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エッセイとショートショートと―あちこち話が飛びますが

中国はなぜ北朝鮮をかばうのか

2014-02-23 11:35:32 | 時事
 
 先週19日、国連の北朝鮮人権調査委員会による「北朝鮮の反人道罪認定」という新聞記事があった。国連安全保障理事会の決議を経て、北朝鮮最高指導者に対する起訴が国際刑事裁判所へ行なわれる予定、らしい。
 ただし事はそう簡単には運ばず、安保理事国の一つ・中国が反対して阻止するものと見られているとのこと。
 おそらく、だけれども、北朝鮮ほどでなくても中国もかなり人権を侵害しているからだろう。クラスで成績ビリから2番目の子が、まだ下に誰かいることで安心するかのような心理、なのだろう。
 強制的にせよ自主的にせよ、北朝鮮が人権侵害をやめて〈いい国〉になったら、今度は自分たちが責められることになってしまう。

 表現良くないけれど、中国にとって北朝鮮ははいい〈隠れ蓑〉だし、北朝鮮は北朝鮮で、中国の後ろ盾で以って好き勝手できているのだと言える。「持ちつ持たれつ」というところながら、そろそろ改める時期に来ているのかもしれない。
 まあこれは日米あるいは韓米の関係に似ていると言えないこともないが、どれだけ世間、いや世界に迷惑掛けているか、という点で大いに異なっている。

 両国ともやむを得ない事情はあるのだろうが、その体制維持から宗教を弾圧しているのが大きな原因だと思っている。ただ一つ希望を持っているのは、去年『NHKスペシャル』でやっていたように、中国で〈儒教ブーム〉が起きていること。中国国民そして中国政府の考え方も少しずつ変わっていくことだろう。(まだまだ先は長いけれど)

 さてさてこの日本。同じ19日にワシントン・ポスト紙が「安倍首相が強硬なナショナリズムに転じ、挑発的になっている」という記事もあった。まさか国際刑事裁判所沙汰にはならないだろうけれども、ちょっと心配なこの頃である。
 これまた同じ日の記事に、日中とも国内に強硬派と穏健派とがいる、という旨の記事もあった。自民党の良き穏健派(ハト派)は一体何やっているんだろう、ということも考える。

 いずれにしても、大自然というか宇宙というか、そういうものに対する畏怖の念/謙虚さは、権力者であれ人間誰しも持つ必要はあるだろうと思う。
 …今回はちょっと硬め。

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「(株)ごんだばる」

2014-02-16 10:21:42 | ショートショート
 
 ソニーやパナソニック、ホンダやキヤノンが存在しなかった世界の、話。

 主人公は権田原源造という男。「ごんだばるげんぞう」と読むのだが、明治生まれとは言え、よくまあこんなに濁音を付けたものだと思うくらい。
 珍しい名字のうえ堅苦しい名前だったので、子供の頃からよくからかわれたらしい。「やーい、ごーんだばるー」といったふうに。
 だから男は、何とかこの「ごんだばる」でからかわれないよう、バカにされないようにしたいと強く願った。そのためには「ごんだばる」が世に広まればいいと考えた彼は、丁稚奉公のような形で働くことになった町工場から一生懸命に努力して、一つの小さな会社を立ち上げるまでになった。それが〈株式会社ごんだばる〉。

 小さな部品メーカーだったのだが、やがて電球を作るようになり、続いて電気機器、自転車、自動車、カメラと、事業を次々と拡げることになった。もちろん優秀なスタッフがたくさん付いてきてくれたこともあったが、何より本人の努力が半端ではなかった。
 朝は3時には起きだして仕事に取り掛かり、夜も9時まで。土日も関係なく、睡眠時間は4~5時間といったところ。それを50年以上続けてきた結果、〈ごんだばる〉は世界でも有数の会社にまで登りつめることとなった。今や航空業界や保険業界、教育、福祉にまでその事業範囲を拡げている。
 事業を拡張するたび、社名をもっとスマートなものに変えよう、という声は出てきたのであるが、創設者としての思いは「『ごんだばる』を世に広める」であるから、頑として譲らない…。
 〈ごんだばる〉からかけ離れたスマートな社名は即却下されたため、側近たちが考えたのが、㈱GDB、㈱Go、あるいは㈱ゴン、などなど。中でも源造が食指を動かしそうになったのが、イニシャルから考えられた「GGコーポレーション」。しかしこれも結局は却下となってしまった。
 彼のように子供の頃、自分の名前でからかわれた者もたくさんいたことだろう。ただ、彼ほど自分の名前を広めることに執念を燃やした者はいなかった。

 長年走り続けてきた源造であったが、そこは人の子。引退、そして寿命の尽きる時がやってきた。いまわの際、社長を引き継いだ娘婿に伝えたのは、やはり「社名を変えるな」ということであったらしい。
 かくして、〈株式会社ごんだばる〉は今も世界的な企業として存在しており、テレビやラジオ、ネットや街角の大画面からは「ご・ん・だ・ば・る、ごんだばる!」という重々しいCMが途切れることはない。

 しかしその響きにつられてか、どこか暗い感じのする世の中なのであった。


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土曜の朝は〈ゴールデンタイム〉

2014-02-09 06:51:32 | エッセイ
 
 土曜日の朝は寝坊したいところだけど、目が覚めてしまうこともあって平日以上に早起きしてしまう。

 まずはその日の朝刊にゆっくりと目を通す。それから見損ねたテレビ番組録画や映画など。カミさんや子供もまだ起きてこないから、じっくりと楽しむことができる。(特に大河ドラマなど、続き物は見ておかないと次の回がやって来てしまう)
 あと、本を読むのもいいし、土日何やるかを考えるのも楽しい。用事入っていなければ丸々2日間使えるわけだから、こんなにワクワクすることもない。

 だから、金曜の夜に飲み会が入ってしまうと、せっかくの〈ゴールデンタイム〉をボーッと過ごしてしまうことになる。これは実にもったいないこと。損した気分になる。

 もちろん休み前に飲み会が入ってしまうことは多いし、土曜の朝に寝坊したい人がほとんどだとは思うけれども。
 …今朝も早起きしてしまいました。

 〔写真は、きのうの朝刊〕

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鏡よ鏡(東京五輪の頃には)

2014-02-02 08:55:38 | 科学/考察
     

 先日、イメージしただけでコンピュータ画面を動かせることに、サルを使った実験で成功したという記事があった。
 コンピュータは今や、かの『白雪姫』の継母が使っていた〈魔法の鏡〉だと言える。質問すればたちどころに何でも答えてくれる、それはそれは便利なもの。答えが100%正しいかどうかは別として、いい時代に生まれたなあ、とつくづく思う。

 調べたい言葉や事項をキーボード入力(あるいは音声入力)すれば、検索結果が出てくる。上記の実験のように、そのうち考えただけで検索できるようになるだろう。(ただし考えていることが他の人に分かってしまうのが難)
 6年後の東京オリンピックの頃には、自動翻訳機というのも実用化されているだろう。イヤマイク型あるいはノドの辺りにぶら下げるタイプが、おそらく10万円くらいで買えるに違いない。
 英語や中国語が使えるわけだから、海外からのお客さんとも自由に会話ができるはず。(きちんと翻訳してもらえるよう、正確な言葉遣いとうのは必要になる)

 オリンピックの観戦方法も変わっていることだろう。テレビは〈64K〉くらい行っているだろうし、既に試作されているようだが、まるでピッチに立って実際にプレーしているように感じられる装置も完成しているだろう。(ひょっとしたら、スタジアムに行く必要はなくなっているのかもしれない)
 その他、6年もあれば思いもよらない技術革新が成されているはず。

 とまあ夢のある話ばかりしたけれども、その頃世の中一体どうなっているのか、福島は復興しているのか、そして会場となる首都圏に地震は来ていないだろうか、という切実な問題は残る。
 それこそ「鏡よ鏡…」と聞いてみたいところだが。

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