「特ダネ」?(情報の読み方)
2020年12月31日の読売新聞(西部版・14版)24面に「桜を見る会」の続報。あるいは、「解説記事」というべきか。
簡単に言い直すと、収支報告書に関する時効は5年。しかし、安倍の事務所は、収支報告書の保存義務期間が3年と定めているために、5年前の分は廃棄していたため、不記載の「証拠」がなく、4年分しか略式起訴できなかった(4年前の分は、11月に廃棄する予定だったが、まだ廃棄されずにあった)。これに類することは、すでに秘書の略式起訴、安倍不起訴の報道のときに書かれていた。今回は、それをていねいに書き直したもの。(詳細は、本記部分に書かれているのだが、省略。)
これは、法律問題だね。
ここに書かれていることに間違いはないだろう。しかし、問題は、なぜ、いまこの記事が書かれているかである。しかも、ネット(デジタル版)とは「独自(特ダネ)」のマーク付き。なぜ、いま? しかも、この記事のどこが「特ダネ」?
視点を替えて、読み直す必要がある。
「桜を見る会」で問題なのは、何か。桜を見る会というとき、「法の壁」とは何か。
桜を見る会の一番の問題点は、安倍の関与である。追及の「矛先」は「収支報告書」そのものではない。
この問題を読売新聞は、今回の記事では取り上げていない。純粋に「収支報告書の保存期間(3年)」と不記載(不実記載)の公訴時効(5年)との間に隔たりがあり、そのために文書が廃棄されていた5年前の分は控訴の対象にならなかった、と書いている。秘書の「略式起訴」が相当だったかどうか、というところに、問題の視点がすりかえられている。
つまり、この記事は、安倍追及の視点を逸らすために書かれていることになる。あべは、その「不記載」や「補填原資」にどうかかわったのか、そのことへの言及がひとこともない。
国会でも問題になったが、「3年間の収支報告書」の訂正は、単に「支出」の訂正であり、その「支出」に出てくる「補填」の原資がわからない点である。「時効」の問題ではない。
読売新聞が「法の壁」と呼んでいるのは、むしろ「政治資金規制法」の「限界」というものであり、安倍が「不起訴」になった根拠としての「法の壁」ではない。
「法の壁」というような大げさなことばで読者の視点をひっぱっておいて、「安倍不起訴」とは無関係な「法律論」を書くのは、明らかな「目くらまし作戦」である。
注目すべきは、見出しにとっていない次の部分である。
収支報告書は所在地の選挙管理委員会や総務省に提出され、同省や選管は、原本や領収書などの関係書類を公表日から3年間保存することが同法で義務づけられている。山口県選管はこれに基づき15年分をすでに廃棄し、16年分は今年11月に廃棄することを決めていた。
安倍氏側は23日付で、17~19年分の3年間の収支報告書を訂正し、前夜祭の収支を記載した。16年分は略式起訴の対象だったが、保存期間が3年であることなどから訂正しなかった。25日に開かれた衆院の議院運営委員会では野党から、こうした対応を疑問視する声もあがった。
書き方が非常に微妙である。
「16年分は今年11月に廃棄することを決めていた」は「11月〇日に廃棄していた」ではない。さらに「16年分は略式起訴の対象だったが、保存期間が3年であることなどから訂正しなかった」と言う。
これは、つまり、16年分は、「廃棄は決めていたが、捜査を始めたときはまだ廃棄してないかった」であり、16年の収支報告書を訂正することはできるのに、それをしなかったである。訂正すべき箇所があるのに、保存期間を過ぎている(廃棄を決めていた)から訂正しない、というのはおかしいだろう。「無駄」に見えるかもしれないが、「無駄」を承知でしなければならないことは、世間にはいくらでもある。
だから、もし、見出しとして指摘するならば、
安倍側、16年収支報告書訂正せず/保存期間3年理由に
なのである。秘書の「罪」を少しでも軽くし、同時に、秘書の罪が軽いから、安倍の責任はさらに軽い、と言いたいのだろう。
問題視しなければならないことは、たくさんある。しかし、読売新聞の「見出し」は、その問題点を単に「保存義務期間」だけにしぼっている。
こんな視点でニュースを報道していいのか。こんな視点で捉えたニュースを「特ダネ」と言っていいのか。
#菅を許さない #憲法改正 #読売新聞
*
「情報の読み方」は10月1日から、notoに移行します。
https://note.com/yachi_shuso1953
でお読みください。
#菅を許さない #憲法改正 #読売新聞
*
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2020年12月31日の読売新聞(西部版・14版)24面に「桜を見る会」の続報。あるいは、「解説記事」というべきか。
「桜」追及 法の壁/報告書不記載 時効5年 保管義務3年
安倍晋三前首相(66)側が主催した「桜を見る会」前夜祭を巡る政治資金規正法違反事件では、同法の不備も浮かび上がった。検察は、政治資金収支報告書に前夜祭の収支を記載しなかったとして、公訴時効にかからない5年分の立件を検討したが、略式起訴したのは4年分にとどまった。収支報告書の法定保存期間を超える分が廃棄されていたことが一因で、識者から保存期間の延長が必要との声もあがる。
簡単に言い直すと、収支報告書に関する時効は5年。しかし、安倍の事務所は、収支報告書の保存義務期間が3年と定めているために、5年前の分は廃棄していたため、不記載の「証拠」がなく、4年分しか略式起訴できなかった(4年前の分は、11月に廃棄する予定だったが、まだ廃棄されずにあった)。これに類することは、すでに秘書の略式起訴、安倍不起訴の報道のときに書かれていた。今回は、それをていねいに書き直したもの。(詳細は、本記部分に書かれているのだが、省略。)
これは、法律問題だね。
ここに書かれていることに間違いはないだろう。しかし、問題は、なぜ、いまこの記事が書かれているかである。しかも、ネット(デジタル版)とは「独自(特ダネ)」のマーク付き。なぜ、いま? しかも、この記事のどこが「特ダネ」?
視点を替えて、読み直す必要がある。
「桜を見る会」で問題なのは、何か。桜を見る会というとき、「法の壁」とは何か。
桜を見る会の一番の問題点は、安倍の関与である。追及の「矛先」は「収支報告書」そのものではない。
この問題を読売新聞は、今回の記事では取り上げていない。純粋に「収支報告書の保存期間(3年)」と不記載(不実記載)の公訴時効(5年)との間に隔たりがあり、そのために文書が廃棄されていた5年前の分は控訴の対象にならなかった、と書いている。秘書の「略式起訴」が相当だったかどうか、というところに、問題の視点がすりかえられている。
つまり、この記事は、安倍追及の視点を逸らすために書かれていることになる。あべは、その「不記載」や「補填原資」にどうかかわったのか、そのことへの言及がひとこともない。
国会でも問題になったが、「3年間の収支報告書」の訂正は、単に「支出」の訂正であり、その「支出」に出てくる「補填」の原資がわからない点である。「時効」の問題ではない。
読売新聞が「法の壁」と呼んでいるのは、むしろ「政治資金規制法」の「限界」というものであり、安倍が「不起訴」になった根拠としての「法の壁」ではない。
「法の壁」というような大げさなことばで読者の視点をひっぱっておいて、「安倍不起訴」とは無関係な「法律論」を書くのは、明らかな「目くらまし作戦」である。
注目すべきは、見出しにとっていない次の部分である。
収支報告書は所在地の選挙管理委員会や総務省に提出され、同省や選管は、原本や領収書などの関係書類を公表日から3年間保存することが同法で義務づけられている。山口県選管はこれに基づき15年分をすでに廃棄し、16年分は今年11月に廃棄することを決めていた。
安倍氏側は23日付で、17~19年分の3年間の収支報告書を訂正し、前夜祭の収支を記載した。16年分は略式起訴の対象だったが、保存期間が3年であることなどから訂正しなかった。25日に開かれた衆院の議院運営委員会では野党から、こうした対応を疑問視する声もあがった。
書き方が非常に微妙である。
「16年分は今年11月に廃棄することを決めていた」は「11月〇日に廃棄していた」ではない。さらに「16年分は略式起訴の対象だったが、保存期間が3年であることなどから訂正しなかった」と言う。
これは、つまり、16年分は、「廃棄は決めていたが、捜査を始めたときはまだ廃棄してないかった」であり、16年の収支報告書を訂正することはできるのに、それをしなかったである。訂正すべき箇所があるのに、保存期間を過ぎている(廃棄を決めていた)から訂正しない、というのはおかしいだろう。「無駄」に見えるかもしれないが、「無駄」を承知でしなければならないことは、世間にはいくらでもある。
だから、もし、見出しとして指摘するならば、
安倍側、16年収支報告書訂正せず/保存期間3年理由に
なのである。秘書の「罪」を少しでも軽くし、同時に、秘書の罪が軽いから、安倍の責任はさらに軽い、と言いたいのだろう。
問題視しなければならないことは、たくさんある。しかし、読売新聞の「見出し」は、その問題点を単に「保存義務期間」だけにしぼっている。
こんな視点でニュースを報道していいのか。こんな視点で捉えたニュースを「特ダネ」と言っていいのか。
#菅を許さない #憲法改正 #読売新聞
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「情報の読み方」は10月1日から、notoに移行します。
https://note.com/yachi_shuso1953
でお読みください。
#菅を許さない #憲法改正 #読売新聞
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