シノワレコード

女性Vo60sサイケガレージ的Indiepopバンド"シノワ/shinowa"のGtヒラタによる色々レビュー&世間の話題

2007年シノレコ再発アワード ~謎のピラミッド

2007年12月31日 | 英60's
今年は長い一年だった。やること大杉でどうも対象への手の付け方というか順序・プロセスへのセンスが相変わらず無い。
年末もそんな感じで、家族ともどもこんなに正月気分のない年の瀬も初めてだ。

さて、先日入院中に2007ベストのiPodプレイリストを作って結構いいのができた。今年はメロウな曲が多いなーと思う。
だけどヘビロテは結局カースティ・マッコールとベルスターズという80's & スティッフだった。
近年は80年代を多く聴くようになってて、エレポップとかも抵抗なく聴けるようになった。だから、聴きたいのがたくさん出てきて、さらに新鮮に音楽が聴けているので嬉しい。
10年前には80年代は全否定していたのも幸い。つまり楽しみをとっといて良かった的な感じだ。


さて、近年はサイケの再発の中心がhttp://www.soundlinkmusic.com/catalog/内の Fallout、sunbeam、psychic circle の各レーベルになってて、なかなか良いのが今年も結構出ました。
シノレコの再発アワードは一昨年がアーニーのジャイアントクラブ、そして昨年がコアラといわばスかしたサイケバンドが何故か受賞していたのだが、今年はやや硬派に行きたいと思う。

今年一番のサイケ名曲は、間違いなく psychic circle 発のオムニバス『Fairy Tales Can Come True』に入ってた THE PYRAMID っていうバンドの " Summer Of Last Year "だ。この一曲だけでもこのCDは買う価値ありだったし、運良くこのCDは某T店でのバーゲン品でもあったのがさらに嬉しい。
これがその名曲のオリジナル7インチ。
ちなみにドリーミーでポップでやや複雑なハーモニーをもつこの名曲は、なんと66年の発売のようだ。

そこでピラミッドのことを調べてみると・・・なんと、フェアポートコンベンションのイアン・マシューズがそれの加入以前にやってたバンドだったことが判明。
http://www.iainmatthews.com/bio.htm
彼のオフィシャルHPのバイオグラフィに詳しく載ってる。
さらにバイオによると、このピラミッドのメンバーは 他に Steve Hiett と Al Jackson であり(つまり三人のユニット)、レコーディング時のベースは John Paul Jones が弾いているのだとか。
なおピラミッドは自称「サーフバンド(バイオより)」だったらしい。要はビーチボーイズとかアソシエイションとかのカリフォルニアのハーモニーバンドを狙ったようだ。

この" Summer Of Last Year "なる名曲の作者は上記メンバーの Steve Hiett 氏で、バイオによればイアン・マシューズをフェアポートコンベンションのボーカルに推薦したのは彼の提案だそう。
ちなみに「スティーブ・ハイエット」でググってみると、写真家として有名な方として引っ掛かる。さらにこの人物は1983年に『渚にて』というアルバムを、加藤和彦とか白井良明とか鈴木博文をゲストに東京で録音している。
ヤフオクでもこのアルバムが引っ掛かり、帯かライナーの解説画像があったのだが、それに見える経歴には「英国オクスフォードに生まれる。ロックバンドのギタリスト、アートディレクター、デザイナーを歴て、1968年雑誌ノヴァの仕事を手がける」と記される。この「ロックバンド」がピラミッドのことかもしれない。
帯には「新しい世代のためのサマー・ミュージック」と書かれているようで、ハイエット氏はどうもピラミッドシンドロームを引きずっていらっしゃるようだ。

ピラミッドのもう一人のメンバー Al Jackson とは、ブッカーT & MG’sのドラマーが同姓同名なんだけど、もし本人だとしたらピラミッドはものすごいメンツのバンドだったということになる(だけどこれは怪しい 笑)。
さらにバイオでは、この名曲 " Summer Of Last Year "は1967年にラジオでヒットし、次に “ Me About You ”というシングルを出す予定だったがリリースされなかったとのこと。マネージャーは同じレーベルだったプロコルハルムに力を入れたんだそうで、そんないざこざでバンドは崩壊したっぽい。

(*以下にもレビューなどがあります)
http://home.planet.nl/~tenho003/matthews/bio.htm
http://www.terrascope.co.uk/Reviews/Reviews_August07.htm


" Summer Of Last Year "は本場カリフォルニアの太陽とはちょっと違う、霧がかった湿ったようなコーラスワークが本当に心地よい名曲。
イギリスには WEST COAST CONSORTIUMっていう、ピラミッドと似たような西海岸志向のバンドがある。これもピラミッドと同じくカリフォルニアっぽい空気を狙っているんだろうけど、天然にウエッティーという素敵なバンドだ。だけどこれこそがイギリス音楽の良いところなんだと思う。
そして66年の発売ということなら67年の夏に全盛期とされる「サマー オブ ラブ」に先行してるわけだから、単なる「サマー オブ ラブ」のイギリスからののアンサーソング的なものでないことになる。ちなみに上記の WEST COAST CONSORTIUM は 1st シングルは67年の7月に発売なのでやっぱ先取りしてる感じだ。
繰り返しになるが、狙った訳ではないだろうコーラスの醸し出すなんとも湿り気のあって天然サイケっぽくてかつなぜか爽やかさを感じることとなってしまった雰囲気と深い味わいは、ちょっと他の追随を許さない名曲だ。

こういう大穴があるのでオムニバス好きは辞められないなと、そういうことで今年を締めくくろうと思います。
あ、ことしの大賞も「ピラミッド」とややバンド名的にはスかしてたな。
さーて、2008年の目標はオリジナル7インチの入手ということにしよう。


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