Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

山びるのこと

2014-09-07 20:18:47 | 自然

伊勢原に住んでいたころ、あの吸血性環形動物、山びるには三回対面している。ナメクジを細身にしたような形をしていて色は赤黒い。これは始末に負えなくてタヌキ、鹿、イノシシ等の人里近い山野に住む野獣から血を吸うのが役割だったものがこの20年くらいは人間の被害もどんどん広がっている。この山びる、最近では人家の庭にまで進出しているようだ。特に丹沢の東側に増えていると聞いている。

自分が一度、吸われた時は樹木がたくさん繁っている日向薬師にあった庭の上方からふわっと舞い降りて下半身へ移動していつのまにか、足の脛付近に張り付いていた。ライターの火を浴びせてもそうは易々と離れなかったことを思い出す。データブックによると1分間に1メートルくらの移動速度があるらしくけっこう動きは速い。この山びるを退治するのは古典的に塩を撒くのが一番効果的だ。やはり山びるもナメクジの仲間である。七沢にある県立公園ではハイキングのスタート地点あたりに塩水製スプレーを用意して注意を呼び掛けている。

昨日は珍しい場所でこの山びるに出くわした。鶴巻温泉にある「弘法の里湯」の脱衣所の中である。若いハイカーの学生がすでに足首をかじられていて血が滲んでいる。血は止まっているが、温泉にこれから入るという矢先に其の学生のズボンから山びるがポロリと転がってうごめいている。そのうごめき方は釣りの餌だったら見慣れている「ゴカイ」などと同じような身のくねらさせ方をしている。腹いっぱい血を吸っているからその山ビルはコロコロと肥大しているではないか。アイフォン等の指反応にはとても敏速な学生がノロノロと対処を素早くしないものだから、受付で塩をもらってくるか、または包んで始末してきたほうがいいよ!と指示する。学生は後者を選んで事態は納まった。

このまえはハイカーの裾にまといついてきた山びるが、バスの床を這ってバス運転手に噛みついたという話を聞いたばかりだ。寛ぎの温泉脱衣場にまで山びるが現れるなどの事態は想像したことがなかったが、それが現実になっている。週末はハイカーが立ち寄るこの温泉に山びるが潜んでいないかどうか、チェックして入館するような注意書きが張り出される時期もそう遠くはないなと思った。代々木公園、ここの植樹帯の脇では昔、よくトランペットの自習をしていたものだ。今のマラリア風「デング熱」のことなど考えてもみなかった。そうしたことからも類推できるように、亜熱帯化、じめじめ風土が促進している日本の都会の庭先に山びるが居つくようになったら困るなと思いながら、本日は秦野の山で抜いてきた山吹の根っこを専用庭に植え替えている。


6月の風景

2014-06-03 21:11:52 | 自然

相変わらず仕事を兼ねてちょこちょこと動き回っています。5月下旬の誕生日を挟んで好きな今頃の景物と対面できました。多摩永山、福生市、本牧・三渓園、6月らしいシーニュは到るところに満ちてそれなりに気分のよい日が続いています。九州、山口は梅雨入りしたとか?関東もまもなくでしょう。蛇足のケーキは元町・喜久家のモカロール、懐かしい味がしました。


シニア婚活会で鎌倉・天園ハイキングコースを歩く

2014-05-07 20:48:39 | 自然

月に一回の日曜日にシニア婚活パーティーの司会アルバイトを頼まれている。渋谷のホテルが会場だが、各社TV系大メディアの取材があった直後はその会がやっている各種イベントの参加者がグンと増えている。70代も半ばに手が届くという老人も伴侶を求めてこの倶楽部に参加して10年近くなるという。月にこの種の会に参加している費用が5万円かかっていると苦笑している。参加期間が長いほど伴侶と出あうという確率はどんどん低くなるようだ。その人も毎回ふられているらしい。しかしその老人も今では独り身の無聊生活がすこしでも華やいでいればと参加している。異性よりも同性の単身者とカラオケやハイキングへ同窓会気分で交流する場に変貌している様子である。しかしTVを見て参加してきたという妙齢で新顔のバツイチ系や未亡人系婦人をみると目の色が変わるところなどは、自分も含めて男というものは幾つになっても馬鹿だと思う瞬間だ。その会でGWのイベントがあった。

 

北鎌倉駅に集合して、初夏の天園を歩く恒例の企画らしい。アルバイト代金に色をつけてもらっている引け目もあってその会のリーダーの誘いに乗って混雑の鎌倉へ出かけることになった。参加は男性30人、女性20人という割合の臨時世帯になる。天園コースはまだ20代の洋光台在住の頃、峰薬師付近から瑞泉寺というルートを二度ほど歩いたことがあった。あれから数十年の歳月が経っている。今回は建長寺の庭園内から登って覚園寺付近、鎌倉カントリー裏の野原で弁当、しばらく尾根伝いを上下しながら瑞泉寺、鎌倉宮へと向かうコースである。石段の登りには息が切れるが、自分と同世代か、または年長者が多いから気は楽な方である。

 

60代後半とおぼしき長身痩躯の紳士はロシア語も堪能らしい。建長寺の御堂脇で休憩していたときに6年間付き合っていた超我儘オンナと別れてさっぱりしたことと無念やるかたないという両面性の独白を会のリーダーに向かってしゃべっている。その紳士も懲りないところがあるらしく建長寺の庭では参加者の女性にどうやらお気に入りを見つけたらしい。猛然とアタックを始めている。女性は受け流しながら平然と山道を登って笑顔で応えている。しかし皮靴の紳士は急登で息を切らしている。女性についていくことが精いっぱいの雰囲気である。蒼白な顔が歪んでいる。ファッションもスニーカーなどではない革靴だし、おいてけぼりかなと行く末を傍観する。集団がばらけて山頂付近で紳士カップルはどうなったのかと、誰かが案じていたら、皆の集団より先に尾根にある茶屋で女性と談笑しているという電話がリーダーのところへ来たらしい。

あれだけ苦悶顔していた人が女の吸引力に引き寄せられたのだとリーダーと笑いあう。久しぶりの天園付近の雑木林、山藤が隠れるように咲いていてその花ビラが山道にハラリと舞落ちている。鎌倉宮で会は散会、ちょうど帰り道の小路沿い清泉小学校の向かいにあるカフェ「サン・スー・シ」へ寄って蓄音器を聴く。ついでにテラス付近でまどろんでいる猫としばし戯れて、シニア婚活会の女性とは戯れるチャンスは巡ってこなかった。


いつもの春を

2014-04-07 07:01:41 | 自然

朝ごはんの焼き魚を宮城沖産の鯖干し、黒豆の砂糖レス煮、春キャベツと胡瓜の浅漬け、到来品のゼンマイ五目煮、等で和的にきめる。駅前にある小田急OXのスーパーは他店スーパーよりも全ての商品が二、三割高い。しかし干物、紅鮭などはどなたかバイヤーに目や舌が効く人がいるらしい。先日弁当のおにぎりに使った時鮭の甘塩の切り身からも昭和30年頃に食べた鮭の香りが珍しく舞い上がってきた。今回の鯖も塩加減が素晴らしい。身を覆う飴色の焦げ目をほぐす時の至福感は格別の390円である。

食後は湯河原産の柑橘種「はるか」が待っている。こういう献立の秩序が回復すると休日の散歩はよい形に連なっていくものだ。雨降りのお天気配分がよく公営住宅の空き地にも春を物語る草花が控え目に現れている。

ごみ捨て場の横にある椿の生け垣が植えてある地面の隙間には「つくし」が勢ぞろいしている。末尾に原という名称がつく昔の土の記憶を「つくし」は地下茎の根をとおして伝播しあっているのだ。この「つくし」をもいで沖縄陶器の「チョカ」に挿してみる。「つくし」をほのぼのと眺めていたら、前に住んでいた日向薬師付近の野原を眺めたくなった。日向薬師へ向かう最近のルートは国道246をやめて、座間から丹沢山系とまっすぐに対面できる相模川の「座架依橋」を通るコースが好きになった。厚木北部の三田、萩野の田舎混在景色を眺めながら、玉川の流れる小野地区、七沢温泉を通過して日向へ向かう。

このエリアは内陸のせいか桜がちょうど満開になっている。付近に連なる地山では雑木の青葉、山桜が淡彩絵模様、川の縁には菜の花、人家の庭先では連翹(れんぎょう)、ああ、春だと思う毎年の心境である。懐かしい日向薬師の地元住民の社になっている白髭神社もちょうど桜が満開、鱒釣り場の駐車場に聳える桜の大木も満開、桜の園へやってきた気分を満喫する。

 

 

いつもの散歩コース、菜の花畑と竹藪のある神社横のパサージュ(小道)は春の野辺の宝庫だ。カントウタンポポ、蛇イチゴ等の好きな野草の隙間では、薄紫色の菫・スミレ(学名ビオラ・マンジェ)にもであう。園芸品種などの近縁なスミレ類はごまんと溢れるが、野辺の和種スミレもほんとうに少なくなっている。園芸家、柳 宗民さんがスミレを愛でている言葉を思い出す。「スプリング・エフェメラル(春のはかない生命)」という響きのきれいな言葉どおり、今日のプチ散歩は桜といい、スミレといいまさに「スプリング・エフェメラル」を体感できるひと時になった。

 


春をうかがう散歩

2014-03-04 09:40:50 | 自然

あとで知ったのだが、ちょうどテレビニュースで湯島の梅も開花が遅れているという日に珍しく都心散歩に出かけた。神田明神、湯島天神という都心のありふれたコースである。知人数名と聖橋の袂で待ち合わせする。お茶の水界隈は若いころからなじんでいる場所だ。相鉄と東海道線の乗り継ぎが上手くいって、電車はお茶の水駅まで所要ジャスト1時間だ。

少し早くついたせいで駅前のビル地下にある「エクセルシオール・カフェ」でパストラミサンドのモーニングセットと珈琲で寒さをしのぐ。ウインドウの外は吹き抜けになっていて視界の広さが心地よい場所だ。対岸の窓辺には下着ショップらしい春めいた色調が大胆にレイアウトされているが、その手前は朝からの霧雨が覆っている。我が陋屋の片隅に一緒に生息するメダカもときどき水面の上層へ春の様子を窺いに浮上してくる。地中の温もりにたゆたっていた水仙もようやく花芽をもたげてきた。春は兆しているがやはり戸惑っている。

 

湯島天神の梅林は二週続きの雪の影響でちょうど五分咲きの風情、それでも見物客はかなりの数が訪れている。湯島天神で飲んだ昆布茶、神田明神横の茶屋で飲んだ甘酒が戸外で冷えた体にじんわりと沁みてくる。散歩は不忍池を最後に雨天中止、そこで散会となる。上野、御徒町の路地裏に入って蕎麦組、居酒屋組とそれぞれ散らばるが、自分はJR京浜東北線の各駅停車に乗って大井町へ途中下車することにした。母親の兄が住んでいた南品川からも近い駅路地にあるラーメン「共楽」の味を思い出したからである。