Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

世田谷ボロ市風景

2013-12-17 19:18:37 | その他

昼間の長い休み時間を活用して世田谷上町付近の2013年分ボロ市最終日を散歩する。小田急線の豪徳寺に隣接する東急世田谷線の山下駅からボロ市を目指す人で賑わっている。

小さな二両連結のグリーン電車は平日なのに満員状態だ。近くの世田谷通り沿いには昔からの知り合いのコントラバス修理工房をやっている橋本さんがいる。ここにもあとで顔を出すつもりでまずはボロ市の人ごみの中に紛れることになった。

ちょうど昼にかかったものだから露天販売の大きな五目おにぎり、久慈鶏の入った具沢山のすいとん、甘酒という珍妙な組み合わせの昼飯になった。すいとんは世田谷の地域と農村交流がある茨城県大古町からやってきた人達が煮炊き販売しているものだ。これが実に美味い。鶏肉などはそんなに沢山入っていないのにニンジンや大根、牛蒡等とのハーモニーがとてもよくて鶏肉にはこんなに香りがあるのだということを知らされて、なおかつ体の芯もじんわりと温まってきて朝から続く底冷えへの対処ができた。ボロ市の展示露店は実に多彩だ。

古着、骨董、大工道具、杵臼類、地方特産食品、植木、玩具と中には江戸期からの習俗品が混じっている。二時間を丹念に眺めるも掘り出し品は不在だ。心惹かれる品物には昭和期のホーロー挽き薬缶があった。緑色の大きめなものだが、8000円は高い。どこの骨董市でもそれくらいならあるものだからパスをする。

また洗練された都心顔の30才前後女性が小脇に抱えて購買に迷っているウオーカー・エバンスの写真集の値段を訊ねてみた。骨董屋の親父さんは4500円と云っているがそれも高い。3000円が良心価格と洗練顔さんに教えてあげたいが営業妨害になるのでやめる。最近は商品そのものを眺めることよりも商品に食い入る人物を観察することが楽しくこうした骨董市へ出かけている。昔、ストリップを観に行った時、女性の陰部を眺めるよりも周りに群がる客の千差万別な表情を観察している方が面白いと思った出来事を思い出す。

着ているトレーナーの色彩がお洒落な小学高学年の少女が真剣に見入っているものは、昭和40年代付近の未使用ノートブックだ。どこかの文具店の整理品だろうか。デザインの時差に新鮮に驚く少女の顔を見るだけでもボロ市へ来た甲斐を感じてしまう。越前か珠洲風の焼き締め壷、瀬戸の片口鉢、かっての虫が騒ぐようなお買い得品があるが、ものの整理段階を迎えている近況を省みてブレーキがかかるのは進歩なのか退歩なのかはよくわからない。