洗面所なら洗面所に行った時、「あれ、何しに来たんだっけ」ということはないでしょうか。
今回はそういうことが多くなるようで少なくなるような、ちょっと不思議な行動/思考パターンを紹介します。
アメリカの整形外科医、マクスウェル・マルツという人が考え出した〈サイコサイバネティックス〉というもので、着弾地点を自動で決められるミサイルと同じように、自分で自分の行動をコントロールしようというもの。「心理学を用いた自動制御」とでもいったところ。自分に暗示を掛けることであり、ついやってしまう行動まで自分の思い通りにしてしまおうというもの。
例えば、寝る前に「明日の朝は鼻毛の手入れをするぞ」と自分に言い聞かせる。あるいは「週末は靴磨きをするんだ」と。すると、洗面所に立ったら自然と鼻毛バサミに手が伸び、玄関に向かい靴磨きを進んでやるようになる、はず。
こんな簡単な日常動作からさらに進めて、「あの娘に告白するぞ」「報告書まとめるぞ」「緊張せずにプレゼンするぞ」「お酒はほどほどにしておくぞ」とリラックスした状態で自分に〈指令〉しておけば、これが不思議とらく~にやってのけられる(らく~にコクるのも「何だかなあ」ながら)。もちろん悪い方向に〈指令〉すれば、その通りになってしまうんだけど。
〈サイコサイバネティックス〉という言葉は知らなくても、「計画的に行動する」という意味では多かれ少なかれきっと誰しもやっているはず。それを、さらに楽にできるコツみたいなもの。落ちこぼれ学生だった僕がここまでやって来られたのも(って言ってもわからないですね)、その学生時代にタイトルに惹かれて読んだ『自分を動かす』によるところが大きいような気がする。
デール・カーネギーの『人を動かす』もいい本だけど、この本もなかなか。またこの考え方は、ジョセフ・マーフィー博士の唱える〈潜在意識〉、あるいは大乗仏教で言う〈阿頼耶識〉の活用に近いのかもしれない。
…使いこなせれば面白いように自分を律することができる、実におトクな方法、なのです。