Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

カエルの歌が。。。

2011-05-19 14:27:16 | 自然
漫画家、畑中純さんの木版画をあしらったカレンダーを愛用
している。2011年のタイトルは「生物祭」。その月を象徴
するような懐かしい生き物達が登場してきていつもの悪戯的な
木版画の活写を楽しめる飽きのこないカレンダーだ。
5月はあの優しい巨人ジャイアント馬場が歌う「蛙の笛」という
蛙にちなんだエピソードめいたエッセイもこれまた楽しい。
満月の闇夜に唱和する田圃の蛙の群れを従えて、銀の笛を吹奏
するカエルの畑中さんが描くモノクロ版画をみていたら、タイ
ミングを図ったように家の周りから青蛙が合唱を始めた。
ちょうど低気圧が通過した先日の雨降りの宵あたりから、カエル
達は活性を得た様子である。
周りを覆い尽くす草木を根城にする昆虫はカエル達の必須栄養源
で、おまけにこの付近には、無数の棚田用に供する水路、谷川
の渓流というカエルの喜ぶ環境が残っている。
花菖蒲や杜若が石垣の斜面を彩って、ぼちぼち紫陽花の花芽も
大きくなってきた。
ビル・エバンストリオが奏でる「ムーン・ビームス」を聴いている
深夜ながら、辺りの犬でも吼えるのは鼻白む思いがするが、カエル
の合唱は邪魔に思えないから不思議なものである。

居間カフェの模様替え

2011-05-17 10:06:14 | JAZZ
五月晴れが続いて珍しく体が動いてくれる。専用の居間カフェを
もっとドスの効いた1950年代のジャズテイストが香ってくる
ものにしたいとオーディオのレイアウト、組み換えをしてみる。
二年ぶりだ。友人宅に一度は嫁入りして出戻ったタンノイのモニ
ターゴールド10インチ、これまで各種スピーカーを18インチ
から8インチまでかなりの遍歴をしたが、通説に反してこれほど
ジャズ的音力を湧出するユニットはないという実感が最近は確信
にまでなってきた。箱はタンノイファンには信仰ともいえるオリ
ジナルボックスにも格納されていない旧ⅢLZよりも二回り程、
大きな密閉箱である。訳知りのタンノイファンからすれば邪道な
選択と軽蔑されること必至だが、こちらはオリジナルよりもジャ
ズサウンドをビビットに再生することが人生で最大の課題!故に
あくまでも自分の聴覚を優先するしかない。
常識からみたマイナスの条件が、ジャズサウンドの生命線とも
云えるベースの弾力感を更に色濃く再生することに、長い期間に
亘ってのオリジナル箱との検証比較によって分かったのだ。

この日の作業はアンプやスピーカーを繋ぐケーブル類もさぞかし
世俗の澱や酸化物の皮膜に覆われていることだから、全て清掃す
る。仮の寄寓物として馴染んできたアメリカ、フィッシャーアンプ
とこのモニターゴールドがステレオ再生を担当することになった。
かってOさんに改造依頼をしてもらったエルクというギターアンプ
メーカーが作ったパワーアンプもKT88のモノラル球が頑丈で捨
てがたいので、これもモノラルのインスト系ソースで現役続行する
ことにした。ダイナコキットのパス1プリ、ハーマンカードン社
の局用モノラルパワーアンプはグッドマンの150MKⅡスピーカ
ーととても相性がいいのでこれも配置換えをする。
このあたりの機器選択は1950年代に拘る自己流儀の結晶だろう。
結線が終わってからのジャズ的音力の最終教本がベツレヘムレコード
のレッド・ミッチェルをリーダーとする不滅の愛好CDだ。
いつもの「サム・ホット・サム・スイート・サム・ワイルド」である。
ベースは復員兵のレッド・ミッチェル、ピアノはこれまた駐留軍の
下士官として日本滞在もあったハンプトン・ホース、トランペット
はコンテ・カンドリ、サックスはピストル事故で死んだジョー・メイ
ニという真にジャズ的粋というものを心得ている連中のセッション

配置、結線を変えて清清しい気分に浸って聴く好きな二曲の手ごたえ
が迫ってくる。怒涛のベース、奔流のピアノ、野放図なホーン、荒ぶ
る魂の見本みたいなよい演奏だ。
「WHERE OR WHEN」「DUFF」

雨降りの音

2011-05-11 10:59:19 | JAZZ
やはり風が吹き荒れたあと昨日の午後から雨が降ってきた。
先週に裏の空き地へお義理程度に苗を植えておいたトマト
、カボチャ、ピーマンにとっては干天の慈雨だろう。
震災から二ヶ月目の朝、朝食は夕べ残してあったジャガイモ
、玉葱の味噌汁をスープ代わりに、庭に生え残っていた楽京
を引き抜いたミニ球根に金山寺味噌を和える。
トースト1枚とコーヒーというシゾフレニーなメニューにも
些細な幸せを感じる。ついでにおまじないみたいに毎日三粒
づつ齧る紫蘇風味のニンニクも思い出して胃に納める。

電話をしてくるドクターSさんとしばしの会話はジャズLP
の話題が8割を占めるが、東北震災後の世相も絡んでくる。
金満パワーエリートを地で行くHさんが、みちのくの別荘へ
向かう地震の当日、新幹線に閉じ込められたらしい。
同じ時期に地震停止した新幹線からすぐ降ろせと、掛け合った
天下の朝日新聞社員の話もどこかで読んでいたから二人で笑う。
どちらも札束や権威がひとかけらも通用しない事態があって
よい勉強になったでしょう。我々なら全然平気だね!と悪口の
快感に浸る。Sさんのことだから話はGWに早朝から御茶ノ水
ディスクユニオンで並んで買ったというビバリー・ケニーの
オリジナルLPの入手苦労話にも及ぶ。
始発バスが走っていない時間に丸の内線の「南阿佐ヶ谷」駅
まで徒歩で乗り継いだ放出セールへの着番は一位だったとの
こと。
いつもの結論「素封家に美音響かず」というSさんの警句は
貧窮生活の渦中に生きる自分には用がないが、思い当たるフシ
も多い。生きていた頃の安原顕さんと寺島靖国さんがよく会話
中に身も蓋もない「オーディオはカネだ!」と強弁するのを
目撃したがこれも逆説的真理を語っているのかもしれない。
煙る雨を眺めていたら我が非素封家オーディオが愛しくなった。
この春先にいちばんよく聴いたビル・エバンストリオの63年
にカリフォルニアのシェリー・マンズホールのライブCDだ。
どういうわけか今朝は脳裡に昔馴染んだドド・ママローサが弾く
「カッテージ・フォー・セール」のイントロメロディーが浮ん
でくるが、CDが見つからない。
そこでビル・エバンスが紡ぎだす「イズント・イッツ・ロマン
ティック(ロマンティックじゃない!)」の登場だ。
雨降りの音、窓辺を彩る鬼アザミ、ラリー・バンカーの舞い立つ
ワイヤーブラシもやはり五月にふさわしい。