外国人労働者と太陽光発電
自民党憲法改正草案を読む/番外239(情報の読み方)
2018年10月13日の読売新聞朝刊(西部版・14版)。安倍が総裁選に3選してから、社会を激変させるニュースが連続している。私のように目の悪い人間は、そのニュースを読むだけで手一杯で、考えるところまで時間がとれない。
で、一日遅れで、思ったことを書いておく。
1面に、太陽光発電について、こういう見出し。
2面には、
二つのニュースは関係がなさそうだが、記事の細部を読むとぴったり重なる。
太陽光発電は、電力会社以外の事業者に発電を促したものである。電力不足を補うし、クリーンエネルギーでもある。でも、その太陽光発電が増えすぎると、消費と供給のバランスが崩れる。だから太陽光発電を止める、というもの。
簡単に言うに、「余ったから、もういらない」。太陽光発電のために事業者がどれだけ投資したかは気にしない。停止することによって、事業者がどれだけ赤字を抱え込むことになるか気にしない。大手の電力会社さえ儲かればそれでいい。電力調整なら、電力会社の火力発電、原子力発電を止めることでもできるが、そうはしない。あくまでも止めるのは新規参入の事業者の発電である。
外国人労働者の受け入れも、なんともすさまじい。「技能実習(研修生)」でなくても可能な単純労働向けの外国人を受け入れるという。それだけ人手不足が深刻だということだ。ただ、この受け入れには、信じられない条件(?)がついている。
いつでも「政府判断」で中止できる。そのとき、実際に日本に来て働いていた人たちはどうなる? 首になる。そのあとは? どうやって暮らす? 母国へ帰るのか。その費用は? これでは外国人の使い捨てである。使い捨てしやすいように、一部の外国人をのぞいて、家族が一緒にくることを認めていない。人間はひとりではてく、家族で暮らしているということを完全に無視している。つかうだけつかったら、捨てる、ということを前提に法律を変えようとしている。
太陽光発電も同じ。電力不足、クリーンエネルギーの推進のために参入した事業者の「負担」は無視して、もう電力は余っているから発電停止。これは、使い捨てということだ。足りなくなったら、また発電させる。
こんな横暴が、なぜ、許されるのだろう。大企業さえ儲かれば、それでいい。大企業以外の会社、労働者はどうなってもいい、と考えているのだが、あまりにも露骨すぎる。
経団連が打ち出した「就職活動ルールの撤廃」も同じだ。経団連が勝手に打ち出したように新聞では報道されているが、きっと安倍政権に「根回し」をしている。了解をとって、方針を打ち出している。
このままでは「外資系(特にIT系)」に優秀な人材をとられてしまう。何とか経団連企業に就職する人材を確保しないといけない、ということが最優先に考えられている。中小企業のことなど、何も考えていない。もちろん学生のことも考えていない。優秀な人間は、さっさっと就職先を決定し、その後おちついて勉強するという方法も考えられるが、優秀とは言い切れない学生はどうなるのか。就職先が決まるまで、勉強どころの騒ぎではない。4年間、何も勉強をせず、ひたすら就職先を探し回るという学生も出てくるのではないか。4年間で就職先がみつかれば、まだいい。やっと能力を身につけ、これで就職できると思ったら、後輩(下級生/新入生)が、その仕事を奪っていくということが起きるはずだ。そういう学生を、どう救済するのか。救済などしない。「使い捨て」である。働き口ならどこにでもある。なんといっても「人手不足」である。そこで働けばいい。
ここに「教育無償化」が加わる。それは「優秀な学生」を育てる。人間を育てるためのものではない。人間を選別するためのものとしてつかわれる。企業にとって都合のいい人間を育てるためにつかわれる。「これこれのことを勉強しないと、就職できないぞ」と教育内容を限定するのにつかわれる。カリキュラムが、企業につごうのいいもの、安倍政権につごうのいいものになってしまう。都合が悪いものは「使い捨て」どころか、最初から「つかわない」と脅すのである。
どれもこれも、自民党改憲案(2012年)の「前文」にある経済優先政策に合致している。この場合の経済優先は、大企業(政権に献金する企業)の収益優先ということである。実際に働く国民を無視している。
「改憲」を発議する前に、現実の方で自民党改憲案を先取り実施している。
軍隊をつかわなくても、緊急事態条項をつかわなくても、国民を完全支配することは、実に簡単なのだ。それが、いま、実際に行われている。
自民党憲法改正草案を読む/番外239(情報の読み方)
2018年10月13日の読売新聞朝刊(西部版・14版)。安倍が総裁選に3選してから、社会を激変させるニュースが連続している。私のように目の悪い人間は、そのニュースを読むだけで手一杯で、考えるところまで時間がとれない。
で、一日遅れで、思ったことを書いておく。
1面に、太陽光発電について、こういう見出し。
九電、発電一時停止を指示/複数業者に9759件で43万キロワット
(13日の夕刊・4版には「太陽光 九電が一時停止」と続報が報じられている。
2面には、
外国人受け入れ拡大/単純労働にも在留資格
二つのニュースは関係がなさそうだが、記事の細部を読むとぴったり重なる。
太陽光発電は、電力会社以外の事業者に発電を促したものである。電力不足を補うし、クリーンエネルギーでもある。でも、その太陽光発電が増えすぎると、消費と供給のバランスが崩れる。だから太陽光発電を止める、というもの。
簡単に言うに、「余ったから、もういらない」。太陽光発電のために事業者がどれだけ投資したかは気にしない。停止することによって、事業者がどれだけ赤字を抱え込むことになるか気にしない。大手の電力会社さえ儲かればそれでいい。電力調整なら、電力会社の火力発電、原子力発電を止めることでもできるが、そうはしない。あくまでも止めるのは新規参入の事業者の発電である。
外国人労働者の受け入れも、なんともすさまじい。「技能実習(研修生)」でなくても可能な単純労働向けの外国人を受け入れるという。それだけ人手不足が深刻だということだ。ただ、この受け入れには、信じられない条件(?)がついている。
人手不足が深刻な分野に限定。労働力不足が解消されたと政府が判断した場合、その分野での受け入れは中止。
いつでも「政府判断」で中止できる。そのとき、実際に日本に来て働いていた人たちはどうなる? 首になる。そのあとは? どうやって暮らす? 母国へ帰るのか。その費用は? これでは外国人の使い捨てである。使い捨てしやすいように、一部の外国人をのぞいて、家族が一緒にくることを認めていない。人間はひとりではてく、家族で暮らしているということを完全に無視している。つかうだけつかったら、捨てる、ということを前提に法律を変えようとしている。
太陽光発電も同じ。電力不足、クリーンエネルギーの推進のために参入した事業者の「負担」は無視して、もう電力は余っているから発電停止。これは、使い捨てということだ。足りなくなったら、また発電させる。
こんな横暴が、なぜ、許されるのだろう。大企業さえ儲かれば、それでいい。大企業以外の会社、労働者はどうなってもいい、と考えているのだが、あまりにも露骨すぎる。
経団連が打ち出した「就職活動ルールの撤廃」も同じだ。経団連が勝手に打ち出したように新聞では報道されているが、きっと安倍政権に「根回し」をしている。了解をとって、方針を打ち出している。
このままでは「外資系(特にIT系)」に優秀な人材をとられてしまう。何とか経団連企業に就職する人材を確保しないといけない、ということが最優先に考えられている。中小企業のことなど、何も考えていない。もちろん学生のことも考えていない。優秀な人間は、さっさっと就職先を決定し、その後おちついて勉強するという方法も考えられるが、優秀とは言い切れない学生はどうなるのか。就職先が決まるまで、勉強どころの騒ぎではない。4年間、何も勉強をせず、ひたすら就職先を探し回るという学生も出てくるのではないか。4年間で就職先がみつかれば、まだいい。やっと能力を身につけ、これで就職できると思ったら、後輩(下級生/新入生)が、その仕事を奪っていくということが起きるはずだ。そういう学生を、どう救済するのか。救済などしない。「使い捨て」である。働き口ならどこにでもある。なんといっても「人手不足」である。そこで働けばいい。
ここに「教育無償化」が加わる。それは「優秀な学生」を育てる。人間を育てるためのものではない。人間を選別するためのものとしてつかわれる。企業にとって都合のいい人間を育てるためにつかわれる。「これこれのことを勉強しないと、就職できないぞ」と教育内容を限定するのにつかわれる。カリキュラムが、企業につごうのいいもの、安倍政権につごうのいいものになってしまう。都合が悪いものは「使い捨て」どころか、最初から「つかわない」と脅すのである。
どれもこれも、自民党改憲案(2012年)の「前文」にある経済優先政策に合致している。この場合の経済優先は、大企業(政権に献金する企業)の収益優先ということである。実際に働く国民を無視している。
「改憲」を発議する前に、現実の方で自民党改憲案を先取り実施している。
軍隊をつかわなくても、緊急事態条項をつかわなくても、国民を完全支配することは、実に簡単なのだ。それが、いま、実際に行われている。