eSSay

エッセイとショートショートと―あちこち話が飛びますが

単身赴任4年目

2005-08-28 08:10:46 | エッセイ
そのうち戻れる、という話もあるようだが、単身赴任も3年を超えた。

東京と静岡と、ほぼ毎週往復の生活をしている。最初のうちは大変だったが、慣れてしまえば何てことはない。別居手当も早々に出なくなってしまったので、あとは自腹なのだが、休みの日に東京に居たら居たで出費がかさむだろうから、それほどの持ち出しだとは思っていない。

単身赴任は確か全国で90万人くらいいて、ネガティブなイメージがあるが、いいことも結構ある。有名な展覧会や演劇も見られるし、好きな本が読めるし考え事もできる。それと、家族に会うのがものすごく楽しみになることだ。
カミさんと話がしたくなるし、子供たちにも、会いたくてたまらなくなる。毎週土日が新鮮でいい。正確に言うと金曜の夜に帰って月曜の朝に出るのだが、金曜日嬉しい分、月曜日特に気が重くなるのは致し方のないところ。
それから、東京という、また違った文化を知ることができるというのもいい。人との付き合い方など、微妙に違っている。静岡なら静岡だけしか知らないというのも、了見てもんが狭くなっていけねえや。(おっと江戸弁になってしまいました)

隣の職場にも同じく静岡から単身赴任の先輩がいて、都会で仕事をし、休みには田舎の自宅でゆっくりする、というのは理想的だよね、ということをこの間飲みながら話をした。なるほど、そう考えると、田舎に家を建てといて良かったことになる。

ついでに言うと、2回ほどケータイについて書いたことがあるが、実は携帯電話は持っていない。面倒臭いのと、何だか首にヒモでも付けられているみたいでイヤなのだ。あればあったで便利なのだろうが、どうも持つ気になれない。


…自分のことを話すのは苦手なのですが、たまには。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

サッカー日本代表戦を見ながら

2005-08-21 08:48:03 | サッカー
 イランとの最終戦に勝ち、日本代表が予選グループ首位で本選へ向かうことになった。1位と2位とで本選の組み合わせには関係ないようだが、川淵キャプテンをはじめ、サッカー関係者もホッとしていることだろう。結局、アジアで2位以内。やはり強くなっているのだろうか。
 W杯出場を決めた北朝鮮戦の試合後、ベンチの前で皆が喜び合っているのを見たが、この人誰?って顔もたくさんあった。コーチやチームドクターやホペイロ、その他もろもろの役を持った人たちなのだろう。選手や監督が立派にやり遂げたのはもちろん、こういう裏方がきちんと仕事したからこそ、結果が付いてきたのだと思う。そしてその家族や友人や恋人、先生や後輩、さらにユニフォームやスパイクのメーカーの人たちを含めると、その“サポーター”とも言うべき人の数は、ものすごいものになるだろう。それら皆の力が集まって、W杯出場となったに違いない。もちろん、スタジアムやテレビの前で応援するサポーターの力も。
 これは何もサッカーに限らず、たとえば宇宙計画についても言えることだ。選手や監督、宇宙飛行士はもちろん大変な努力を払ったには違いないのだが、最前線の彼らの力だけでは、大仕事を成し遂げることはできない。人はなぜ生きるのか、ということにも通じるのだが、その話はまた改めて。
 ところで、デモまでやったジーコ監督解任論者たちは、今ごろどう思っているのだろうか。「ジーコ頼むから辞めてくれ!」なんて言っていた人に、聞いてみたいものだ。それとも、解任要求する機会を、今も狙っているのだろうか。だとしたら、ある意味偉いとも言える。
 就任するにしてもまだ先だろうが、解説なんか聞いていると、個人的には北沢豪氏はいい監督になるんじゃないかと思っている。プレーも一生懸命だったし、特にフランス大会で直前に代表を外れた経験は、いい財産になっているはずだ。レギュラーはもちろん、サブの気持ちもわかる、というのか。
 ともあれ、ドイツ大会が楽しみ楽しみ。

P.S. 駒大苫小牧高校、夏の甲子園連覇おめでとうございます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大柄な女性

2005-08-14 08:32:32 | 女の子
 どうも見下されているようで、大きな女性は苦手だった。その気持ちがちょっと変わった、という話をしよう。

 先日、出張で他部署の大柄な女性と一緒になった。年は僕よりひと回りは下だが、背の高さは僕よりひと回りは大きい子だ。取っ付きにくい感じを受けていたのだが、何とはなしに話をしているうち、気さくでいい子だということがわかった。
「もっとカタい子だと思っていた」と伝えると、
「よく言われるんですよ。本当は、天然(ボケ)なんですよ」
 そのあともいろいろと話をしていたが、かわいい子だな、と思った。背が高いというだけで、「かわいい」とか「キュートだ」なんてことはあまり言われないだろうと思う。しかし女性、いや人間は、体の大きさだけではない。
 一般的に、背が高いと目立つし、うらやましがられるものだが、本人にしてみれば必ずしもそうではないらしい。女性ならば自分よりも大きな人を探さないといけないし、目立たないように、また相手に合わせて猫背になったりしてしまう。
 当たり前だが、体が大きくても気の小さい奴はいるし、背が高くても性格のかわいらしい子はいる。体の大きさ云々よりも、気持ちが大きければ、どんな相手だって包み込めるだろうと思う。逆に気持ちが小さければ、相手が誰であっても見下されてしまうのだろう。

 おかげで僕は、この年(40過ぎ)になってまた一つ、大事なことを教えてもらった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「墓場のノイローゼ者」

2005-08-07 08:08:11 | ショートショート
 むかしむかし…、の日本むかし話ではないけれど、ひどいノイローゼの若者がおったそうな。
 どうしてノイローゼになったのかはわからないが、ひどく悩んでいることは確かなようだった。自殺を考えているようでもあった。
 猫背でふらふらとさまよううち、いつの間にか街はずれの墓場に迷い込んでしまった。自殺を考えるほどだから、無意識のうちに足が向いたのかもしれない。
 日もだいぶ西に傾いて、あたりは夕もやが立ち込めていた。若者は墓石の一つに腰を下ろし、何ごとか考え込んでいる。
 考え込んでいる、とはいっても、ノイローゼ者の頭の中ってのは同じことの繰り返しであるから、「考えている」ことにはならないのかもしれないが。
 しばらくすると、夕闇が迫ってきた。それでも若者はひと所にじっとうずくまって悩みに耽る。この、ひと所から動かないというのも、ノイローゼ者の特徴である。ハムレットばりに「生きるべきか、死ぬべきか」なんて考えていたかどうかは定かではない。
 さらにあたりは暗くなってきた。それでも若者は動かない。しきりにため息をつくばかりである。
 と、生温かい空気とともに、どこからともなく幽霊が現れてきた。若者を驚かそうと考えたようである。久々の獲物である。
「うらめしや~」
 ありきたりかとは思ったが、とりあえず幽霊はこう言った。
 若者は目を上げ、幽霊の方を見た。震え上がると思っていたのに、若者は悩ましげな表情のままである。そしてため息とともにつぶやいた。
「ああ…」
 表情が変わらないだけに、それがどういう意味を持つのか、幽霊にはとんと見当がつかない。こんなことは初めてだ。しかしここで引き下がっては幽霊の沽券にかかわる。
 そこで幽霊は、近付いて若者の首筋に息を吹きかけた。生ぬるい、ゾクッとするような息である。しかし若者は、幽霊をまじまじと見つめながら、またしても「ああ…」とつぶやくのだった。
 次に幽霊はその手を、若者のほおにあてがった。冷たい、これまたゾクッとする感触のはずである。ところが、
「ああ、ついに幻覚まで現れるようになってしまった…」
 そう言って若者は腰を上げ、ますます悩ましげな顔をして墓場から去って行った。
「幻覚じゃないのにねえ」と言いつつ、幽霊は仕方なく暗闇の中にかき消えたそうな。

 Copyright(c) shinob_2005
(海のテンプレートと全然合っていませんが、ご容赦を)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする