Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

町田版画美術館の広重と北斎

2012-11-21 20:33:00 | その他
足の親指が快方に向かっているせいか、二日続きのオフ日はけっこう多彩に近場を動きまわった。
初日は町田街道沿いの谷戸にある版画美術館で開催している「北斎と広重」展を見る。大規模な企画展のせいか見物する客でごったがえしている。かの有名な「富嶽三十六景」や「東海道五十三次」など彼らの天才画力をいかんなく発揮した集大成作品のオリジナル版画を直近で眺める機会など滅多にあるものではないので、友人の誘いにのって出かけてみた。こちらはシニア料金で入場料が半額の500円という特典に恵まれたが、友人の料金は規定のままの1000円、それだけ年が若いのだから敬老サービスは要らないのだと慰めて笑いあう。


江戸市中はもちろん、諸国を遊行しながら当地の風物に感嘆し、人々の習俗を活写する二人の横綱格浮世絵師の精密且つ大胆な眼の健啖に、改めて感動する。
今はスカイツリーで賑わう大川(隅田川)付近にかかっている橋を行き交う江戸期庶民の楽しそうな表情や足取りもいい。今でいう台東区・三ノ輪から吉原に抜けてくる途中の日本堤付近、このあたりは遊里がある異界めいた場所なのに、遊女の群れる居宅もあれば、田圃の畦に腰掛ける農夫、遊ぶ家禽類、桃源郷めいた鳥瞰図の木版画には、春の陽光めいた和みが存分に伝わってくる。自分にとってなじみのある土地名が登場するのも楽しい。
広重が描く東海道の五十三次風景には、神奈川宿沖の海景色が登場する。波が高い日なのだろう。海は荒れて盛り上がった波頭を大胆にデフォルメしている。青と白のコントラストはダイナミックだ。これは今の横浜駅から歩いて遠くない、現在地で推測すれば京急線・仲木戸駅付近から眺望した景色で、現代の高層ビルとコンビナートが折り重なる風景からはとても想像できないものである。今回のテーマポスターに掲示されている雨の降りしきる街道を急ぐ旅人を描いた「庄野の白雨」も素晴らしい。よこなぐりの雨を掻き分ける旅の人、宿は近いのだろうか?焦燥と緊迫が伝わってくる構図である。
町田の版画美術館で浮世絵の至宝を鑑賞した翌日は、三年ぶりの丹沢「やびつ峠」の紅葉見物に出かけることになった。この話は次回に続ける。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿