詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

キャリー・ジョージ・フクナガ監督「007ノー・タイム・トゥ・ダイ」

2021-10-19 17:32:23 | 映画

キャリー・ジョージ・フクナガ監督「007ノー・タイム・トゥ・ダイ」(★)(2021年10月19日、中州大洋スクリーン1)

監督 キャリー・ジョージ・フクナガ 出演 ダニエル・クレイグ

 しばらく映画を見ていなかったからなのか、映画の見方を完全に忘れてしまったのかもしれないが、ぜんぜんおもしろくなかった。と、書いたら、感想がもうおしまい。
 何がおもしろくないのかなあ。イントロダクションにボンドが出てこないのが、まず、まずい。「インディー・ジョーンズ」を引き合いに出すのがテキトウかどうかわからないけれど、イントロダクションにはやっぱり主人公が出てこないと、スピード感がない。これじゃあ、長くなるだけだぞ、と思っていたら、ほんとうに長い。いつまでたっても終わらない。
 で、そのイントロダクションなのだが、なんとまあ、ボンドの「恋人」の過去の紹介。まあ、悪役組織が関係してはいるのだが、それならそうで組織に焦点を当てて描けばいいのだが、本編にはいると、なんとか生き延びた少女が大人になってボンドの恋人。イントロダクションが「二股」。おいおい。それにさらに尾ひれがついて、実は恋人は妊娠していて、ボンドは青い目の娘と出会い、過去を知る。あーあ、これじゃあ、スパイものでもアクション映画でもなくなるね。「過去」にひきずられる恋愛がテーマ。「過去」にひきずられるは、それだけではなく悪役の方も同じ。彼にも忘れられない「過去」がある。まるで「過去の悲しみ」のみせっこ。私の方がつらい人生を生きてきた。だから、生きる権利がある。そういう言い合い。
 なんとか「人間味」を出そうとしているのだろうけれど、アクション映画に人情悲劇や恋愛、そのあとの家族愛なんと関係してきたら、もうごちゃごちゃ。終わりようがない。ご都合主義そのままに、恋人と娘はミサイル攻撃(爆発)があっても安全な場所まで「ゴムボート」で避難している。その海岸で、恋人は娘を遊ばせながら、ボンドが死を覚悟していることを無線(?)で「愛してる」と最後の別れを告げる。どっちらけで、見ている私の方が死んでしまいそう。
 なんというか……。ディズニーの「家族向け映画」みたいだなあ。
 映画は果てしなく「ディズニー化」していくのかもしれない。主役は男から女へ。白人から有色人へ。007の後任も、アフリカ系の女性だったしなあ。いまさら007をアフリカ系の女性にしても、もう遅い。どこにも新しさはない。ただ、白人至上主義、マッチョ主義ではない、とむりやり自己弁護しているだけ。
 そあおりで(?)、私の大好きな俳優、クリストフ・ワルツなんか、出番がほんのちょっと。もう少し演技させて、悪人だけれど人懐っこいという矛盾した魅力をみせてほしかったなあ。体を拘束されていて、動かせるのは顔だけなんだから、もっと演じさせないとつかった意味がない。

 

 

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