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動画・音声・インタラクティブ性などで織り成す新スタイルのマンガ制作日記

ibooks形式受け付けず!?(iBooks Author制作日記55)

2014-03-31 19:23:02 | iPad版制作日記

昨年の3月に、それまで開店休業状態といわれていた日本のiBookstoreがついに日本語の電子書籍販売を開始しました。

その後も「iBookstoreで出版するための手順」というような内容の記事がときどき目に入ってきていたので、『iBookstoreでの電子コミックの販売は問題なし!』と勝手に安心してました。

ところが今回、モーションコミック【ナナのかぼちゃパン】がようやく完成して、『いよいよAppleの審査を受けるときが来たか!』というわけで、改めて手順を確認したところ、見つからないんですよ...ibooksフォーマットでの受付に関する情報が。

いやまったく見つからなかったわけではなく、「ibooksフォーマットでは日本語コンテンツは受け付けられないようだ」というような記事はちらほら見つかりました。

どういうことかというと、「iBooks Author」で制作したコンテンツは、「.ibooks」という拡張子のブック形式で書き出されます。(他にPDF形式などで書き出し可能)

その.ibooks形式で入稿しようとすると、(英語で)「iBooks Authorフォーマットによる日本語ブックは目下受け付けておりません。EPUB3フォーマットで再提出お願いします。」というメッセージが届くとのこと。

だって「iBooksがついに日本語電子書籍に対応!」で「そのiBooks用コンテンツ制作ツールがiBooks Author」なんでしょ?それなのに、その「iBooks Author」で書き出したibooks形式の日本語コンテンツは受け付けませんて変じゃないすか!?

つまり、日本のiBookstoreが日本語電子書籍を販売開始して以来、個人出版の体験記などをたくさん見かけましたが、それらのコンテンツはEPUBフォーマットだったんですね。自分の頭の中では、「iBooks Author」で書かれたものもいつのまにか一緒くたになっていたようです。

今回調べてみて分かったんですけど、アメリカでは既にibooks形式の電子書籍がたくさん販売されています。とにかく日本のiBookstoreは、万事遅いんですよね。

さて、どうしたものか...。

EPUB3フォーマットならOKといわれても、『そうですか、わかりました』というわけにはいきませんよ。

自分のブログは、電子コミックを取り上げていますが、EPUBという文字が登場する頻度はかなり少ないんじゃないでしょうか。普通なら最多出現頻度であってもおかしくないところですが。

その理由は、自分の描くモーションコミックが静止画やアニメベースのマルチメディア・コンテンツであって、EPUBがこだわる(出版関係者がこだわる)フォントやきっちりしたレイアウトなどには、あまり興味がなかったからです。

ただしEPUB3になって、リッチコンテンツに対応してからはがぜん注目するようになりました。

で、どうするかというと...。

今後、アンドロイド版やFireOS版に対応するつもりなので、いずれにしろEPUB3版は必要なんでしょうが...。いや、必要なのかな?アンドロイドやFireOSにiBooksのようなリッチコンテンツ対応のリーダーアプリがないとだめだし。

ゼロから作るわけではなくて、HTMLウィジェットのHTML5コンテンツがあるので、それほど大変じゃないかもしれませんが、やってみたらやっぱり簡単じゃなかったということになると思います。

こうやって書きながら、考えをまとめてるんですけど、まだ結論がでません。

前回のブログで、「いよいよiBooks Authorのツールバーの[公開]をポチッと...」なんて書きましたけど、あまかったです。

上の画だけは、晴れ晴れなんですが。




とりあえず完成(iBooks Author制作日記54)

2014-03-16 19:30:35 | iPad版制作日記

ようやくたどり着きました。とりあえず完成です。

全ページに係わる修正というか、仕上げの作業に時間がかかってました。

例えば、ページをタップするとアニメを開始するわけですが、その後アニメが再生し終わったことを読者に知らせる合図として、ページ全体の明度を少し下げることにしました。

これはなかなか良い感じです。今まで、次ページに進むように促すためにアイコンをチカチカさせたりしてましたが、どうもいまいち格好良くなかったんですよね。

それがスッと明度を下げることで、違和感なくその時を知らせることができるのはグッドです。でも全ページ直すのはけっこう手間でした。

それから、ページの頭に戻ってアニメをリプレイするボタンも付けました。

これは、アニメが終了してウィジェットを閉じて次ページに進んだときに、「まてよ、もう一度前ページを見よう!」と思って前ページに戻ったとします。そしてページをタップしてアニメを見ようとしたときに、再生されないときがあるんですね。

つまり、アニメが最終フレームで止まったままの状態です。オブジェクトがメモリー上に留まっているんでしょうね、きっと。

iBooksリーダーアプリがどのタイミングでそれを破棄するのかよく判らないので、リプレイボタンを付けました。でも、いずれにしてもリプレイボタンは必要でしたね。

さて、なんとか完成にこぎ着けたとはいえ、時間がかかり過ぎたし、消耗してしまいました。

たぶん最初に【時空マジシャン】や【Wings】という長編~中編作品でトライし上手く行かなかったわけですが、その時かなりのエネルギーを使い果たしたかもしれません。

そして「iBooks Author」で【ナナのかぼちゃパン】に取り掛かった時点では、もうすでにかなり消耗していたような気がします。

その後なにか問題点に遭遇する度に、制作ペースがどんどん落ちていきました。自分では何があっても淡々と制作を進めていくつもりでいましたけど、徐々にボディブローのようにパワーが奪われていたかもしれません。

それと自分がやりたいモーションコミックというものの位置関係がビミョーで、ときどき行き先を見失いかけたりしました。

マンガリーダー対応の一般的な静止画ベースのマンガと、ゲームや色々なツール等のアプリの狭間で、モーションコミックというマルチメディアベースの新しいマンガの立ち位置を模索しながらの制作でした。

自分としては目標に向かって自分なりに計画的に進んでいるつもりでも、問題が複雑でどうしても手探り状態にならざるを得ない状況が繰り返されると、徐々に消耗してきます。

でも今回、自分のベースとなるモーションコミックの形が出来つつあるので、これに改良を加えるということで次に進めそうです。

【ナナのかぼちゃパン】は短編なのに、「あとがき」まで書いてしまいました。

「はじめに」や「あとがき」や「取材記」など、本編に付随するコンテンツが好きなんですよね。

今回は「かぼちゃパンのレシピ」が付録でしたけど、この次の作品にも何か付けたいところです。

さて次回は、いよいよ「iBooks Author」のツールバーの「公開」をポチッとする予定。




仕上げ(iBooks Author制作日記53)

2014-02-26 19:52:22 | iPad版制作日記

長々とやってきました、「iBooks Author」で作るモーションコミック【ナナのかぼちゃパン】ですが、いよいよ仕上げ段階です。

表紙のアイコンをタップすると、まず最初にイントロメディアが表示されます。

今回は上のような画像を表示することにしました。【ナナのかぼちゃパン】の読み方ページですね。

簡単な説明と共に、iPadの横画面と縦画面でそれぞれ違ったコンテンツが見れるので、2倍とまではいかないが1.5倍楽しめる、ということをちょっとアピール。

当初は、イントロメディアにムービー(H.264の動画)を使うつもりでした。でも、本編の各ページに2~3MBのHTMLウィジェットが組み込まれていて、全体的にヘビーになってしまったので、今回は作戦変更。

イントロメディアは、アイディア次第でいろいろなメッセージを冒頭に組み込み、ブックを盛り上げることができるおもしろい演出ですよね。

今後の作品づくりでも力を入れたい部分です。

「iBooks Author」で作成する電子ブックは基本的には、表紙、イントロメディア、目次、本文(メインのコンテンツ)、用語集といった要素で構成されています。

用語集だけは必要なかったので使いませんでしたけど、それ以外は活用しました。テンプレートに予め用意されているそういったページというのは、実際に使ってみると自由度がなくがっかりされられたりするものです。でも今回は、有効利用できたと思います。

「iBooks Author制作日記」と称して書いているにもかかわらず、最終段階で電子ブックの構成要素などを書いているのも変な話ですね。

自分のやりたいこと、つまりマルチメディアによるマンガ表現を、「iBooks Author」は受け入れてくれるのか? → 受け入れてくれそうだ...!? → おおっ、受け入れてくれた! → (問題点が生じて)やっぱりだめか!? → いやっ、大丈夫そうだ!...みたいな繰り返しで、それ以外のことは全て後回しでした。

なので、今更になって「iBooks Author」で作る電子ブックの構成要素などに触れているわけです。

「iBooks Author」は、アップルの無料の電子書籍オーサリングツールです。

そういえば、自分が昔持っていた「MacintoshⅡcx」には、「HyperCard」というマルチメディアオーサリングツールが入っていました。当時やっぱり無料だったと思います。

アップルには、ユーザーの感性を刺激して、自らコンテンツを「作る人」へと誘う伝統が生きているようです。




目次の編集(iBooks Author制作日記52)

2014-02-08 20:10:52 | iPad版制作日記

上の画像は「iBooks Author」でオーサリング中の、モーションコミック【ナナのかぼちゃパン】です。

目次のページを編集しているところですね。

そうなんです、ついに目次ページの作成までたどり着きました。

いや~、あと一息。でも自分の場合、いままで何度『あと一歩、あと一息で完成だ!』と思ったことでしょうか。その都度、予想外の問題が発生して大幅な修正を余儀なくされました。

だからあと一息といっても油断せずに、「高名の木登り」のように着地し終わるまで慎重にいかねば。

いくら慎重にやっても問題が潜んでいるのであれば、そのうち顔を出すんですけど...( ̄∇ ̄;)。

そういえば前回のブログに、「コンテンツが重くなってしまいアニメの動作が許せない遅さになってしまった」とか「音声は普通に再生されて、アニメが置いてけぼりになっている」とか「iBooks Authorのテンプレートを使い、中身をHTMLウィジェットで作る制作手法の大ピンチ」というようなことを書き連ねました。

そうそう、その顛末を書かなくては。

結論は、iOSとiBooksリーダーのバージョンアップでパフォーマンスが改善しました。

画像などのファイルサイズを削ったり、FPS(1秒当たりのフレーム数)を落としたりしても、パフォーマンスは改善せず不安定な動作が続いていたので、制作環境に手を着けることにしました。

あと少しで終わるし、iOSやiBooksリーダーアプリ、iBooks Author、Toolkit for createJSといった制作/動作環境は変更したくなかったのですけどね。

それにユーザーの動作環境としてiBooks2以降と自分の中で決めていました。

しかしそうも言ってられなくてちょっと調べてみたら、iBooksリーダーの改善点として「パフォーマンスの改善」と謳われていたので、アップデートしたところ、みごとにサクサク動いてくれました。

今回は、まず音声・サウンド抜きでアニメを作成。後で音声を付加しながら同期させるという作り方でした。

アニメだけの段階ではパフォーマンスに問題はありませんでした。ところが音声を加え始めてからパフォーマンスがどんどん低下していったんですね。

それが、iOSとiBooksリーダーのバージョンアップ後は、アニメだけのときの動作に戻りサクサク動きました。

読者がストレス無く読める動作環境として、iOS7とiBooks3.2以降という条件にはなりましたが、これだけハードウェアとソフトウェアの進化が急速な時代なのでやむを得ません。

でもできればハードはiPad2以降にしたいんですよね。iPad2のユーザーはけっこう多いと思うので。

さて、目次にもどります。

「iBooks Author」には、目次の設定ページがあります。これはいいですよね、各セクションが自動的に表示されていて、それをタップするとそのセクションにジャンプします。

中身はほとんどHTMLウィジェットなんですけど、テンプレートが持っている便利な機能は使わせてもらいましょう。

【ナナのかぼちゃパン】のコンテンツは、チャプタ1の中にすべて収めました。

その中を区切って、「ナナのかぼちゃパン本編」と「かぼちゃパンのレシピ」と「後書きとか解説のページ」のセクションに分けました。

さてそろそろ、「iBooks Author」とHTMLウィジェットで作るiPad版モーションコミックの制作手法が一段落してほしいところです。




またも試練(iBooks Author制作日記51)

2014-01-24 19:15:45 | iPad版制作日記

前回、表紙をお見せしたモーションコミック【ナナのかぼちゃパン】ですが、このままあと一息で完成かと思いきや、またも試練に襲われてしまいました。

音声抜きで作ったコンテンツに、後から音声を加えて1ページずつ仕上げるという作業も終盤に差し掛かり、『さあ、このあたりでページを連結して動作チェックをしてみるか』という段階でした。

「iBooks Author」のプレビューで、コンテンツの頭から1ページずつめくり、画面をタップしてウィジェットを起動しアニメを再生していきます。

『お、重い...これは...許せる重さじゃない』というくらいアニメの動作が鈍重になってました。

これまでも各ページのプレビュー時に数ページに渡ってチェックをすることもありました。でもその時は、『ちょっと重くなってきたかな..』という程度だったんですよね。

ところがページを重ねていき後半のページになると、急激にパフォーマンスが落ちて、1フレームを表示するたびにぬかるみに足をとられながら一歩一歩進んでるような感じになってしまいました。

とても許容範囲といえる状況ではありません。

とくに処理の重さがフレームレートに顕著に出ていて、音声とアニメが同時にスタートしても音声はスローにならないのでそのままどんどん再生されて、アニメの動作だけが置いてけぼりをくらっている状態。

とりあえず、削れるデータは可能な限り取り去って、各画像もTinyPngなどでさらに圧縮して、とにかくシェイプアップする。

それでもだめならFlashのFPS(1秒当たりのフレーム数)をがくっと落とす必要があるかもしれません。

いや~、大変なことになりました。

もしかしたら、「iBooks Author」のテンプレートを使い、中身はほとんどウィジェットで作るというモーションコミックの制作手法の正念場かも...。

Webコンテンツに比べるとこのiPad版コンテンツは、ちょっと贅沢に素材を使っていたので、けっこうファイルサイズを削る余地はあるんですけどね。

それにしてもCPUもメモリも回線速度も『もう十分!』というくらい速く大容量になった現在、まだこういう苦しみを味わうとは。

大昔、486マシンに倍速のCD-ROMドライブをつないで、作ったコンテンツの遅さ・重さと格闘していた日々を思い出しました。

iBookstoreにモーションコミック【ナナのかぼちゃパン】が並ぶ日は来るのであろうか!?




表紙の設定(iBooks Author制作日記50)

2014-01-12 19:20:52 | iPad版制作日記

モーションコミック【ナナのかぼちゃパン】の表紙を制作中です。

表紙というのは、自分のiPadやアップルのiBookstoreの本棚にいろいろな電子書籍が並んでいますけど、その電子書籍の表紙になります。つまりアイコンですね。タップすればiBooksが起動します。

上の画像は、「iBooks Author」で表紙を設定しているところです。ナナがかぼちゃパンに「いっただっきまーす」とかぶりつこうとしている絵にしました。

左側のサイドバーの上部に、「ナナのかぼちゃパン」とタイトルが表示されています。調べてみたところ、このタイトルがiTunesに引き継がれるとのことなので重要ですね。(テンプレートの初期状態では「Book Title」と表示されているので、それを書き換える)

同じく重要な「作者名」は、書類インスペクタで設定します。

インスペクタは、テキストやグラフィックなどブックを構成する各要素を設定するパネルです。ツールバーのインスペクタをクリックすると表示されます。(画像の上部、右側)

インスペクタパネルの一番左側のタブをクリックして書類インスペクタを開き、「作者」「タイトル」「キーワード」「コメント」を入力。ここの作者名がiTunesに引き継がれます。

ドキュメントエリア(ナナの画像がある部分)には、テンプレートの初期状態ではサンプル画像やサンプル文字が配置されているので、それらを削除しナナの表紙画像と手書きのタイトル文字に差し換えました。

でもドキュメントエリアに初期状態であるタイトル文字(「ナナのかぼちゃパン」と書き換えてある)は残しました。iTunesにタイトルが引き継がれないといけないので。つまり、テキストのタイトル文字は透明にして残し、その上に手書きのタイトル文字をドラッグ&ドロップで配置したというわけです。

ようやく表紙までたどり着きました。といっても、本編のアニメと音声の同期作業がまだ途中なんですけどね。

それにしても、後から音声に合わせてアニメの動作や口パクを修正するのはえらく大変です。次回作からは、ストーリーボードの段階で音声も他の素材と同時に準備して、それからオーサリングに取り掛かろう!

ところで上の画像のサイドバーに「ナナのかぼちゃパン」と関係ない画があるでしょう?蝶やトンボの絵が描いてあるんですけど、これはテンプレートの名残というか、まだナナの画像に差し換えてない部分です。

最初にテンプレートを選ぶときに電子コミック向きのものを探したんですが、ピッタリなのが無くて無理やり選んだのがこの「クラフト」という手作り感が感じられるテンプレートでした。

結果的には、ほとんどテンプレートの持ち味を生かしてないんで、どれを使っても同じだったかも...。

でも、iPad縦向き時のストーリーボード表示では、紙に描いた感が出せたのでやっぱり正解でした。




モーションコミック(iBooks Author制作日記49)

2013-12-25 19:15:38 | iPad版制作日記

DMC(Digital Motion Comics)というモーションコミックサイトを見つけました。

Manga2.5という、マンガ原稿を動画化(モーションコミック化)した新しいコンテンツを配信しているサイトからたどっていくうちに、そのDMCにたどり着いたんですけどね。

そのDMCには、Marvelなどのアメコミやフランス語圏のバンドデシネ系の重厚なファインアートなモーションコミック作品が並んでいます。いかにも「う~ん、肉食!」という感じで、日本のライトな雰囲気のマンガとはやはり違います。

でもその違いがいいんですよ。日本のマンガやアニメなどがクールジャパンとして世界に発信されていますが、それぞれの国の文化を背景に生み出されてきた作品の表現が同じような雰囲気を醸していたらつまりませんからね。

数年前にアメリカのMarvel Entertainmentが、「Motion Comics」(モーションコミック)という新しい動くデジタルコミックを配信すると発表しました。

そのときはそれなりに興味を感じたんですけど、その後あまり動向を追いかけることはありませんでした。でも今回DMCのサイトを見て、「Motion Comics」は着実に進化しているようです。

一方Manga2.5は、モーションコミックとしてはDMCと同じような手法で動画化していると思うんですが、日本のマンガ原稿をベースにした可愛いコンテンツが並んでいます。

具体的な制作手法は、


 1. マンガ原稿をコマ・キャラ・背景・吹き出しなどのパーツに切り分ける。

 2. 着彩する

 3. それぞれのパーツを必要に応じてアニメーションさせる

 4. 音声・サウンドを付加


といったところでしょうか。もちろんこれをベースいろいろとアレンジを加えることになるわけですが。

問題は、3番目の「それぞれのパーツを必要に応じてアニメーションさせる」ところです。

背景をじわじわと右→左もしくは左→右に動かしたり、上下にゆっくり移動させる。ときに微かにズームアップしていく、という動きがかなり多いですね。

そうやって背景を動かしつつ、その上のレイヤーに配置したキャラに喋らせることで、少ない画像数で全体的に動的なアニメ感を出しています。

キャラが喋るときは、背景に重ねたキャラ画像をゆらしてみたり、頭から上だけちょっと動かしたり、口パクや瞬きを組み合わせて表現。このあたりは、キャラをぜんぜん動かさないで音声を流すやり方もあるし、それぞれの作品でまちまちのようです。

日本のモーションコミックの場合、現在のところWebフラッシャーやマルチメディア・クリエーターといった職種の人達が、このあたりの作業を担っているんじゃないでしょうか。

自分の経験上、短編でも1作品完成させるのに非常に大変な作業量なので、今後どのあたりで切り分けて協業していくかが重要。どこで切り分ける?ここでしょ!o(- -;*)ゞ

私も自分に合った表現を追及していますが、それが世の中の流れとベクトルが違うと寂しいもんです。でもこのようなモーションコミックの現状を見ると、自分の方向性も悪くないようで嬉しくなりました。

さて自分のモーションコミック作品【ナナのかぼちゃパン】の方は、iPad縦向き時に表示するストーリーボードの一部を描き直しているところです。

1ページ分のサイズが大きくなりすぎて、HTMLウィジェットが起動しないページは分割したんですけど、それに合わせてストーリーボードも分割しました。

「iBooks Author」で作ったコンテンツは、横向き時と縦向き時がちゃんと対応しているわけじゃありません。

でもページ数は揃えておきたいので。

あと6日ですか...。



簡単デジタルブック(iBooks Author制作日記48)

2013-12-12 19:09:15 | iPad版制作日記

「iPad版制作日記」というカテゴリーで、「iBooks Author制作日記」と称して最近はブログを書いています。

「iBooks Author」の使い方や情報を求めてこのブログを訪れた方々は、そういった情報があまり書かれていないのでがっかりするかもしれません。

始めのうちは、「iBooks Author」に用意されているテンプレートを活用して、いかに自分の表現スタイルにマッチした電子コミックを作るかという試行錯誤をしていました。

その結果、HTMLウィジェットを埋め込むというやり方が最も自分の求める表現に近づけると分かってからは、もっぱらFlashで電子コミックの中身を作り「Toolkit for CreateJS」でHTML5ベースでパブリッシュするという作業がメインになりました。

「iBooks Author」での作業は、空のページを作りそこにHTMLウィジェットを配置するということで、電子ブックのガワとして活用している感じです。

でもガワつまりテンプレートが出来ているという意義は大きいんですよ。ガワ作りにかけるエネルギーをすべて中身のコンテンツに注げるわけですから。

いろいろなテンプレートの中から自分の作りたいコンテンツに合ったデザインを選び、簡単にデジタルブックが作れるというのが「iBooks Author」の基本的な使い方なんでしょうね。

電子コミック【ナナのかぼちゃパン】は、その基本的な使い方とは違っていますが、「iBooks Author」でちょっと凝ったマルチメディア・ブックをつくりたいときの仕組み、つまりウィジェットを埋め込むという「iBooks Author」が予め用意している機能を使っているので、無理やりの力業というわけでもないんですよね。

で上の画像なんですが、【ナナのかぼちゃパン】のレシピのページです。

レシピのページは、HTMLウィジェットを使わず静止画と音声だけなので、「iBooks Author」で手軽にデジタルブックが作れる見本のような感じになりました。

自分の場合は、動きがないとだめなんですけど、つまりアニメーションと音声がセットじゃないと表現する気がしないんですが、静止画と音声で十分な人は、「iBooks Author」で手軽に音が付けられますよね。

上の画像のパンケースの下に、音声のコントロールバーが見えます。あれをタップすると音声が再生されるわけです。

ちなみに音声を配置する手順は、以下のとおり。


 1. ツールバーのメディアをクリックする

 2. メディアブラウザが表示されるので、オーディオを選択

 3. 配置したい音声ファイルをページにドラッグ&ドロップする
※音声ファイルはm4aファイルのみ読み込み可能

 4. ページに表示されたコントロールバーのサイズや位置を調整する


画像を各ページにバーッと読み込んで、あとは音声を付加すれば「デジタル紙芝居」が簡単に出来ちゃいます。

それから、eラーニングなどにも適しているんじゃないでしょうか。講師の映像を加えればさらにリッチなコンテンツになりますしね。

そういえば、タブレットを授業で活用している小学校のニュースを見ました。

自分が子供のころは、紙とペンでちょこっとマンガを描いたりしましたが、今は文字も静止画もサウンドも映像もデジタルで組み合わせて表現する環境が整っているので、それがあたりまえの子供たちが将来どんな表現をみせてくれるのか楽しみです。

そのころにはデジタル爺さんになっているであろう自分が、若者たちに負けじと新作を発表して競い合いたいものです。




OPサウンド(iBooks Author制作日記47)

2013-11-26 19:25:22 | iPad版制作日記

制作がエンドレスになりそうな雰囲気の電子コミック【ナナのかぼちゃパン】ですが、作者としては一刻も早くiPad版を仕上げて次のAndroid版に取り掛かりたいと気持ちがはやっている今日この頃です。Android版といっても、たぶんKindle版でしょうけど。

そんな気持ちを抑えつつ細かい修正などをやっています。

たとえば上の画像のように、前半と後半でかなり顔が変わってしまったナナの父・雄作の描きなおしなどですね。もちろん顔色が明るいほうが最近の雄作です。

コミックスが数十巻にも及ぶ長編マンガなら、登場人物の顔が変わってくるのも仕方ないですけど、短編なのにこうも変化したらちょっとまずいので。

制作開始した当初は、絵本タッチにするつもりでいろいろ画像をいじっていたので前半と後半で変わってしまったんですよね。最終的には絵本的とは言えませんが、マンガを表現するために自分にあったスタイルに落ち着きつつあるといったところです。

制作がストップしているWebコミック【時空マジシャン】のころ、3DCGでフォトリアルにレンダリングされた画像がどうも生きてない感じがして、「血を通わせる」ことから始まりました。

そしてその後、写真のようにダイナミックレンジが広く、ハイライトから暗闇まできれいに階調が割り振られていればマンガとしての表現力がある、というわけじゃないことに気づき、そっからまた方向性が変わったかもしれません。

始めのうちは、セルシェーダーなどでマンガ調・アニメ調にレンダリングするのは、『ちょっと違うかな』と思ってました。でも現在はそこに近づきつつあるようです。

まだ、アウトラインの線の濃さで試行錯誤をしています。

【ナナのかぼちゃパン】本編のトップページにオープニングサウンドをつけました。『おおっ!』という感じで、先日のエンディングサウンドと共に、始まりと終わりがびしっと決まったことでぐっと引き立ちました。

サウンドは、「魔王魂」さんの音楽素材を使わせていただきました。非常にシーンに馴染みやすい曲調のサウンドが豊富で、これからもお世話になると思います。

今回使わせていただいた「魔王魂」さん、そして【時空マジシャン】のときにお世話になった「FTK CREATIVE SYSTEM」さんをはじめとして、ハイクオリティなサウンドとネット上でコラボレーションできる環境が整ってきました。

またネット上で活動されている声優さんも多くいらっしゃいます。

自分の電子コミックには、音声・サウンド・アニメといった要素が欠かせないので、昔では考えられなかった時代になってきたなと改めて思う今日この頃です。

以前は、マルチメディア・コンテンツを作ることなんて大変だったですからね。今でも大変ですけど。

あと足りないものは、......敷居が高くないマンガツールですかね。たとえば手描きのマンガに、音声・サウンド・アニメなどを簡単に付加できるツール。

自分が知らないだけで、すでにあるのかもしれないですけど。





レシピ(iBooks Author制作日記46)

2013-11-16 17:20:34 | iPad版制作日記

電子コミック【ナナのかぼちゃパン】の制作は、各ページの仕上げ(音声の挿入、前半シーンの修正など)と平行して「かぼちゃパンのレシピ」にも取り掛かりました。

上の画像のように、レシピは静止画と文字と音声で描きます。アニメは無しなので、HTMLウィジェットも使わない予定。いや~、画像を動かさなくてよいと非常に楽チンです。

【ナナのかぼちゃパン】は、ナナの宝物「家庭用パン焼き機」で焼いたかぼちゃパンに、父のパン職人である雄作がアドバイスをして完成した「ナナのかぼちゃパン」が店頭に並ぶストーリーなので、その重要なアイテムである「かぼちゃパンのレシピ」を付録として付けました。

今回の電子コミックは、本編とストーリーボード(画コンテ)、それと「かぼちゃパンのレシピ」というコンテンツで構成されています。

マンガの本編以外にいろいろ付ける意味は、コンテンツの増量のためではなく(それも多少はあるけど)、自分が制作過程のメイキングや裏話、その他対談など本編に関連したコンテンツが好きだからです。

だから小説などを読んだときに、あとがきや解説がないとがっかりしますもん。

そういった周辺コンテンツは、本編の内容をより深く理解するのを助けてくれるわけですが、そればかりではなく作者の人柄などを感じることができます。そして、その作品がどういう背景から生まれてきたのか理解したり想像したりすることが楽しいんですよね。

なので自分の作品には、メイキングをはじめとした関連コンテンツをたっぷり付けようと思っていました。でもメイキングはブログでいやというほど書いているので、今回はレシピです。

作品によっては取材記を付けるのもおもしろいでしょうね。

たとえば「ツチノコ捕獲隊」というようなマンガを描いたとしたら、ツチノコの目撃情報があった場所にいって取材をしたり、ノヅチとかバチヘビとか日本全国で約40種もあるという呼称とともに各地の伝説や資料を掲載したら充実したコンテンツになるでしょうね。

そういえば昔は、「ツチノコ捕獲か!?」というような新聞記事をときどき目にしたり、「生け捕りで賞金1億円!!」と聞いてビックリしましたけど、最近はあまりうわさを聞かなくなったような。

マンガ以外のコンテンツを勝手に付けたり、思いついたことをすぐに試せるというのは、電子コミック/電子出版時代ならではの魅力です。

そういったことを企画するのは編集部の仕事、マンガ家はマンガを描くだけ、ではつまりません。

とはいえアイデア的には思いついても、労力的・技術的に不可というのが多いんですけど...。