どさくさの「改憲案」
自民党憲法改正草案を読む/番外182(情報の読み方)
2018年03月07日の読売新聞夕刊(西部版・4版)の一面
という見出し。
朝日新聞がスクープした森友学園文書捏造問題や南北朝鮮の対話の陰に隠れてめだたないが、まるで世間の大騒ぎのすきに「改憲案」をどんどん増やしている。
安倍は最初①自衛隊を憲法に明記する②教育費の無償化の2点を「改憲案」と言っていた。
ところがそれに③参院選の合区の解消④緊急事態時の国会議員の任期延長を加えた。
④は、2012年の自民党改憲案にある「緊急事態条項」に含まれている。
これまでは「緊急事態条項」とは言っていなかったが、突然、「緊急事態条項」を言い出した。まるで、それが「既成方針」であるかのように、すでに「公約」で言っているかのように、である。
記事は、こう書いてある。
「2012年の自民党改憲案」は「緊急事態条項」に非常に問題がある。9条改正よりも問題が多いと指摘する人もいる。
これまで「改憲案」の「小出し」することで、様子をみていたのだろう。
12月に打ち出した「④緊急事態時の国会議員の任期延長」が、それほど反撥を招かなかったので、それじゃあ「内閣が緊急政令を出せる」というのも盛り込もうというのである。これは実質的に「緊急事態条項」の追加である。
自衛隊を憲法に明記するだけではなく、「緊急事態条項」そのものを新しく書き加えることを、安倍はねらっている。
いつでも、かってに「緊急政令」を出す。つまり「独裁」で、したい放題をするということだ。
「2012年改憲案」の「緊急事態条項」には、首相が閣議を経て緊急事態を宣言すれば、国民に、国や地方自治体の指示に従う義務を課す規定がある。これは反撥が予想されるため、今回は見送るという。
で、この「緊急事態条項」のポイントを読売新聞は、こう「整理」している。(番号は、私がつけたもの。)
(1)も(2)も問題があるのだが、わざわざ(3)で「見送る方向」と書いている点に注意しなければならない。
(3)はことばを補えば、
あくまで、「今回は」見送るのである。
憲法を改正し、「緊急事態条項」を新設、それが新設されれば即座に「国民に国などの指示に従う義務を課す」という条項を追加するつもりなのだ。
なし崩しに、次々に「改憲」をすすめる。
「2012年改憲案」にあっと言う間にすりかえる作戦である。
このずるい作戦を許してはいけない。
すでに「教育費の無償化」は「無償化」ということばを外している。「教育環境の整備」というような表現に変わっている。「教育環境の整備」というのは、とらえ方によってはどうとでも「解釈」できる。
何度も書いているが、安倍の気に食わない学問(たとえば、安倍政権を倒すためにはどうするべきか、というような学問)は禁止される。安倍に都合のいい人間だけにする、という「洗脳教育」も「教育環境の整備」という名目で実施できる。学問の自由がなくなるのだ。
安倍が最初に打ち出した「改憲2項目」はすでに「4項目」に膨れ上がっている。そして、そのうちのひとつは「緊急事態条項」に「格上げ」されている。
「改憲」の項目が増えれば、増えた分だけ、それを点検する時間が必要になる。議論し、どこに問題点があるか、国民みんなが理解しないといけない。けれど、安倍は、「時間」を確保しようとはしない。逆に、時間を区切っている。短時間の中に多くの議題を放り込み、議論が熟成するのを妨げる作戦である。
それにしても。
批判の多い「国民に国などの指示に従う義務を課す規定は見送る」ということで、「緊急事態条項」は「安全」だという「印象操作」をしようと思いついたのはだれなのか。
「これなら、まあ、大丈夫かも」と油断させる作戦は、あまりにも巧妙である。
#安倍を許さない #憲法改正 #天皇退位
*
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松井久子監督「不思議なクニの憲法」上映会。
2018年5月20日(日曜日)13時。
福岡市立中央市民センター
「不思議なクニの憲法2018」を見る会
入場料1000円(当日券なし)
問い合わせは
yachisyuso@gmail.com
自民党憲法改正草案を読む/番外182(情報の読み方)
2018年03月07日の読売新聞夕刊(西部版・4版)の一面
大災害時 内閣が緊急政令/法律と同等 自民、改憲案明記へ
という見出し。
朝日新聞がスクープした森友学園文書捏造問題や南北朝鮮の対話の陰に隠れてめだたないが、まるで世間の大騒ぎのすきに「改憲案」をどんどん増やしている。
安倍は最初①自衛隊を憲法に明記する②教育費の無償化の2点を「改憲案」と言っていた。
ところがそれに③参院選の合区の解消④緊急事態時の国会議員の任期延長を加えた。
④は、2012年の自民党改憲案にある「緊急事態条項」に含まれている。
これまでは「緊急事態条項」とは言っていなかったが、突然、「緊急事態条項」を言い出した。まるで、それが「既成方針」であるかのように、すでに「公約」で言っているかのように、である。
記事は、こう書いてある。
自民党憲法改正推進本部(細田博之本部長)は7日午前、党本部で執行役員会を開き、緊急事態対応に関する改憲案について協議した。大災害で国会を開けない場合、内閣に緊急政令の制定を認める規定を盛り込む方向でおおむね一致した。
「2012年の自民党改憲案」は「緊急事態条項」に非常に問題がある。9条改正よりも問題が多いと指摘する人もいる。
これまで「改憲案」の「小出し」することで、様子をみていたのだろう。
12月に打ち出した「④緊急事態時の国会議員の任期延長」が、それほど反撥を招かなかったので、それじゃあ「内閣が緊急政令を出せる」というのも盛り込もうというのである。これは実質的に「緊急事態条項」の追加である。
自衛隊を憲法に明記するだけではなく、「緊急事態条項」そのものを新しく書き加えることを、安倍はねらっている。
いつでも、かってに「緊急政令」を出す。つまり「独裁」で、したい放題をするということだ。
「2012年改憲案」の「緊急事態条項」には、首相が閣議を経て緊急事態を宣言すれば、国民に、国や地方自治体の指示に従う義務を課す規定がある。これは反撥が予想されるため、今回は見送るという。
で、この「緊急事態条項」のポイントを読売新聞は、こう「整理」している。(番号は、私がつけたもの。)
(1)大災害で国会を開けない場合、内閣に法律と同じ効力の緊急政令制定権を与
える
(2)国政選挙を実施できない場合、国会議員の任期延長を認める
(3)国民に国などの指示に従う義務を課す規定は見送る方向
(1)も(2)も問題があるのだが、わざわざ(3)で「見送る方向」と書いている点に注意しなければならない。
(3)はことばを補えば、
国民に国などの指示に従う義務を課す規定は「今回は」見送る方向
あくまで、「今回は」見送るのである。
憲法を改正し、「緊急事態条項」を新設、それが新設されれば即座に「国民に国などの指示に従う義務を課す」という条項を追加するつもりなのだ。
なし崩しに、次々に「改憲」をすすめる。
「2012年改憲案」にあっと言う間にすりかえる作戦である。
このずるい作戦を許してはいけない。
すでに「教育費の無償化」は「無償化」ということばを外している。「教育環境の整備」というような表現に変わっている。「教育環境の整備」というのは、とらえ方によってはどうとでも「解釈」できる。
何度も書いているが、安倍の気に食わない学問(たとえば、安倍政権を倒すためにはどうするべきか、というような学問)は禁止される。安倍に都合のいい人間だけにする、という「洗脳教育」も「教育環境の整備」という名目で実施できる。学問の自由がなくなるのだ。
安倍が最初に打ち出した「改憲2項目」はすでに「4項目」に膨れ上がっている。そして、そのうちのひとつは「緊急事態条項」に「格上げ」されている。
「改憲」の項目が増えれば、増えた分だけ、それを点検する時間が必要になる。議論し、どこに問題点があるか、国民みんなが理解しないといけない。けれど、安倍は、「時間」を確保しようとはしない。逆に、時間を区切っている。短時間の中に多くの議題を放り込み、議論が熟成するのを妨げる作戦である。
それにしても。
批判の多い「国民に国などの指示に従う義務を課す規定は見送る」ということで、「緊急事態条項」は「安全」だという「印象操作」をしようと思いついたのはだれなのか。
「これなら、まあ、大丈夫かも」と油断させる作戦は、あまりにも巧妙である。
#安倍を許さない #憲法改正 #天皇退位
*
「天皇の悲鳴」(1500円、送料込み)はオンデマンド出版です。
アマゾンや一般書店では購入できません。
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松井久子監督「不思議なクニの憲法」上映会。
2018年5月20日(日曜日)13時。
福岡市立中央市民センター
「不思議なクニの憲法2018」を見る会
入場料1000円(当日券なし)
問い合わせは
yachisyuso@gmail.com
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