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エッセイとショートショートと―あちこち話が飛びますが

誰が一番偉いのか

2007-07-29 12:08:53 | 時事
  
 平社員より係長の方が偉い。係長より課長、課長より部長、部長より取締役、取締役より社長の方が偉い(とされている)。
 でもその社長だって、会社を代表しているということからすると、株主や世間(の評判)には勝てない。じゃあ世間は何かって言うと、僕ら一般人の集まりということになる。一人ひとりにすればもちろん社長が一番偉いし力を持っているんだけれど、トランプみたいに、キング(大統領)よりもエース(一般人)の方が強いことだって、充分あり得る話だ。

 参議院議員の半分が、きょう選ばれる。選ばれた人だからそれなりに偉い人たちなのだが、選ぶのは僕ら有権者。これまた一人ひとりはもちろん弱いけれど、まとまれば一番強いのかもしれない。国会議員が地方の党の役員から責められる、というのはよくある話。地方の役員の方が、失礼ながら身分的には「下」である。しかし、その「下」の人の支持がなければ上の人はやって行けないのも事実。
 だから無理して偉くならなくても、下っ端で勝手なこと言っているのが気楽でいいのかもしれない。
 会社でも、上に行くほど言動が慎重にならざるを得ないのに対し、下っ端の奴ほど好き勝手なことが言えるものだ。発言の影響力が少ないからだが、見ていてうらやましいと思うこともある。

 話は飛ぶけれども、僕はいわゆる頭脳労働者で、体はあまり使わない代わり、頭を使い気を遣い仕事している。一般に、肉体労働者の方が頭脳労働者よりお給料は低いようだけれど、仕事が終わって飲むビール(あるいは発泡酒)のウマさ、メシのウマさというのは、頭脳労働者の比ではないだろうと思う。
 そうすると一体、どっちが本当に幸せなんだろう、ということをつい考えてしまう。

 今回の参院選、おそらく民主党の大勝だろう。衆議院で与党、参議院で野党が優位となれば、それはそれで、バランスのとれた、ある意味理想的な形なのかもしれない。
 ついでながら、今の国家権力・マスコミ・国民の力関係も、まあまあいいバランスなのではないかと思う(時々踊らされることもあるけれど)。

 ではでは、例によってビール飲みながら、開票速報でも見ますか。
  

〔写真は、Wikipediaより〕

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「最後のアダム」

2007-07-22 11:18:09 | ショートショート
「人生、楽しかったかね」
 ようやく涼しくなり、海に沈む夕日を眺めながら男がグラスを傾けていると、意識に直接語りかけてくるその声が聞こえた。重々しい、しかし穏やかな声だった。

「誰だ! どこにいる?」
「君には見えない。“声”が聞こえるだけだ」
「よくわからないが、確かに意思は通じるようだ。宇宙人か神様か…」
「まあその辺は、ご自由に」
 水平線が遥かかなたまで見渡せる、絶壁の上の立派な屋敷。そのバルコニーで、クリーム色のガウンを着た男と見えない相手との会話は続く。

「さきほどあなた、人生は楽しかったか、とお尋ねになりましたね。私は死んでしまったのか? それとも、今ここで死につつあるのか?」
「いやいや、それは心配御無用。死ぬのはまだ先だ」
「ではなぜ、そんな質問を」
「それに答える前に、そもそもの話から始めよう」
 緊張感も手伝って、男はグラスのワインをひと口飲んだ。

「もうすぐこの星の人間は滅びる。君はその、最後の一人というわけだ」
「滅びる? いったいどうして?」
「君たち人間自身のせい、というところか…」
「環境がおかしくなってしまった、というわけですか」
「そう、前々から君たちも感じていたとおり」
 男はスモークチーズのひと切れを口にし、ワインクーラーからボトルを取り上げ、グラスに注いだ。そう言えば、おととい出掛けたままの執事が、連絡もなくまだ戻ってきていない。

「しかし滅びるなんて、急に言われてもピンと来ませんが」
「そうだろう。こういう話をするのは君が初めてではないのだが、彼らも同じようなことを言っていた」
「それは一体?」
「各国の首脳だ。しかし信じられないのと、何とかなるだろう、という意識があったのか、残念ながらほとんど相手にされなかったよ」
「しかしなぜ、私なんかに」
「それにも答えなくてはなるまい」
 太陽は水平線の向こうに消え、きれいな夕焼けが広がっている。心なしか、水面が以前に比べてずいぶん近くなったような気がする。

「君は、世界一のお金持ちであろう」
「ええ…あなたが神様だとすれば、その前では意味のないことですが」
「まっとうな商売で得たものだ。それは知っておる」
「何ともおこがましいのですが、世のため人のため、たくさんの製品・サービスを世間に提供してきました」
「そう、それは立派なことだ。高性能な自動車や情報機器を生み出し、有用な医薬品やプラスチックを安く提供し、便利な保険を編み出した」
「ええまあ、自分で言うのも何ですが、私は世の中に多大な恩恵をもたらしたと思っています。おかげで、こうして悠々自適に老後を過ごせるのだと…」
「そうじゃろうて。そういう意味では、天に最も愛された人間だと言ってもいい」
「ええ。大変でしたが、充実していました」
「ただ、相手は人間だけ…」
「え?」
「喜んだのは、人間だけ…」
「そりゃもう、買って下さるのはお客様ですし。お客様が喜ぶこと、お客様のニーズに応えるのが、経営者としての務めでしたから」
「そうじゃな、商売人にとって、お客様は神様みたいなものだからの」
 手元が少々見づらくなってきた。何だか責められているような気もして、男は席を立ち、バルコニーの照明をつけた。

「それが悪かったというわけですか」
「結果的にはそうなる」
「地球全体のことを考えていれば、ということをおっしゃりたいのだと思いますが、普通じゃ無理です」
「普通は、な。しかし君にはそれだけの才能と、財産と、余裕とはあったはずだ」
「でも私に言われても」
「世界を支配していたと言ってもいい企業が何かを始めれば、きっと他にも追随する者が現れたはず。そうすれば、未来も変わっていたであろう」
「それで私に話を」
「そういうことだ。ただ、やむを得なかった、と言えなくもない」
 頭を整理したくて、男はクラッカーを口にし、ワインで流し込んだ。そうそう、この間からテレビが映らなくなってしまい、故障したんだと思っていた。

「で、これからどうなるのです?」
「君はこの星で最後の一人となる。もうどうにもならないことだし、すでに世間は静かに終わりを迎えつつあるから、誰かに相談することもできない。わしが最後の話し相手、ということだ」
「地球は?」
「人間がいなくなれば、元の穏やかな星に戻るだろう。そしていつの日か、また別の高等生物が出て来ることだろう。君たちの時間にして、何億年も先のことだが」
「私は?」
「食糧も充分あるようだし、自家発電装置も備えているから、しばらくは大丈夫だろう」
 目の前のワインやチーズが、急にもったいなく思えてきた。もちろん、自分の会社の製品だ。

「…こうなることは、必然だったと?」
「必然といえば必然。しかし修正することもできたはず。そこに手を出せないのは残念なのだが」
「これからどうされるのですか」
「人間の最期、つまり君の最期を見届けたあとも、ずーっとずーっとこの星を見守るだけ…」
 海はすっかり暗くなり、水平線に沿ってほのかな明かりが見えるだけとなった。ふと、最初の質問に答えていなかったことに、男は気が付いた。

「人生楽しかった、でいいのか…」
 返事は、なかった。


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問題がいっぱい

2007-07-15 08:50:11 | 時事
  
 参院選が公示された。今回の争点は、年金、そして政治とカネ、だそうだ。
 でもでも、考えてみれば、問題はそれだけじゃない。当たり前だけど。
 思い付くままに並べてみても、格差、テロ、拉致、貧困、エイズ、教育、いじめ、少子化、移民、酸性雨、残留農薬、SARS、新型インフルエンザ、アスベスト、・・・。

 はやりだからと、こぞって論点にするのもいいけれど、世の中、問題というのは数えられないほどたくさんあるものだ。極端な話、年金は問題なくても、たとえば治安が悪くなったり、衛生状態が悪くなったりしたら、それはそれでやはり大問題となるだろう。そういう意味では、政治家というのは多方面に目を配らないといけないので、大変だとは思う。

 政治とカネ、については、昔っからの問題である。人間がいて、金があって、経済活動をしている限り、この手の問題ってのはなくなることはないだろう。大事なことだというのは分かるけれども、今さら問題にしたところで、おそらく変わるものでもなし。

 まあ争点はいろいろあれど、今一番大きな問題は、やはり「地球温暖化」ではないかと思う。ただ、これは話が大きすぎて、日本一国の選挙で取り上げるには重過ぎる(ちなみに世界の問題としては、①民族紛争 ②人口爆発 ③環境問題 なんだそうだ)。とは言っても、間接的にだけれど、地球温暖化を進めないような政党や人物を選ぶことはできるはず。年金や憲法だけでなく、そういう目でも、見てみたい。

 ところで、ひところ大騒ぎとなった環境ホルモンやダイオキシンは、もう解決済みなのだろうか。そうならいいけれど、年金やらに気をとられている間に手遅れになっていなければいいのだが。
 その都度その都度、目先のことにとらわれることなく、トータルな視点というのが、必要ではないかと思っている。

 も一つ。日本は800兆円もの借金を抱えているそうだ。額が大きいのは分かるが、いくらまでなら大丈夫なのか、いくら以上になったら〈破産〉するのか、ということがわからないと、こちらも判断のしようがない。この辺どうなんだろう。

 ついでながら、国会議員ったって、法律を作るだけのこと。これまた当たり前の話だけど、法律だけで世の中動いているわけじゃあない。そうじゃなくて僕らは、言葉でイメージを喚起して行きたい、と思っているところ。細々と、ではあるが。

 またちょっと、コリクツをこねてしまいました。
  

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日本ってスゴイ

2007-07-08 10:15:27 | エッセイ
 
 さすがに最近は、藤原正彦氏の『国家の品格』の話題も下火になってきた(代わって、『女性の品格』というのが売れているそうだ)。
 今日は、日本は凄いってことについて書いてみたい。

 皆さんも知ってるように、日本はアメリカに次いで世界第2位の経済大国である。アジアの片隅の小さな国が、ヨーロッパ各国を抑えてどうしてこれほどまでになったのか。
 それは、昔からよく魚を食べていたからではないかと思う。素手やナイフ&フォークに比べ、箸の使用は手先、ひいては脳にいいはず。それも、先の細い箸で骨やら内臓やらをより分けるので、なおさら。それに、DHAとかEPAとかも、頭には良かったのかもしれない。
 少ない資源の中、日本人は細かい作業が得意になった。さらに、諸外国の石の文化に対し、紙や木、それに藁を使って繊細な物を作るということも加わった。そうして手先の器用な日本人は、やがて〈技術立国〉を打ち立てることとなった。今でも、プレス加工や精密機器など、世界一の技術はたっくさんあるようだ。

 教育テレビの『美の壺』なんか見てると、日本人の手先の業・美意識というのは見事なものだと感じる。もちろん外国にも工芸品は多々あろうが、職人技と言うのか、これほど細かく正確で、しかも美しいものはないのではないかと思われる。(ただその几帳面さは、細かすぎる、という欠点にもなるのだが)
 ついでながら、これほど繊細な文化を持っているのは、トルコとチェコくらいではないかと思っている。
 経済の面で、インド(IT化)や中国(量産化)に追い越されようとも、この、トータルとしての〈文化力〉というものは、そうそう追い越されるものではないと思う。

 サミットでも、アジアで参加しているのは日本だけだ。よく「3極」という言い方をするが、米国・欧州と並んで会議を開けるのも、経済力だけが理由でもないだろう(多少、下に見られているのかもしれないが)。

 地理的なことを言うと、海に囲まれた温暖な気候というのも、いい影響をもたらしている。これが暑すぎたり寒すぎたり、回帰線付近で乾燥したりしていたら、また違った国民性になっていただろう。また、亜熱帯から亜寒帯まで、南北に長いこと、大きな島が4つだけ、というのも幸運だった。〈神国〉と呼ばれるのも、不思議ではないような気がする。

 とまあ、他にもいろいろ(ノーベル賞やら万博やら)あろうが、こんな国に、僕らは住んでいる。

 ところで、なぜ日本のことを「ジャパン(Japan)」と言うのか。その昔、中国で「ジパング」と呼ばれていた、とマルコ・ポーロが『東方見聞録』に書いているところから来たそうだが、なぜ「ジパング」と呼ばれていたのかがわからなければ、その答とはならない。
 おそらく、「日本」と書いて、中国では「ジッポン」と読んでいたのだろうと思う。休日の「ジツ」と、根本の「ポン」である。
 つまり、日本 ⇒ ジツ・ポン ⇒ ジッパン ⇒ ジパング ⇒ ジャパン なのである。

 ちょっと長くなりました。
 
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キャバクラ体験記

2007-07-01 09:25:33 | 女の子
 
 男として、キャバクラ知らないのもどうかと思い、行くことにした。ただし、もう何年も前のことだ。

 入ってみてまずビックリしたのは、思ったほどいやらしい所ではない、ということ。〈お触りキャバクラ〉というのもあるらしいが、行ったのはそういうのではないし、普通にしゃべるだけ。とは言ってもこっちも男だから、できればお姉さんと仲良くなりたい。
 キャバクラは、ある意味健全な所である。ヘタな出会い系サイトでボラれるよりは、ずっといいんじゃないかとも思う。何より、面と向かって話ができるのはいい。20分なり50分なり、それだけでも人柄というのはわかるものだ(それは相手も同じこと)。
 商売だから、かなりモテるような気にもさせてくれる(キャバクラでもモテないようなら、少々問題あり、かも)。5000円くらいで、たとえば癒してもらえるなら、それはそれで意味のあること。また、女の子との付き合い方を知らない人なら、そういう所で「勉強」するのもいいかも。

 さて、最初に回ってきた子がなかなかきれいな子でしかも話も上手くて、出身地のことやら温泉のことやら、かなり親密に話をすることができた。ウマが合ったので、メルアドやら教えてもらって、食事でもしようかという約束までしたのだが、ちょっとした行き違いがあって、それができなかったのが、今もって悔やまれるところ。お姉さんタイプなのだが、どこか苦労人っていう感じの子だった。
 そのあと2,3回通ったんだけど、最初の子ほど話の合う子はいなかった。自分の話ばかりする子やら、つまんなそうな子がいるのも事実。しかしかわいい子もそれなりにいるから、ハマる奴がいるのもわかる気がする。何事もホドホドに。
 そうそう、中にはノリノリの子もいて、「今度友達と飲みに行くんだけど、一緒にどう?」と言われたこともあったが、さすがにこれは遠慮しておいた。

 そのうち、最初の子がやめてしまったというのを聞き、行くのはやめてしまった。
 しかし、もうキャバクラに出入りするようなトシでもないか。シブい居酒屋で、ちびちび飲るのもいいかな、と思っているところ。

 青森出身だと言ってたサユリさん、元気にしているだろうか。

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