕されれば「思想犯」ということばは、もっと大手を振るってマスコミに登場するだろう。
 どのマスコミが、「思想犯」ということばに対し最初に異議をとなえるか、そういうことも注目してみないといけない。

 それにしても。
 「思想犯でも右か左か、絞り込めていない。防犯カメラの映像と似た風貌の過去の思想犯をデータベースからリストアップしている。」というのは、恐ろしいことばである。「思想犯」が「データベース化」されていることを捜査関係者は公言している。
 この記事を読んでいる、あなた。あなたも「思想犯」のデータベースに入ることになるかもしれない。誰がいつ、どんな記事を読んだか、「いいね」ボタンを押したか、あるいは反論したか。そういうことは調べてデータベース化することなど、とても簡単なはずだ。




#安倍を許さない #憲法改正 #天皇退位 
 


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