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詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

難民と移民

2017-11-01 10:08:53 | 自民党憲法改正草案を読む
難民と移民
            自民党憲法改正草案を読む/番外139(情報の読み方)

 2017年10月31日の読売新聞(西部版・14版)の1面の見出し。

難民申請者の就労制限/偽装対策 一律許可を撤廃/法務省方針

 という見出しがある。トップ記事である。
 記事は、こう書いてある。

 就労目的の「偽装申請」が横行する日本の難民認定制度について、法務省は、申請6か月後から一律に日本で就労を許可する現在の運用を撤廃し、就労を大幅に制限する新たな運用を始める方針を決めた。早ければ11月中にも実施する。年間1万人を超す申請者の大半が就労できなくなるとみられ、急増する申請数の大幅な抑制が期待される。

 「難民」とふれあう機会がないので、なんのことかよくわからないが、とても変。読んでいて、「この記事って何が言いたい?」と疑問だけが動き始める。
 日本に「難民」って何人いる? 何人、受け入れている?
 記事中に「難民申請者」と「認定数」のグラフがある。それによると16年には1万901人の申請があり、認められたのは28人。これは、ほとんど「難民」はいないということに等しい。
 そして、このグラフをもとに考えると1万800人以上が「不法就労」していたかもしれないことになる。
 でも、そういう「不法就労」が可能なのは、どうして?
 逆の方向から見ていくと、違う現実が見えるのではないか。
 日本の企業が「不法就労」させてでも、安い賃金で雇用できる人を求めている。「難民」が働いている職場では「安い賃金で働く人手が足りない」という状況がつづいているということだろう。高い賃金を払えば、日本の若者もそういう職場にくるだろうけれど、賃金が安いから就職しない。こまった企業が、安い労働者を求めて「難民」を雇用している。
 また他方に、「難民」を偽装してでも日本で働きたいという外国人が増えているということだろう。日本人にとっては「安い賃金」であっても、「難民」を装って日本にやってくる人にとってとは「高い賃金」である。需要と供給のバランスがとれている、ということだろう。
 で、疑問に思うのは。
 記事中にある「早ければ11月中にも実施する」。10月31日の新聞で、「早ければ11月中にも」って、どういうことだろう。もう日にちがない。なぜ、11月中?
 外国人就労の問題について考えたことがなかったのでわからないが、きっと「11月中」(あるいは12月)に外国人就労に関係する別の制度(法律)が動き始めるということだろう。
 いま日本には「留学」が「技能研修」というような名目で、いろいろな外国人が来ている。そのほとんどは「留学(何かを学ぶ)」「技能研修(技能を身につける)」ということを名目にしているが、実際は「労働力」として来ているのだと思う。「技能」を実践的に学びながら、同時に賃金も稼ぐ。「外国人労働者」の「主体」を、こちらの方に「力点」を移したいのだろう。
 「技能研修」「留学」というと聞こえはいいのだが。
 これを「裏側」から見れば、「技能を身につける」「学ぶ」が終わったら、日本から「追い出す」ということではないのか。そのまま日本に定住することを前提としていない制度ではないのか。
 言い換えると。
 何年間かで、常に「新しい技能研修者」に入れ替えることで、「技能研修社」の給料を抑制する。日本の賃金体系は、たいてい就労期間が長くなると賃金がアップする。「技能研修者」に長く働かれては、日本人労働者を雇うのとかわりはない。それでは困る。
 かつて「派遣」が問題化した。同じことが「外国人労働者」を対象におこなわれようとしている。「技能研修者」は「外国人派遣労働者」を言い換えたものにすぎない。

 で、難民問題にもどると。

 「難民」認定し、日本に定住することを認めてしまうと、この「賃金の安い外国人派遣労働者」のシステムが機能しなくなる。安い賃金で働いている「外国人(難民)」を国外に追放できなくなる。賃金がアップし、徐々に、企業が苦しくなる。そうなっては「外国人労働者」を雇う意味がなくなる。
 そうならないようにするために、つまり「外国人労働者」を次々に交代する形で受け入れながら「安い賃金体系」を守るということが狙いなのではないのか。
 「安い賃金で働き続ける外国人労働者」というシステムを維持するためには、「難民就労者」を増やしてはならない、と安倍政権が考えているということだろう。

 いま、いろんな職場で「人手不足」がつづいている。もちろん「安い賃金で働いてくれる労働者」が不足しているという意味である。介護とか建設現場とかでは「外国人(研修者)」が頼みのところもある。
 日本の少子化、高齢化を考えると、「留学生」「技能研修生」に頼らずに、「移民」を「労働者」として受け入れる、「定住させる」ということが必要なのではないのか。外国人を受け入れながら、日本の「労働人口」を維持する。労働力を維持する。そういう「共存」が必要なのだと思う。
 フランスのように「多民族国家」にならないかぎり、日本は滅んでしまうだろう。

 でも、日本はおそろしいくらいに「民族主義」の国である。人種差別の国である。そして、安倍が、その人種差別をあおっている。
 衆院選の安倍の最後の街頭演説は警官に守られながらの演説だったが、その「守られた場」に「北朝鮮殲滅」という横断幕が掲げられていた。自民党の支持者はそれを容認している。安倍も容認している。むしろ、その横断幕を推奨しているかもしれない。

 で、また「11月中にも」という部分にもどってみる。
 こういうことを考えるのは初めてなので、考えが右往左往して、一直線に「結論」という具合にはいかない。
 「11月中」あるいは「12月までに」、なんらかの新しいシステム(法律)ができる。それはきっと「留学」とか「技能研修者」と「低賃金職場」に関連する法律(システム)だろう。
 そして、こういう「システム」が動き出すということは、単に「留学生」「技能研修者」が日本に来やすくなる、働きやすくなるということを意味するだけではない。
 雇用する企業が直接「留学生」「技能研修者」と交渉し、受け入れるわけではないだろう。直接交渉する余裕は、企業にはない。どうしても、「斡旋する中間業者」が必要になる。「中間業者」がいないと、そのシステムはスムーズには動かない。「中間業者」とは、「派遣業者(中間マージン搾取業者)」なんだけれどね。
 ということは、これはもしかすると、そういう「派遣業」を始めるだれかのための法改正ということにはならないか。
 たとえば福岡では、麻生の関連会社が、そういうような仕事を始めようとしているが、この会社は、法改正がおこなわれれば動きやすくなるなあ。外国人を「技能研修者」としてどこかに「派遣(斡旋)」して中間マージンを、合法的に詐取できる。
 わざわざ、こんな、何のことかわからないような記事が載っているのは、もしかすると麻生が官僚に「ハッパ」をかけているのかもしれないなあ。
 こういう「システム」を維持しようとする人には、「難民」が増えてもらっては困るのだ。「難民」が日本に定住して、「安い労働力(やがて少しは上がるだろうが)」でいてもらっては困るのだ。

 日本経済の「グローバル化」は、「搾取システムのグローバル化」である。
 こんなことをやっていては、北朝鮮に核攻撃されるまえに、日本は内部から崩壊する。ほんとうの「危機」は日本の内部、自民党の政策から始まっている。
 日本を活性化するには、どんどん外国人を受け入れ、共存するしかないのだ。外国人と共存するシステムを作らないかぎり、日本社会は完全崩壊する。



                         


#安倍を許さない #安倍独裁 #沈黙作戦 #憲法改正 #天皇生前退位
詩人が読み解く自民党憲法案の大事なポイント 日本国憲法/自民党憲法改正案 全文掲載
クリエーター情報なし
ポエムピース

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