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エッセイとショートショートと―あちこち話が飛びますが

考察(教会が尖っている理由)

2009-11-29 08:20:46 | 科学/考察
 
 日曜夜の『THE 世界遺産』(ソニー提供)なんか見ていると、欧米の教会は屋根がものすごくとんがっている。天に向かってそんなに突き刺さなくてもいいのに、といつも思うのだが、その理由が何となくわかった、という話。

 山岳信仰という言葉もあるように、日本では信仰の対象として、富士山をはじめとする山々が挙げられる。お寺の名前に「○○山」と付くのもそのせいかもしれない。その山々の代わりとして作られる寺社の屋根は、日本の山々と同様、なだらかとなる。
 これに対しヨーロッパの山々は、マッターホルンに代表されるように、かなり嶮しい。ヨーロッパ人も山岳信仰を持つとすれば、その代わりとして建てられる教会も、鋭角的になるのだと思う。
(まさか自分たちの高い鼻に合わせたわけではなかろう。ついでながら、西洋人の鼻の高さは、吸う空気の温度と関係があるそうだ)

 もう一つはやはり、遠くからでも目立つように、だろう。礼拝に行くのに、教会がどこにあるのかわからなければしょうがない。日本の神社やお寺だと、森(杜)に囲まれているから、その緑を目指せばいいのだが、教会の場合、そういったものはないから。
 これはまた、自己主張する欧米と、奥ゆかしい日本との違いとなっているのかもしれない。

 話を戻すと。ペルーやメキシコなど、山ばかりの地方になると、さらに上の方、つまり、太陽を信仰することになるのだろう。「日の本」とも言われるように、日本でもその傾向はある。
 また山がなく太陽もありふれた南の島々では、海洋信仰ということになるのかも。
 そしてロシア。小説『罪と罰』でラスコーリニコフが大地に接吻するように、高い山もなく太陽もあまり出てこないロシアでは、残るものとしては大地になるのだろう。

 まとめると、山岳信仰・太陽信仰・海洋信仰・大地信仰、となる。

 ところで、日曜夜6時半からはキヤノン提供の『奇跡の地球物語』という、これまたいい番組が始まった。おかげで日曜の夜はテレビ漬けになってしまうのだが、ソニーとキヤノンと、CMのツクリに大きな違いが見られる。やはりソニーの方がアカ抜けている分、キヤノンの方は堅実と言える。社風というのは、こんなところからも透けて見えるものだ。

〔写真は、チェコのプラハ(『THE 世界遺産』のHPより)〕

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サムライブルーと陰陽道

2009-11-22 07:17:01 | サッカー
 
 来年の南アフリカW杯出場32ヶ国が決まり、今から楽しみにしているところ。
 ところでアフリカの5ヶ国を見ていたら、すべて国旗に緑色が入っている。それだけ自然が豊かってことか、あるいは大地の象徴なのか。

 さてご存知のように、日本のユニフォームはむかーしの赤は別として、ずっと青である。大相撲の土俵上の方の「赤房」や「黒房」とも関係あるのだが、陰陽五行説の考え方に、四神というのがある。
   東の守り神・・・青竜(春)
   南の守り神・・・朱雀(夏)
   西の守り神・・・白虎(秋)
   北の守り神・・・玄武(冬)
 たとえば極東4ヶ国をこれに当てはめると、韓国が赤、日本が青というのは、しっくり行く。(ただし中国もたしか赤だし、北朝鮮は黒ではなかったが)
 アジア全体、ユーラシア大陸、さらに全世界と、範囲をもっと広げてみても、日出づる国・日本は東の端であるのは変わりないから、青は青でいいのかも。
 だから何なんだ、と言われそうだが、青い竜に守られていると思えば、世界のベスト4も夢ではないような気もする。ヤタガラスのこともあるし、そこまで考えて青に決めたのかどうかは…知らない。

 話変わるけど、BS1の特集を見ていたら、解説の山本昌邦さんが、フランス代表アンリの〈ハンド〉について「これからその事実を背負っていくわけです」という趣旨のことを言っていた。いい悪いの問題ではなく、そういったことを含めての〈サッカー〉だということを言いたかったのだと思う。さすが山本さん。

 さてさて、組み合わせ抽選も間近であるが、今日現在のランキングからして、アルゼンチンとイングランドはシード8ヶ国からは外れそうである。「死のグループ」がまた出てくることは、間違いない。
 我らがニッポン、アルゼンチンやブラジルとはW杯で一度当たっているので、1次リーグでは別のチームとやってもらいたいものだ(できればスペインと)。

 〔写真は、スポーツウェブショッパーズのHPより〕

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会社との距離

2009-11-15 08:19:06 | エッセイ
 
 朝夕だいぶ涼しくなってきたが、天気のいい日は自転車で通勤している。
 信号のない、ほとんど車も通らない田舎道をのんびり走るというのは、健康上はもちろん、気分の上でも非常にいいことだ。

 延々1時間以上掛けて出勤する人もいる一方(都会じゃ普通だろうけど)、家が会社のすぐ近くの人もいる。ただ近けりゃいいかって言うと、そういうわけでもないだろうと思う。
 たとえば会社から自宅まで5分だったとすると、会社での気分が抜けないだろうし、時にはイライラしたまま家に帰ることにもなろう。そうなりゃ、くつろぐことなんてできないだろうし、家庭内の雰囲気も悪くなるだろう。

 僕の場合、自転車で30分(クルマだと20分ほど)なのだが、だいたいこれくらいあれば、気分の切り替えができる。人も車も少ない道だし、風を切りながらあれこれとりとめのないことを考えるというのは、なかなかに贅沢な時間なのだ。
 クイーンの「バイシクル・レース」や、その時々のお気に入りの歌を口ずさみながらペダルを漕ぐのもいい。
 また春は桜を愛でながら、夏は蝉しぐれを浴び、秋はキンモクセイの香り聞きながら、そして時々、富士山を眺め、と。外部と遮断されているわけではないけれど、一人きりになれる時間でもある。

 こういう物理的な距離とは別に、「精神的な距離」というのもあるだろう。昔はそれこそ、仕事が生き甲斐になっているような人が多かったように思うが、今は「ワーク・ライフ・バランス」ということも盛んに言われているし、会社命!/仕事いのち!って人も少なくなっているんじゃないかと思う。
 時代の流れでもあるし、それはそれで。
 ついでながら、木曜夜のNHK教育『知る楽・仕事学のすすめ』という番組はいいんで。特に管理職の立場にある人は、必見。

 さて、これからますます涼しく、そして寒くなるけど、自転車通勤、どこまで続きますやら。

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〈ドラえもん〉人物学

2009-11-08 09:41:04 | エッセイ
 
 読書の秋。安岡正篤『佐藤一斎「重職心得箇条」を読む』(致知出版社)という少々カタい本を読んでいたら、東洋の人物学として、次のような順番のあることが書いてあった。

 第1等:深沈厚重(どこか深みがあって落ち着いており、厚み・深みがある人物)
 第2等:磊落豪雄(線が太く、貫禄がある人物)
 第3等:聡明才弁(頭がよくて才があり、弁舌の立つ人物)

 太っ腹で豪快な人間や、いわゆる勉強のできるタイプは一流ではなく、物静かな学者あるいは武術の名人タイプが一流とのことである。(もちろん第4等以下というのもあるのだろうが)
 たとえば3人の登場人物がいる物語としては、最近は見ていないけど『ドラえもん』がある。ドラえもん本人は別として、上の基準で行くと、のび太が最も第1等に近いように思う。続いて、ジャイアン・スネ夫の順か。(あ、出木杉君もいた)

 今、子供と一緒になって見ているNHK教育の『新・三銃士』もそうだ。アラミス・アトス・ポルトスの順のようだが、今後ダルタニアンが成長すれば、1位になるのかも。
 有名なところでは『三国志』や『西遊記』、古いところでは『ブーフーウー(3匹の子ブタ)』でも、3人(3匹)出てくる。『三国志』だと劉備・関羽・張飛の順のようであるが、やはり諸葛孔明が別格か。
 ひょっとしたら、登場人物の設定として、だいたいこの3種類を考えるものなのかもしれない。それと西洋では、上の第3等が真っ先に来るような気もする。

 ところで自分はどうかと考えると、豪傑タイプでもないし口達者でもないし厚みもないし…ってとこ。
 ともあれ、何か人選をする時のために覚えていて損はない話だし、ドラマなんか見る時にも参考になるかも。
 

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直訳『刑事コロンボ』

2009-11-01 08:29:04 | 言葉/ナンセンス
 
 名曲『明日に架ける橋』の原題は“Bridge Over Troubled Water”、映画『未知との遭遇』の原題は“Close Encounters of the Third Kind”。このように、原題と邦題とで違っていることがある。
 先月NHK-BS2で始まった『刑事コロンボ』、中学から高校にかけて、よく見ていたものだ。その面白さはともかく、感覚の違いもあるのか、原題は分かりやすい邦題とは多少かけ離れている。そこできょうは、アメリカ人が感じているように原題を訳すことを試みてみた。

1.構想の死角“MURDER BY THE BOOK”
  犯人役:ジャック・キャシディ(声・田口計)
 "BY THE BOOK"とは「教科書どおりの」という意味なので、ストーリーも考えて「筋書きどおりの殺人」でどうでしょう。
  
2.指輪の爪あと“DEATH LENDS A HAND”
  犯人役:ロバート・カルプ(声・梅野泰靖)
 "LEND A HAND"とは「手を貸す」という意味である。殺された女性のコンタクトレンズがポイントになっていることから、ちょっと難しいけど「死人に口あり」でどうでしょう。

3.歌声の消えた海“TROUBLED WATERS”
  犯人役:ロバート・ボーン(声・西沢利明)
 これは慣用句のようで、そのまま「荒れた海」としたいところだが、どうも奥さんとの仲も悪かったようなので、「人生の荒波」でどうでしょう。ちなみに『明日に架ける橋』の方は、「激流に架ける橋」ってところか。

4.権力の墓穴“A FRIEND IN DEED”
  犯人役:リチャード・カイリー(声・北村和夫)
 これもなかなかいい作品。友人同士でアリバイを作り合うところから「真の友達」で。

5.野望の果て“CANDIDATE FOR CRIME”
  犯人役:ジャッキー・クーパー(声・中谷一郎)
 "Crime"は「犯罪」という意味なので、「犯人候補者」でどうでしょう。
 なおジャッキー・クーパーは、映画『スーパーマン』でデイリープラネット社の編集長役をやっていました。

 英語好きな方、よかったら考えてみて下さい。
 ところでこの『刑事コロンボ』、昔は家族総出で見てたものだが、今の僕の家族はまったく興味ないらしく、僕一人で見ているところ。静かでいいんだけど。

 …あ、もう一つだけ。吹き替えの小池朝雄氏はとうに亡くなり、主演のピーター・フォークは今、アルツハイマーなんだそうだ。2人とも僕らをずいぶん楽しませてくれたのに、お気の毒。
 

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