つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

必要なんだね

2005-12-11 15:13:56 | ファンタジー(現世界)
さて、久々にラノベの第376回は、

タイトル:灼眼のシャナ
著者:高橋弥七郎
出版社:電撃文庫

であります。

主人公である坂井悠二は、高校生になってまだ1ヶ月くらいのころに、何かわけのわからない出来事に巻き込まれ、死んでしまう。
死んでいるはずのもかかわらず、意識もあれば他人からも存在は認知できるのだが、それをひとりの少女があっさりと、冷徹に死を告げる。

ただ存在できているのは、世界の急激な変化を緩和するためだけであって、そのうち消えてしまうことも。

だが、悠二の身体には特別なものが包含されていて、それを敵……少女が狩る相手が狙うことは自明の理。
そのために少女は悠二の側に貼り付き、狩るべき敵を待ち受ける。

……あー、ストーリー紹介するのがバカらしくなってきた。
端的に言えば、12、3歳くらいの少女が、自分の背丈ほどもある刀を操って敵と戦うアクションものの話。
ちっこいけれど、べらぼうに強くて、正直すぎて口が悪くて、冷たい、そんなヒロイン……シャナが悠二と関わることによって、敵を狩るだけに生きてきたいままでの自分から、少しずつ変わっていく、そんな過程も描いた話。

ストーリー紹介するより、こう書いたほうが、だいたい「あぁ……」ってだいたいのストーリーは想像可能だろうと思われる(笑)

最初は悠二が死んでから、ずっと悠二の視点で死を受け入れられない、受け入れようとしたりする姿が描かれ、ライトノベルにしては重い書き出しではあった。
なので、こういうのもありかと思ってたんだけど……。

まったくストーリーとは関係なさそうな着替えのシーンとか、寝姿のシーンとか、あぁ、やっぱりラノベにはこういうところは、まったくストーリーに関係なくても必要なんだなぁと納得(?)
シャナが悠二に惹かれていくところあたりも、取って付けたような感じだし、ジャンル的に必要不可欠の要素だから、とりあえず入れてみました、と言った感じ。

ストーリーも、きちんと破綻なく書いているし、単語をいろいろと作って世界観を出そうとしているが、ただそれだけで特別変わった設定とか、そういうものはない。
まぁ、いまさら100%オリジナリティのある話なんか作れるわけないんだし、ありふれた設定のことを言ってもしょうがないので、ここは仕方がない。

あと文章も、ルビに点を使って表現を強調したり、印象づけたいシーンの表現のときに読点(「、」のこと)で段落を区切ったりしている。
ルビの点は多くてうざったいし、読点で区切るあたりも、さして強調になっていないような気はするし、個人的に文章の作り方としては気に入らないが、ここは特徴ということで気にしないことにする。
それよりも表現力がいいとはお世辞にも言えないので、むしろこちらのほうが減点対象か。

まぁでも、ライトノベルとはこういうものだと言う要素をしっかりと守って作っているとは思うので、そう言う意味ではライトノベル系を狙っている作家志望のひとには参考になるのではないかと思う。



――【つれづれナビ!】――
 ◆ 『ライトノベル一覧表(その1)』へ
 ◇ 『つれづれ総合案内所』へ