シノワレコード

女性Vo60sサイケガレージ的Indiepopバンド"シノワ/shinowa"のGtヒラタによる色々レビュー&世間の話題

2008年シノレコ再発アワード ~ カンチガイの虹

2008年12月31日 | ソフトロック
もはや年末の恒例行事となりつつある、シノレコの再発アワードも今年で4年目です。
4年目というと大学生が入学して卒業する時間感覚だから、このブログも相変わらずダラダラと続いてるんだなと。
それにしても今年の年末は忙しかったが、この忙しさの勢いで空いた時間に一気に年賀状を仕上げ、今日すべて投函。
年内に年賀状が終わったのは初めてです。
取り急ぎの仕事もなんとか今日終えて、さっき娘も寝たし、非常に稀に見る胸のつっかえのない年越しを迎えてます。


さて、今年もたくさん音楽を聴いた。うれしいのは娘が物心ついてきて案の定、音楽娘になりつつあることだ。
いま2歳と9ヶ月ですが、ふとんの中でイントロクイズをしたりするようになった。
「パッ・パッ・パ・パ・パ」というと
「あの子全然さすがのブロークンハー」(こんなにはっきり発音はできないけど)と、レスポンスがかえってきます。

娘が好きなのが、YUKI の "メランコリニスタ" だったので車中のiPodでよく聴かされた。
だから、今年物理的に一番よく聴いたのは "メランコリニスタ" だった。
おかげで好きになったし、今年はこの曲のベースの音やドラムの音にプレイヤーとしてちょっと影響された。
何度聴いてもすべてが必然的なフレーズと音から成り立っている曲で、まったくプロの仕事だなあと唸らされる。


今年の再発で一番衝撃的だったのが、実は12月に出たソフトロックの名盤といわれてる
Wendy & Bonnie の "Genesis" の 2枚組デラックスエディション。
http://blog.goo.ne.jp/shinowarecords/e/83ff39db1b84c091d6049c5612fd47d2

このアルバムはもともとゲイリー・マクファーランド の Skyeレーベルから出てる。
つまりソフィスティケイトされたジャズレーベルなのでそういう感じと、クールなサイケ感とグルーヴィーな
演奏とハーモニーの清涼感とか混ざったやはり稀代なるサウンドに間違いない。

これもいわゆる VANDAのソフトロック本から有名になって、自分もずっと聴きたいと思ってて、
たぶん10年前くらいに大阪のフォーエバーでブートのCDとアナログを購入。やはりそのサウンドはすごいなーと思った。
その後にSUNDAZEDから再発されて、確か紙ジャケにもなったりした。

このサウンドや雰囲気、そしてジャケの美少女など何か神聖というか、そういう謎のベールに包まれてたとこがあって、
それもまたこのアルバムの魅力だと思ってた。
今回のデラックスエディションでは、デモやらライブやらもが満載で「ああ、やっぱ人間として実在してたんだ」
みたいな変なリアル感を感じてしまって、ちょっと夢が壊れたような気分になった。


そんなこんなで年末になって、今年聴いたCDを振り返ってみた。
そういや、ソフトロックの名発掘盤的なものがあったなあと。それは
Rainbowというバンドの "After The Storm"というアルバム。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2669510

ああ、確かにこれは良かったなあと思って聴き直してみたら、意外や意外。
いわゆるソフトロック受けしそうな曲は一曲のみだった。
それは6曲目の "4 Leaf Clover" という曲なんだけど、これがなんともチープなジグソーがアシッドソフトロック
やってるみたいな超名曲なんです(シノワかおりもこれが車中でなんとなく流れてて、「この曲は誰や」と言ってた)。

この一曲の印象が強すぎで、ああソフトロック名盤だと思ってたけど、他の曲は60年代後期のプログレエッセンスのあるハードロックぽいサイケに、
例えば「南無妙法蓮華経」というミュージックエンプロイエムみたいなコーラスを入れた、やや変態っぽいサイケなどがほぼすべて。

一曲だけアタリというアルバムも少なくないんですが、一般的な再発リスナーの感覚から言えばここまで極端なのもめずらしいのかも。
自分は他曲も含めて全然大丈夫ですけど、あまりゴリゴリのソフトロックファンがこの一曲のために買う価値があるかどうかは微妙なとこかもです(笑)。
だけど、他曲の存在を忘れてこの名曲だけでアルバムの印象を勘違いするくらいの名曲だということなので(笑)
今のリスナー感覚にはない、当時のサイケバンドの懐の深さを痛感する一枚です。
改めて聴くとソフトロック名曲も含め、不思議な統一感を感じるのもやっぱすごいや。

というわけで、ことしは大賞はレインボーに決定。
レインボーだけにやはり虹ジャケです。念のため。


補足ですが、メランコリックでジャジーな曲ながらチープなテイストのガレージバンド(ややサイケ)の The Contents Are は非常にオススメです。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2676756
上記HMVでは試聴可。
正直、レインボーよりも全然オススメなのが大賞のレインボーに失礼なとこだけど(笑)


また年末のラヴィンスプーンフル、ブッダ関連の紙鮭再発は最高に最高でした。
昔はアナログでヘビロテだった Innocence も、忙しい中久々に聴いて涙。
これはやっぱ文句なしの名盤だわ。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2764428
イノセンス や ソルト・ウォーター・タフィ は発掘されるべきしてそうなった再発見名盤のお手本ですね。
改めてブッダのすごさを実感した年末となりました。

というわけで、実は大賞よりも次点の方がオススメですという、2008年でした。