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動画・音声・インタラクティブ性などで織り成す新スタイルのマンガ制作日記

マンガの近未来(iBooks Author制作日記15)

2012-11-22 20:03:20 | iPad版制作日記

iBooks Authorで作るマルチタッチコミック【ナナのかぼちゃパン】の制作日記も15回目になりました。

短編なのにこんなに時間がかかるのは、各ページの画面をタッチするとウィジェットが起動してアニメが始まるという仕掛けなので、やはりそれなりに制作時間がかかってしまいます。とくに凝っているつもりはないんですが。

でもこの作品を完成することができれば、iPad版の電子コミック制作ノウハウが自分なりに確立するので、ひとくぎり付けることができます。

iPad版が完成したら、次はAmazonのKindle Fire版にしようかな。そしてその次は...いやいや先のことより現在のこのiPad版に集中しなくては。まだまだつまずく可能性はありそうなので。

と言いながら今回のブログのタイトルは「マンガの近未来」。ちょっと先のことです。

「マンガの近未来」なんてタイトルは大げさですが、先日ベッドの中でなかなか寝付けずにごろごろ寝返りを打ちながらちょっと考えただけのことです。いつもはベッドに倒れこむとバタングーなんですけどね。

出版不況の中、マンガ雑誌やコミックスの売り上げも年々右肩下がり。一方、ついにAmazonが日本の電子書籍市場に参入して、本格的に電子書籍時代の幕開けか...という状況です。

マンガの売り上げが落ちているのは、出版不況が原因というだけではなく、昔と違ってゲームや携帯・スマホなどマンガ意外の楽しいものにお小遣いを奪われているというのも大きいと思いますけど。

日本が世界に誇るマンガ文化も時代の大きな変化の中で、今後どのように変わっていくのだろうか、ということを寝返りを打ちながら考えてみました。

まずマンガ家への道・コースが変わってくるのかもしれませんね。

マンガ賞受賞 → 商業誌デビュー → 担当編集者と共に雑誌連載を目指す、という従来の王道から、個人(もしくはグループ)で描いた作品をいきなりネット上の電子書籍ストアで販売、というコースに変わるんでしょうか。

今は、マンガ専門学校とか大学のマンガ学部なんてある時代ですが、マンガ家を目指している若い人達はどういったコースを考えているんでしょうね。

それから、マンガの描き方がデジタルになる。

もうすでにペンタブレットで直接デジタルデータとして描いている人はけっこう多いと思います。紙にペンと黒インク派、ペンタブ派の割合的なものは私にはぜんぜん分かりませんけど。

すんなりとデジタルに移行できる人と、なかなか馴染めない人がいるでしょうね。自分は後者でした。というか他の人よりかなり早くペンタブに取り組んだんですけど、初期のペンタブがかなり使いにくくてすぐに断念してしまいました。

『ペンタブは使えん!』と自分で決め付けてしまい、その分ずいぶん後れてしまったんですよね。それにデジタルコミックへのアプローチが、紙に描くマンガをそのままデジタルに持ってくるというのではなく、3DCGやアニメ・音声・プログラムといった要素を取り入れたいと思ったので、ペンタブが絶対必要というわけではありませんでした。

その分さらにペンタブ導入が後れました。まぁ今も使いこなしてるとまでは言えませんけど。

寝返りを打ちながら、電子コミック時代の近未来をさらに想像してみました。

もしPCで描いた電子コミックを電子書籍ストア上にアップするだけ、という時代になったとしたら編集者の役割、資質、求められるものが現在とは当然違ってくるでしょう。

マンガ家も世界のマンガ好きの読者を意識して描くようになるし、文化的な違いも考慮しなければなりません。バトルなどの暴力的な表現やエロはどの程度までOKなのかとか。

そうなると語学も含め、そういった面からマンガ家にアドバイスをしサポートできる編集者が求められるし人気がでるでしょうね。世界で売れるマンガとはどういうものかを的確にアドバイスできる編集者は、音楽のアレンジャーのように何人ものマンガ家を担当するひっぱりだこになるかもしれません。

今まで日本の国内では、さまざまなジャンルの人気マンガが生み出されてきました。スポコン、学園もの、ギャグ、時代&歴史もの、SFファンタジー、恋愛&ラブコメ、動物もの、ホラー、探偵&ハードボイルド、ギャンブル、グルメ、音楽もの、RPGもの、魔法使い、旅行もの、ヤンキーもの、ドキュメンタリー、釣り、恐竜、極道、不条理、そして囲碁&将棋、書道...思いついたままでジャンル分けになってないかも(o^皿^o)ゞ。

世界の読者をターゲットにして、今後どのようなジャンルが人気がでるのであろうか...

先ほどの暴力とエロ表現がかなり厳しく制限されると考えると、マンガのおもしろさの追求もずいぶん様変わりするかもしれませんね。

マンガは日本のクール・コンテンツなんて言われてますが、これからグローバルな電子コミック時代になったとき、マンガ大国の座を維持できるか...

たとえば韓国は、自国の文化を世界に発信する意識が非常に高いです。Kポップや韓流ドラマの売り込みをはじめとして、キムチを世界遺産にしようとするなどさかんと活動しています。

また中国では、いつのまにかアニメの制作量が世界一だとか...クオリティではまだまだ日本に及ばないと思いますが、力の入れようが半端じゃないのでいつ大化けしないともかぎらない。

そう、これからグローバルな電子コミックの時代を迎えたときに、これらの国からヒット作が出てしまうと日本がマンガ大国だったのは過去のこと、なんて話になりかねんと心配なわけであります。

はたして日本のマンガの未来を担う人材は、グローバルを向いているであろうか。

というあたりで一睡もできず睡眠時間は終了。

う~む、最後のほうが暗くなってきてしまった(´・ω・`)。