Webcomic.tv

動画・音声・インタラクティブ性などで織り成す新スタイルのマンガ制作日記

ウェブコミックは誰に向かって描く?

2009-07-21 21:47:01 | Weblog

先日まで描いていた【時空マジシャン】Chapter.2のOPムービー画コンテをwebcomic.tvサイトにアップロードしました。サイトのほうはちょっとサボっていたのでひさびさの更新。

画コンテをアップする前に表紙をつけたんですが、その表紙用に描いたイラストが上の画像です。背後に気配を感じ振り返る占い師。そこにはザリガニが...

自分の信じる道に一歩踏み出そうとしている占い師。しかし前に進もうとすると彼女のスカートを何かがひっぱって邪魔をします。「私を進ませまいとしているのはいったい誰?」何かおそろしげな敵がいるのかと思いきや、足元に小さなザリガニが一匹、彼女の邪魔をしているのでした。

ちいさなザリガニでもシュビビビビビッと追っかけてきたらちょっと怖いかも...

というようなシーンを占い師が異界を彷徨っているときに挿入しようかと思ってます。

さて今日の制作日記は「ウェブコミックは誰に向かって描く?」というタイトルをつけました。この場合は一般的なウェブコミックという意味ではなく、私の場合に限ってのこと、つまりウェブコミック【時空マジシャン】のことです。

漫画を描くとき、まず誰に向かって描くか、つまり読者層や年齢層などを決めてから描きますよね、普通。雑誌の編集部に持ち込むことを前提にしているなら、その雑誌の読者に向かって描くことになります。

ところが私がウェブコミックのアイディアを練り始めたときは、読者層についてはほとんど考えませんでした。正確に言うと『さて、読者層は...』と考えかけて、『この場合はとりあえず読者層は置いとこう...』ということで先に進みました。

その当時、私の頭の中は『静止画と文字、それに加えてアニメ・音声・サウンド、それからインタラクティブな仕掛け、それらを駆使して漫画を描きたい』という気持ちに満ち溢れていたのでした。今も満ち溢れてますがp(*^ε^*)q。

その時の気持ちの源泉を求めてたどって行くと、CD-ROMが全盛だったころまでさかのぼります。まだインターネットがボチボチ話題になりかけたころでしょうか。

PCもアプリケーションも現在とは比べるべくもなく非力でしたが、なぜか私達は楽しげにコンテンツなどを作っていました。今その当時のPC環境に戻されたら非常に苦しげな表情になるでしょうけど。

ある制作チームはゲーム的な学習教材のCD-ROMを作っていたし、また別のチームはデータベース的な検索機能がある図鑑のようなコンテンツを作ったりしていました。

私も企画デザインやマルチメディア事業部という部署にいたので、いくつか企画書を作りました。その時考えたいくつもの企画の中で、今も私の頭の中で生き残っているのがマルチメディア・コミックです。その当時は日の目を見ることはなかったですが、その後インターネット時代になり現在ウェブコミックとして自主制作しているわけです。

マルチメディア・コミックの企画書では、女の子が主人公の宇宙ものでしたが、ウェブコミックではマジシャンものにしました。

話がそれました。

ウェブコミックは誰に向かって描いているのか...あの時なぜ読者層について考えることを保留したのか、それは読者層うんぬん以前に複数のメディアを統合した漫画がそれなりの形になるのか!?もしかしたら作品の体を成さないのでは!?とかなり本気で心配していたからです。

読者層のことは、ウェブコミックの一作目が曲がりなりにも完成したら二作目でゆっくりと考えればいいや、と思っていたわけです。

現在自分が誰に向かって描いているか改めて考えてみると、デジタルな時代ならではの表現を模索している人もしくは興味のある人、新しい試みが好きな人もしくはそういった試みを評価する人、情報を受信するだけではなくその情報を新たな情報に加工して発信する視点をもっている人(つまりブロガー)...といった人たちを無意識のうちに想定して描いているかもしれません。

それから私が一緒に働いていた同僚達、同じプロジェクトに携わり新しいソフトウェアやコンテンツを作りたいと目を輝かしていたメンバー達、彼らに『今こういうの作ってるんだよ、自主制作だけど』と言いたくて描いてるような気もします。

また、漫画やアニメが好きな人達、昔好きだったけど今はあまり読んだり観たりしなくなった人達...それから、えーと大学時代の友達、あと小学生のときに漫画友達だった清水君...すべての人じゃん(^Д^)。

少年漫画とか年齢層とかのターゲットは、自分はあまり意識してないようです。読んで理解できればOKくらいな感じ。

もうじきOPムービー制作にとりかかります。

今、声優さんにお願いしているところなので。