国会の与野党質問時間(安倍の沈黙作戦)
自民党憲法改正草案を読む/番外138(情報の読み方)
2017年10月31日の読売新聞(西部版・14版)の4面の見出し。
国会での与野党の質問時間の配分をめぐって与野党が対立している。
選挙報道は、昨年夏の参院選から大きく変わった。籾井NHKが、それこそ「議席数」にあわせて放送時間を配分した。個別の候補演説ではそういうことはできないが、党首の街頭演説では、自民党に長く、野党に短くという配分だった。この結果、与党の言い分は十分に紹介されたが、議席の少ない野党の主張はほとんど紹介されなかった。これは自民党の大勝利につながった。少数政党の主張は、それが国民にとって重要なものであるかどうか、吟味するだけの材料が与えられなかった。ひとは「情報量」にひきずられるものである。
これを国会でもやろうとしている。共産党の小池が指摘しているように、政府提出の法案、予算案は与党が事前審査している。つまり与党内では十分に審査されたあと、国会に提出されている。その与党がついやした「時間」を除外して、国会での審議時間を議席の数に合わせて配意するというのは、野党の質問潰しである。
私はこれを「安倍の沈黙作戦」と呼んでいる。参院選後、籾井NHKを利用して「天皇生前退位」をスクープさせ、さらに天皇を引っぱりだして「天皇は国政に関する権能を持たない」と言わせることで、沈黙させたが、今度は野党を沈黙させるために根回ししている。
もし国会での審議時間を短縮するなら、与党の事前審査段階で、野党にも審議に参加させるべきである。そこに野党が参加していないから、国会で野党が質問する。この質問を封じることは、民主主義の否定であり、独裁の強化である。
こういうことは、すでに小池をはじめ、多くの野党が言っている。だから繰り返さない。
私が問題にしたいのは、
この部分である。「国民からすればもっともな意見だ」というが、自民党は「国会での質問時間を議席数にあわせて配分する」ということを「公約」のなかに盛り込み、それを国民に訴えてきたのか。もし公約のなかに盛り込み、積極的にそのことを訴え、その結果として自民党が大勝したのなら、そういうことは可能である。
しかし、そういう主張を一切せず、大勝したあとで、「自分たちの考え方は国民に支持されている」というのは論理にならない。国民は、今回の主張を事前に聞いていない。(どこかに書いてあるかもしれないが、だれもそのことを知らない。)
安倍のやっているのは、いつもこれである。
憲法改正について「公約」のすみっこに書いておく。どう改正するのか質問すると、まだ文言が固まっていないのでこたえるわけにはいかないと言い、選挙で大勝すると自民党の改正案、あるいは安倍の案が支持された主張する。(安倍の主張はすでに読売新聞のインタビューで明らかにしている、と言う。)
国会で、国民の代表である野党議員の質問は受け付けず、すでに意見調整のついている与党の質問を主体に審議するというのでは、審議にならない。
読売新聞は、末尾にそう書いている。
安倍は、これを利用して、「質問は無駄な時間。採決すれば可決されるのはわかっているのだから、質問などやめよう」と言い出すだろう。
質問は、政府提出の法案、予算案にどんな問題点があるか明らかにするためにある。問題点があるなら、それを改良するためにある。質問をとおして、国民の理解を深めるという意義もある。
国民は、すべてのことを自民党にまかせたわけではない。どんなときでも「一任します」といったものの、「それでは困る」と意義をとなえるひとが出てくるのが「現実」である。(先の希望の党と前原・民進党の統合でも、それが起きた。)ましてや、自民党にはまかせられないという国民が一定の数(十分な数)だけいる。「議席数」には反映されなかった国民の数も多い。自民党を支持している人間だけが「国民」なのではない。
各種の世論調査では、森友・加計学園問題では、安倍の説明が不十分である、説明が十分にされているとは思わないという国民が過半数を超えている。国民からすれば、安倍の友人であるということだけで優遇されるのは「もっともなことである」とはならない。だれも「もっともなことである」とは言っていない。
管は、なぜ、そういう国民の声に対して「もっともな意見である」と同調しないのか。管は国民の声など聞いていない。安倍の声しか聞いていな。安倍にとって都合のいい声だけを集めてきて「国民の声」だと言い換えている。
#安倍を許さない #安倍独裁 #沈黙作戦 #憲法改正 #天皇生前退位
自民党憲法改正草案を読む/番外138(情報の読み方)
2017年10月31日の読売新聞(西部版・14版)の4面の見出し。
質問時間 見直しで工房/与党「議席数に応じて」/野党は徹底抗戦「暴論」
国会での与野党の質問時間の配分をめぐって与野党が対立している。
質問時間の配分を巡っては、自民党の萩生田光一幹事長代行や森山裕国会対策委員長が27日、見直しを求める考えを表明し、同党の若手議員も同日、森山氏に与党の持ち時間を増やすよう申し入れた。菅官房長官は30日の記者会見で、こうした動きについて、「国民からすればもっともな意見だ」と述べ、同調する考えを強調した。
選挙報道は、昨年夏の参院選から大きく変わった。籾井NHKが、それこそ「議席数」にあわせて放送時間を配分した。個別の候補演説ではそういうことはできないが、党首の街頭演説では、自民党に長く、野党に短くという配分だった。この結果、与党の言い分は十分に紹介されたが、議席の少ない野党の主張はほとんど紹介されなかった。これは自民党の大勝利につながった。少数政党の主張は、それが国民にとって重要なものであるかどうか、吟味するだけの材料が与えられなかった。ひとは「情報量」にひきずられるものである。
これを国会でもやろうとしている。共産党の小池が指摘しているように、政府提出の法案、予算案は与党が事前審査している。つまり与党内では十分に審査されたあと、国会に提出されている。その与党がついやした「時間」を除外して、国会での審議時間を議席の数に合わせて配意するというのは、野党の質問潰しである。
私はこれを「安倍の沈黙作戦」と呼んでいる。参院選後、籾井NHKを利用して「天皇生前退位」をスクープさせ、さらに天皇を引っぱりだして「天皇は国政に関する権能を持たない」と言わせることで、沈黙させたが、今度は野党を沈黙させるために根回ししている。
もし国会での審議時間を短縮するなら、与党の事前審査段階で、野党にも審議に参加させるべきである。そこに野党が参加していないから、国会で野党が質問する。この質問を封じることは、民主主義の否定であり、独裁の強化である。
こういうことは、すでに小池をはじめ、多くの野党が言っている。だから繰り返さない。
私が問題にしたいのは、
菅官房長官は30日の記者会見で、こうした動きについて、「国民からすればもっともな意見だ」と述べ、同調する考えを強調した。
この部分である。「国民からすればもっともな意見だ」というが、自民党は「国会での質問時間を議席数にあわせて配分する」ということを「公約」のなかに盛り込み、それを国民に訴えてきたのか。もし公約のなかに盛り込み、積極的にそのことを訴え、その結果として自民党が大勝したのなら、そういうことは可能である。
しかし、そういう主張を一切せず、大勝したあとで、「自分たちの考え方は国民に支持されている」というのは論理にならない。国民は、今回の主張を事前に聞いていない。(どこかに書いてあるかもしれないが、だれもそのことを知らない。)
安倍のやっているのは、いつもこれである。
憲法改正について「公約」のすみっこに書いておく。どう改正するのか質問すると、まだ文言が固まっていないのでこたえるわけにはいかないと言い、選挙で大勝すると自民党の改正案、あるいは安倍の案が支持された主張する。(安倍の主張はすでに読売新聞のインタビューで明らかにしている、と言う。)
国会で、国民の代表である野党議員の質問は受け付けず、すでに意見調整のついている与党の質問を主体に審議するというのでは、審議にならない。
配分見直しについては、自民党内にも「政府を『ヨイショ』するだけの質問だったら必要ない」(閣僚経験者)との声がある。
読売新聞は、末尾にそう書いている。
安倍は、これを利用して、「質問は無駄な時間。採決すれば可決されるのはわかっているのだから、質問などやめよう」と言い出すだろう。
質問は、政府提出の法案、予算案にどんな問題点があるか明らかにするためにある。問題点があるなら、それを改良するためにある。質問をとおして、国民の理解を深めるという意義もある。
国民は、すべてのことを自民党にまかせたわけではない。どんなときでも「一任します」といったものの、「それでは困る」と意義をとなえるひとが出てくるのが「現実」である。(先の希望の党と前原・民進党の統合でも、それが起きた。)ましてや、自民党にはまかせられないという国民が一定の数(十分な数)だけいる。「議席数」には反映されなかった国民の数も多い。自民党を支持している人間だけが「国民」なのではない。
各種の世論調査では、森友・加計学園問題では、安倍の説明が不十分である、説明が十分にされているとは思わないという国民が過半数を超えている。国民からすれば、安倍の友人であるということだけで優遇されるのは「もっともなことである」とはならない。だれも「もっともなことである」とは言っていない。
管は、なぜ、そういう国民の声に対して「もっともな意見である」と同調しないのか。管は国民の声など聞いていない。安倍の声しか聞いていな。安倍にとって都合のいい声だけを集めてきて「国民の声」だと言い換えている。
#安倍を許さない #安倍独裁 #沈黙作戦 #憲法改正 #天皇生前退位
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