同好会出身！黒田選手の快進撃！

監督目線で捉えた勝手な選手紹介シリーズ!!

黒田選手がいま、走りこみの最中ではありますが、ノッています。ノッているというよりは、確実に力がついてきています。

当社陸上競技部員は経歴など話題が豊富な選手に溢れております。これからも何か機会があればブログにて紹介していきたいと考えてます。

黒田雄紀選手 23歳

出身は神奈川県川崎市で、２つ上には、全国高校駅伝女子1区で区間一桁で走った姉をもつ。採用にあたり、その事実は、彼のDNAの可能性を信じたいと思った一つではあった。

黒田選手は、川崎市から東京都の強豪校「國學院久我山」へ進学し、全国高校駅伝出場を目指す。同級生には、現在、当社の一般部員として所属している谷選手やスポーツメーカーに所属しながら自らも走っている荒木選手、そして世代トップであった打越選手などがいた。高校時代は駅伝メンバーにギリギリ選ばれるくらいの選手で、なかなか体が絞れず、苦労したとのこと。高校時代の5000mのベストは15分ちょうど。

國學院大学へ進学し、陸上部に入ろうと考えていたが、タイム的に入れても寮には入れてもらえないということで、当時の自身のタイムからしても通いで箱根駅伝を目指すのは難しいとあきらめた。そして同好会に所属しながら、東京マラソン財団が運営するジョグポート(ランニングステーション)でアルバイトを始めた。後にアルバイトにこのジョグポートを選んだことが視野も広がり、様々な方に応援されるよう今日の彼に繋がる大きなものであった。大学生時代は１ヶ月200キロくらいの走行距離ながら、ランニングを楽しみ、毎晩、市民ランナーの方々にランニングイベントを開催しながらモチベーションをあげていた。楽しみながらも時に追い込み、5000mは、今、話題の大人のタイムトライアルで14分39秒まで、その力を伸ばした。

それが大学4年の春。彼が就職活動をはじめてまもないころであった。

 就職活動において彼が他にどこの会社を受験していたかは知らない。あくまでも知ることだけを記載したい。

 当社は実業団チームである。基本は勧誘なども大学の陸上競技部をメインに行う。彼は同好会所属ということで、知名度もなかった。当時は5000mは14分39秒であったが、10000mは32分30秒であり、走り込みの少なさが露呈していた。この年、同好会からの受験選手は3人いた。珍しいことだが、おそらく前年に入社した金子選手の影響が大きかったかもしれない。金子選手は東海大学の陸上競技部出身だが、大学2年の夏まではタイムがなく、陸上競技部に入れず、2016年の箱根駅伝では同好会出身ランナーとして様々なメディアに特集された。このような選手の存在は、同好会所属の選手たちに大きな勇気を与えたことだろう。当社の陸上競技部は会社の部活であるため、部員制限はありません。ただ、強化対象の枠は決まっており、当初、黒田選手も強化選手ではなく一般部員として採用通知を出していた。

しかし、ここからが彼は違っていた。同好会ということで、比較的自由な時間が多く、採用決定からは当社の練習に参加していた。もちろん自費で電車にのっての参加である。すると走行距離も少しずつ伸び、秋には10000mで30分05秒まで記録を伸ばした。その年の当社の強化枠に丁度余裕があったことと伸び代を感じ、秋に育成選手として強化枠採用にすることを決めた。すぐに29分台に行くかとも感じたが実際はそう甘くはなかった。

 

その後も大学4年生ながら当社のレーススケジュールに近い形で行動を共にした。

最終的に強化としては物足りないが、

1500m3分59秒

5000m14分39秒

10000m30分05秒

20km　63分台

ﾊｰﾌ　 68分台

のベストでの入部となった。

同期の入部は宮本甲斐選手で、ベストは5000ｍ14分16秒・10000m29分15秒・ハーフ63分47秒でエース候補としての入社であった。

宮本選手については後日また記載したいと考えているが、確実に力はついてきているので安心してほしい。

 

2017年3月16日、コモディイイダに入社した。育成枠ということで寮は2人部屋となった。

いざ、仕事をしながらのトレーニングが始まると距離を踏むトレーニングをしてこなかった黒田選手は走りにムラがあり、だいたい最初に離れてしまうことが多かった。合宿などの動画を撮影すると、絵になるくらい毎回辛そうに、限界に達した走りをする。

正直、1年目は期待していなかった。しかも入社まもない時期に、売場で膝をぶつけ、膝を骨折・・・。

今、考えればその後、気を付けるようになったのでよい経験となった。

しかし、夏を越えて最初の9月の日体大競技会で29分51秒でベストを更新すると、その後の練習も必ず見せ場をつくるような走りをみせた。そして実業団駅伝の区間を決めるための高島平ロードレースで29分26秒で3位。5ｋｍから8ｋｍを引っ張る強さを見せた。一躍エース格になった。そのまま最終調整合宿もうまくこなしたが、直前に足の甲に打った鍼が合わず、足が腫れ上がってしまう事態に。これが駅伝5日前くらいだ。

話題にことかかない人物である。そして監督泣かせだ。1区も考えていたが、4区にまわった。終わってみれば1区から流れに乗れず、18位で終わった2017年の東日本実業団対抗駅伝。しかし、その後も黒田選手は勢いがあった。駅伝明けの日体大5000ｍで14分20秒のベストを出し、11月23日には大田原マラソンを2時間20分で走り3位入賞。パリマラソン派遣を手に入れた。そして更に大田原マラソン明け6日の日体大に本人の強い希望で10000ｍに出場し29分27秒のベストを叩きだした。

年があけて、2018の赤羽ハーフではラスト2ｋｍまで先頭争いをしながら64分45秒の自己ベスト更新。このころにはチームのエースとなっていた。東京マラソンでは、チームで1名くらいは見せ場を作ろうと話し、無理は承知で先頭集団で行かせた。15ｋｍまで付き、ハーフも自己記録を更新す64分44秒で通過。しかし、その後はゴールするのがやっとの状態であった。しかし、そうした思い切った走りはそうできるものではない。

その後、3月末に10000ｍを1本30分06秒で走り、4月のパリマラソンも日本人2位の走りを見せた。しかし、そううまくは行かないものだ。パリマラソン以降、疲労が抜けず、14分台後半、10000ｍを走っても31分切るのがやっとの状態。6月の実業団合宿でも離れた・・・。そんな中、チーム内では2018年の新入部員が好記録を連発。7月には東選手がチーム初の10000ｍ28分台、高卒ルーキー高橋選手が29分05秒を出した。このころチームのエースは東となっていた。転機は8月の八幡平駅伝だ。当初メンバーに入るか入らないかの状態であったが、高橋選手が足に不安を訴え、メンバー入り。急遽エース区間を走ることになった黒田選手の大快走。ロードの強さを目のあたりにし、黒田選手への不安がなくなった。

その後の黒田選手はこれまでにない強さを身につけていった。

2018年の高島平では29分27秒で優勝をし、実業団駅伝でも2区のエース区間でコモディイイダ新記録で順位を17位から11位へ押し上げた。ニューイヤー駅伝出場は叶わなかったが、その存在感は大きかった。その後、つくばマラソンで2時間18分で優勝を飾り、年内最後のレースとなった平成国際記録会では組トップの29分23秒で10000ｍの自己記録を更新。その後の練習でも無類の強さをみせた。そのまま2019年に入り、合宿も順調にこなし、1月20日の赤羽ハーフで、一気に飛躍する63分33秒で総合優勝を飾った。しかもほとんどすべてレースを引っ張り、14ｋｍで仕掛けての優勝である。

 

実業団駅伝を挟み、高島平ロードレースからすべて勝っている黒田選手。今年の東京マラソンはしっかり記録を狙いにいく予定だ。

 

そして今、当陸上競技部は黒田選手が学生時代お世話になっていたジョグポートで当時店長をしていた山田さんの紹介から東京マラソン財団さんのランニングイベントのお手伝いを昨年の夏から実施させて頂いています。そのおかげもあり、いろいろな大会で応援して下さる方々が増えました。企業の陸上競技部ですから知名度をあげることは大きな仕事の１つです。今後も様々なつながりを大切に取り組んでいく陸上競技部でありたいと考えています。

 

●今後の黒田選手のレース予定●

1月27日　奥むさし駅伝

2月10日　神奈川駅伝（川崎市代表）

3月3日　 東京マラソン

3月末　　 10000ｍ競技会