「判断力」を強くする - 正しく判断するための14の指針 (ブルーバックス) [新書]
藤沢 晃治 (著)
場所:江東区図書館
判断というものをどう考えたらよいのか、すっきりとまとめてくれている。
良書、おすすめ。
以下、メモ。
●<P.53>さて、「判断する」と「思う」との比較によって、私なりに脳裏に浮かび上がったことを整理すると次の通りです。
【1】「思う」という行為は、「なにげなく」行う行為である。
【2】「判断」とは、複数の選択肢の中から「次に取るべき行動」を選択すること。
【3】「取るべき」とは、最善を選択すること。
【4】「最善」とは、通常、「判断する人物」にとって最善であること。
【5】「判断する」という行為は、論理的、かつ、慎重に行う行為である。
以上をまとめると、「判断」とは、
「『次に取るべき行動』としての複数の選択肢の中から、自分にとって最善となるような選択肢を論理的、かつ、慎重に選択すること」
★著者なりの整理ではあるが、しっくりくる。
部下からのホウレンソウを受けているとき、「~と思います」に感じる違和感はこれか。
~と思った、それで?
主体性の欠如、次の行動に結びついている感じがしない。
ここから自分へのフィードバック。
思う、思います、こういう言葉を使っている自分を感じたら、それを自分としてはこう判断するという言葉に置き換えてみよう。
判断したからには、次に何か行動をしないといけないはず。
●<P.64>「判断」とは「欲しいもの(状態)を手に入れる」ためにすることです。その「欲しいもの」は、それぞれの人によって異なります。「欲しいもの」とは、人それぞれの価値観ですから、価値観は判断の土台なのです。土台が異なればその上に建つ家の造りが違うように、価値観ごとの判断はあるのです。
●<P.64>個人の価値観が土台なので、万人共通のたった一つの「最善の判断」というものは存在しません。しかし「あなた」という特定の人物、「あなたの現状」という特定の状況下での「最善の判断」、つまり「あなたにとっての最善の判断」は、必ず存在するはずです。
つまり「あなたが何を重視するか」を明確に自覚しながら「最善の判断」探しをすれば、「あなたにとっての最善の判断」に近づけるはずです。
したがって、今のあなたが「何を重視するのか」、「どんなリスクを、どの程度避けたいのか」というあなた自身の価値観をキチンと分かっていなければなりません。そうでなければ、判断の土台がないことになり、いつまでも迷うことになるからです。
★判断とは価値観。
判断ができない、判断に躊躇する、判断がぶれる、これは価値観が定まっていないことを意味する。
そういう時は、悶々とああでもないこうでもないと考えるのではなく、自分は何を大事にしたいのか、自分の価値観はなんだ?ということに意識を向けるようにしたい。
●<P.88>「自分に選択権がない分岐点では最悪のケースを想定し、自分に選択権がある分岐点では最善のケースを選べ」
★言われてみれば当たり前、でも意識してこれができていたか…
●<P.110>脱水症状による熱中症予防策として塩分補給が大切なことを、日本で最初に提唱したのは、信州大学でスポーツ医学を研究している能勢博教授でした。能勢教授が実際に提唱している内容を正確に表現すると次のようになります。
アスリートが競技中に激しい汗をかいて脱水症状で熱中症を起こさないためには、塩分補給が重要である。
ところが、一般的に広く信じられている「熱中症予防には塩分補給を」というスローガンは、能勢教授のこの主張から傍点部分(アスリートが競技中に激しく汗をかいて)が脱落し、悪玉単純化されているのです。
★へぇ、てことでメモ。
●<P.123>結果論での評価は、基本的には「後出しジャンケン」と同じで、誤りです。結果を見てから、「あの判断は正しかった」とは言えません。論理矛盾だからです。なぜなら、「どの選択が正しいか」という判断を求められるのは、判断を下す「前」であって、判断を下した「後」ではないからです。私たちが判断する際に欲しいのは、自分の目前の各選択肢に関する事後評価ではなく事前評価だからです。
★事後に、結果から見て判断の良し悪しを言ってしまうことはありがち。
結果がどうあれ、言っていいことは、判断の際に正しく判断をしていたかどうか、それだけ。
判断する時点でわかる全ての選択肢を検討していたかとか、価値観にあっていたかとか。
結果がわかってからでしか思いつかないような選択肢でもって判断の良し悪しをあげつらうようなことは避けよう。
●<P.132>つまり、一見、直感的には恐怖で萎縮してしまうようなこうした状況での判断ルールも、じつは意外に単純です。各選択肢の損失の期待値(損失予想値)を計算し、それがいちばん小さい選択肢を選べばよいのです。つまり、危険度の観点から、よりマシな選択肢を選ぶわけです。
★どちらを選ぼうがリスクがある場合はこれ。
●<P.156>過去の判断が正しかったのか誤りだったのかを考えるとき、現在地だけを「点の評価」として参考にすることは誤りだと述べました。代わりに、その過去の判断時点から現在に至るまでの人生全体を「線の評価」として考えるべきだと述べてきました。
★結果である今の良し悪しから振り返って、過去のある一点の判断をどうこう言っても仕方がない。
その判断以降にも、多数の判断があったはず。
それらのトータルとして今がある。
どれか一つの判断に全部の責任を押し付けることはできない。
過去は変えられない。
できることは、過去から教訓を得ることだけ。
【アクション】
自分に選択権がない分岐点では最悪のケースを想定し、自分に選択権がある分岐点では最善のケースを選ぶ。
それでも判断ができない、判断に躊躇する、判断がぶれる、ならば、価値観が定まっていないということ。
改めて、自分にとって何が重要なのか、価値観を問い直す。
【著者】
なし