Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

雪歩きの古本屋

2022-01-07 03:21:43 | ラジオ亭便り

麦田から歩き始めるほぼ日課のベイサイドウオークの会。2022年を迎えて近隣の仲良しと三人歩きが続いている。凡そ10ヶ月持続しているお陰で右膝の変形関節痛が消えてきたのは、気のせいでもない。時々、愛読している吉本隆明の晩年インタビュー本、例えば「生涯現役」(洋泉社新書2006)のような本には、老年期を迎えた自分にも当てはまるような格好の省察がたくさん含まれている。

思うように働かない身体の機能と心との日常的ディレイ事象、老化という誰もが通る自然の摂理への対処法がシンプルにマルクスや親鸞の自然哲学を経た十分なる咀嚼の上に語られているところが、この本からの学びどころである。さしずめ私などの日課歩きもこの本の語りによれば狭くなって横着に堕しやすい自然過程へのソフトなる負荷くらいに思って、頑張りすぎない散歩ペースを維持している。

1月6日は歩き会の終点、「万国橋通り」沿いにある合同庁舎内、昭和レトロ風「喫茶室」へ着いた頃は粉雪も大粒に舞っている。横浜在来のパンブランド「かもめパン」。このカフェでは、「かもめパン」の食パンがトーストに採用されていて普通に美味い。たまに食する「コメダ」のトーストパンよりも大工場パンの化学的蒙昧食感が希薄なところが美点。昭和的工場制手工業の残香を味わう。

雪が強くなって同行の仲良しさんと、偶然来たバスに乗る。20系統山手駅行き。港の見える丘、北方町、諏訪町付近の丘陵地帯の細道をくねって通過する市営バスだ。駅の手前の大和町バス停で下車。二人共通のお目当ては古本屋「自然林」。雪の降りしきる店前の均一本から正月読書用を良品ばかり。里見真三「賢者の食欲」志村ふくみ「母なる色」日本の名随筆50「歌 加藤登紀子編」ヘンリーカメン「スペイン 歴史と文化 丹羽光男訳」

吊るされた裸のEMI製オーバル型スピーカーからはテレマン風のバロック音楽が流れて、雪の日を彩っている。